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番外編1 「デスゲーム 終わらせ方」④
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「ちょっと俺に考えがあるんだけど、20分くらいこのまま待っといてくれない?」
チャイムが鳴っても沈黙するだけだった教室で僕は言った。
今まで話し合いに積極的に参加していなかった者が急に勢いよく立ち上がったことに対する皆のリアクションも見ることなく僕は走り出す――。
階段を飛び降り、化学室から靴箱まで一直線。そこからさらに校門までもダッシュで走り抜けた。
もしかすると傍から見たら逃げていると思われるかもしれないが、そんなことも気にせず最速で家を目指す。
外に出てあの重苦しい空気から解放されても未だに緊張が解けない。後ろを振り返っても誰もいなかったけど、背中のぞくぞくが収まらない。
まるでメロスにでもなった気分で1秒でも早くと走り続けて…………その結果、僕は10分とかからず家まで辿り着いた。もちろんいつもの登下校平均時間を大幅に上回るタイムだ。
息を切らしながら自室の扉を開いて、休む間もなく黒いパソコンを取り出す。
おぼつかない指でタイピングをミスしながらも僕は辿り着いた。全てにおける最強の解決法へ。
僕がクラスメイトの皆を救うにはこれしかない。
「デスゲーム 終わらせ方」
額から出てくる汗を拭いながらグルグルが終わるのを待つ。
グルグルから検索結果へ切り替わると、僕はその画面をスマホで撮影した。
そして、黒いパソコンを片付けもせず、また走り出す――。
検索結果にはかなり長い文章で、衝撃の事実も記されていた。だからすぐには覚えられないと思って、僕はスマホで撮影した画像を見ながら小走りでまた学校を目指した。
「え、マジ?」
思わずそんな声を漏らしながらも、僕はちゃんと検索結果が出てくれたことに安堵していた。解決方法が存在すると分かれば緊張も無くなっていく。
気付けば、突然すぎるデスゲームという状況が面白くなってきていた。
「そうか………なるほど……」
つまり――。
「犯人は、お前だ――竹原」
戻ってきた教室で、僕は1人のクラスメイトを指差した。
「…………。は?戻ってくるなり何言ってんだお前?」
「俺はもう全部知ってる。とぼけても意味ないぞ。このゲームにこのクラスを参加させたのはお前だ」
「……え?……は?」
意外とも言えるその男。最初からミニ人体模型に立ち向かう姿勢を見せていた背の高いリーダー格の男子は全く動揺を見せず、呆けた顔をしていた。
それもそのはず……。
「お前は前からこのゲームに参加していて、続けていくうちに精神が不安定となり今は2重人格の状態にある。デスゲームを望むお前と正義感の強いお前。本当は自分でも気づいているんだろ。さあ………自分の胸に手を当ててゆっくり考えてみるんだ……」
そう言うと、竹中は嘔吐くような様子で床の上に四つん這いになった。
「え、本当なの……?」
「嘘だろ……」
教室がざわつく。そりゃ驚くべきことだ。だって、言った本人も内心もの凄く驚いているのだから。
「でも大丈夫。お前のせいじゃない。何故なら……本当の悪は別にいるのだから……」
まだ驚くばかりで半信半疑であろう教室の中、僕はさらに畳みかける。
「こいつの精神が不安定なことを知りながらゲームの開催を促した人物。それが君だ。里田さん」
「――――!?」
逆方向を指差すと、そこにいた女子が目を丸くした。ほんの一瞬だけど。
ちなみに、セリフも全て黒いパソコンから指示されたものだった。僕は今、自分以外の誰かを演じている気分である。
「でも、さらにその向こうにいる黒幕は……えっと…………1月前に来た転校生の飯野……ここにはいないけど、その協力者の教頭先生」
忘れたのでスマホを確認させてもらう――。
「里田さんの協力は精神が崩れていく友人を見ていられなくてやむを得ずやったこと、しかしそれを知ったお前は竹中に嫉妬した。幼馴染の里田さんの気持ちが自分に向かなくて。そもそも、最初に竹中がデスゲームに参加するきっかけを作ったのもお前だ。竹中の父親をデスゲームで殺した飯野。お前が全ての黒幕だ」
「…………。お前一体何者だよ。教頭が裏切った?それとも前のゲームの参加者か?どうやってそんな情報を手に入れた?――いや、俺はそんなことやってないぞ」
たぶん本当はもっとポーカーフェイスを決めれる奴なんだろうけど、さすがに全ての真実を知っていそうな雰囲気には押されていた。
本来ならば、いくつも死のゲームを生き残った末にようやく辿り着ける真実。その全てをざっと言い終えた僕は最後の仕上げに取り掛かる。
「おい、俺にもデスゲームを開かせてくれ。こいつと1対1で」
「資格はアるんデすか。資格無き者のゲーム開催は承認デきません」
僕はミニ人体模型の耳元まで行って、囁く。運営側の秘密も、この場で懐柔させる言葉も僕は知っていた。
「…………。致し方ありませン。2人デのゲームの開催を認めます」
再びカーテンが窓を覆って、始まったゲーム、配られたカード……。
僕にとっての2回目のゲーム。手札のカードを広げて持った僕は余裕の笑みを浮かべた。
「さあ、やろうか。俺が勝ったら、正直に全てを話して罪を償え。俺が負けたら死んでやるよ――」
相手の手札も戦略も全てを把握していた僕は……そのゲームをストレート勝ちで圧勝。クラスの危機を救った……。
…………。
…………という夢を見た。
チャイムが鳴っても沈黙するだけだった教室で僕は言った。
今まで話し合いに積極的に参加していなかった者が急に勢いよく立ち上がったことに対する皆のリアクションも見ることなく僕は走り出す――。
階段を飛び降り、化学室から靴箱まで一直線。そこからさらに校門までもダッシュで走り抜けた。
もしかすると傍から見たら逃げていると思われるかもしれないが、そんなことも気にせず最速で家を目指す。
外に出てあの重苦しい空気から解放されても未だに緊張が解けない。後ろを振り返っても誰もいなかったけど、背中のぞくぞくが収まらない。
まるでメロスにでもなった気分で1秒でも早くと走り続けて…………その結果、僕は10分とかからず家まで辿り着いた。もちろんいつもの登下校平均時間を大幅に上回るタイムだ。
息を切らしながら自室の扉を開いて、休む間もなく黒いパソコンを取り出す。
おぼつかない指でタイピングをミスしながらも僕は辿り着いた。全てにおける最強の解決法へ。
僕がクラスメイトの皆を救うにはこれしかない。
「デスゲーム 終わらせ方」
額から出てくる汗を拭いながらグルグルが終わるのを待つ。
グルグルから検索結果へ切り替わると、僕はその画面をスマホで撮影した。
そして、黒いパソコンを片付けもせず、また走り出す――。
検索結果にはかなり長い文章で、衝撃の事実も記されていた。だからすぐには覚えられないと思って、僕はスマホで撮影した画像を見ながら小走りでまた学校を目指した。
「え、マジ?」
思わずそんな声を漏らしながらも、僕はちゃんと検索結果が出てくれたことに安堵していた。解決方法が存在すると分かれば緊張も無くなっていく。
気付けば、突然すぎるデスゲームという状況が面白くなってきていた。
「そうか………なるほど……」
つまり――。
「犯人は、お前だ――竹原」
戻ってきた教室で、僕は1人のクラスメイトを指差した。
「…………。は?戻ってくるなり何言ってんだお前?」
「俺はもう全部知ってる。とぼけても意味ないぞ。このゲームにこのクラスを参加させたのはお前だ」
「……え?……は?」
意外とも言えるその男。最初からミニ人体模型に立ち向かう姿勢を見せていた背の高いリーダー格の男子は全く動揺を見せず、呆けた顔をしていた。
それもそのはず……。
「お前は前からこのゲームに参加していて、続けていくうちに精神が不安定となり今は2重人格の状態にある。デスゲームを望むお前と正義感の強いお前。本当は自分でも気づいているんだろ。さあ………自分の胸に手を当ててゆっくり考えてみるんだ……」
そう言うと、竹中は嘔吐くような様子で床の上に四つん這いになった。
「え、本当なの……?」
「嘘だろ……」
教室がざわつく。そりゃ驚くべきことだ。だって、言った本人も内心もの凄く驚いているのだから。
「でも大丈夫。お前のせいじゃない。何故なら……本当の悪は別にいるのだから……」
まだ驚くばかりで半信半疑であろう教室の中、僕はさらに畳みかける。
「こいつの精神が不安定なことを知りながらゲームの開催を促した人物。それが君だ。里田さん」
「――――!?」
逆方向を指差すと、そこにいた女子が目を丸くした。ほんの一瞬だけど。
ちなみに、セリフも全て黒いパソコンから指示されたものだった。僕は今、自分以外の誰かを演じている気分である。
「でも、さらにその向こうにいる黒幕は……えっと…………1月前に来た転校生の飯野……ここにはいないけど、その協力者の教頭先生」
忘れたのでスマホを確認させてもらう――。
「里田さんの協力は精神が崩れていく友人を見ていられなくてやむを得ずやったこと、しかしそれを知ったお前は竹中に嫉妬した。幼馴染の里田さんの気持ちが自分に向かなくて。そもそも、最初に竹中がデスゲームに参加するきっかけを作ったのもお前だ。竹中の父親をデスゲームで殺した飯野。お前が全ての黒幕だ」
「…………。お前一体何者だよ。教頭が裏切った?それとも前のゲームの参加者か?どうやってそんな情報を手に入れた?――いや、俺はそんなことやってないぞ」
たぶん本当はもっとポーカーフェイスを決めれる奴なんだろうけど、さすがに全ての真実を知っていそうな雰囲気には押されていた。
本来ならば、いくつも死のゲームを生き残った末にようやく辿り着ける真実。その全てをざっと言い終えた僕は最後の仕上げに取り掛かる。
「おい、俺にもデスゲームを開かせてくれ。こいつと1対1で」
「資格はアるんデすか。資格無き者のゲーム開催は承認デきません」
僕はミニ人体模型の耳元まで行って、囁く。運営側の秘密も、この場で懐柔させる言葉も僕は知っていた。
「…………。致し方ありませン。2人デのゲームの開催を認めます」
再びカーテンが窓を覆って、始まったゲーム、配られたカード……。
僕にとっての2回目のゲーム。手札のカードを広げて持った僕は余裕の笑みを浮かべた。
「さあ、やろうか。俺が勝ったら、正直に全てを話して罪を償え。俺が負けたら死んでやるよ――」
相手の手札も戦略も全てを把握していた僕は……そのゲームをストレート勝ちで圧勝。クラスの危機を救った……。
…………。
…………という夢を見た。
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