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word29 「ゲームのフレンド 顔」②
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やばい――。
そう思っても光回線。時代の高速通信は僕のBボタンを押す速度を上回った。
すぐに操作不可能のロード画面に切り替わって、あっという間に僕が操作するキャラクターがオンラインプレイの集会所へ連れて行かれる。
そこには既に2人のプレイヤーがいて、そのどちらもが僕のとは全く違う迫力の装備を身に纏っていた。
「こんばんは~(。・ω・。)」
「こんばんは」
入室するや否や打ち込まれるチャット。僕はそれを受けて思考が固まった。
画面を見ながらどうするという言葉を頭の中で連呼した。明らかに場違い、間違えて入ったことにして抜けるのが正解……一言間違えましたと言うか、何も言わずに速攻出るか……それが正しいはずなんだけど……。
「こんばんは!」
僕は何故か気づけばそのチャットを送っていた。深夜テンションで怖いものなしになっていた。
「初めまして よろしくお願いします~(。・ω・。)」
「よろしく」
「よろしくお願いします!」
現実で話をしているのなら語尾に汗マークが付いているような精神状態だったけれど僕は当たり前に振舞った。
画面内でパーティーメンバー達が近づいてきて見たことが無い派手な装備を近くで見せつけられると、さらに委縮する。片方は漆黒のごつい剣士。もう片方はしろくてふわっふわの魔法使いだった。どちらも僕は今まで見たことすらない。
けれど、堂々とキャラクターを動かして輪に加わる。
「今から果てクエの火2をマルコ1壁1周回するんですけど一緒に行きます(。・ω・。)?」
なんて……??
次に送られたチャットで僕はさっそくピンチになった。知らない用語、おそらくこのゲームのヘビーユーザー達の間で使われている用語だということは分かるが、ライトユーザーの僕では意味を予想することもできなかった。
「はい!行きたいです!」
しかし、僕はまだ折れなかった。そのくらいの用語は知ってますよという態度をとる。
自分で見ても明らかに地雷キッズの身なりとチャットだけれど、こうなったからにはどこまでいけるか挑戦だ。
「じゃあ準備しましょうか(。・ω・。)」
「ああ」
「はい!」
準備とは何をすればいいのか……。分からなかったけれど、僕はとにかく2人について行った。
「私火力しますね(。・ω・。)」
「了解だ」
「はーい」
このゲームの協力オンラインプレイはモンスターを使って行われる。育てたモンスターを各自1匹ずつ出してCPUのモンスターと戦うのだ。
だから、僕はとりあえず自分が持っている中で1番強いモンスターを1番強い装備にして設定した。
「あ、ポンカンさんは回復お願いします(。・ω・。)」
そう思っていたのだけど否定されてしまった。ちなみにポンカンというのは僕のユーザーネームである。
他の2人は「hinacorin♡」と「†黒竜†」。無論のこと、魔法使いがhinacorinで剣士が黒龍だ。
そんな、2人との協力プレイはそのまま流れるように始まって、僕は知らない世界を連れまわされることになった。
敵も味方も見た目だけで間違いなく強力なモンスター達に囲まれる中で、僕はひたすら回復魔法を唱え続けた。指示されるまま、2人のプレイヤーの後ろをにひっつくように操作してボタンを連打した。
次元が違う戦闘を戦場カメラマンとして見ているのは楽しかった。緊張していたけれど、すぐにそれも解けてきて……協力プレイの楽しさを感じ出していた。
しかし、緊張が解けたことでミスが生まれた。操作ウインドウより敵のグラフィックを見て適当に連打していた僕は、誤って回復魔法ではなく攻撃魔法を使ってしまった。しかも、味方に向けて。
さらにパーティーで1番下っ端の僕が回復をミスったタイミングで敵の攻撃がクリーンヒット。
パーティは全滅してしまった。
そう思っても光回線。時代の高速通信は僕のBボタンを押す速度を上回った。
すぐに操作不可能のロード画面に切り替わって、あっという間に僕が操作するキャラクターがオンラインプレイの集会所へ連れて行かれる。
そこには既に2人のプレイヤーがいて、そのどちらもが僕のとは全く違う迫力の装備を身に纏っていた。
「こんばんは~(。・ω・。)」
「こんばんは」
入室するや否や打ち込まれるチャット。僕はそれを受けて思考が固まった。
画面を見ながらどうするという言葉を頭の中で連呼した。明らかに場違い、間違えて入ったことにして抜けるのが正解……一言間違えましたと言うか、何も言わずに速攻出るか……それが正しいはずなんだけど……。
「こんばんは!」
僕は何故か気づけばそのチャットを送っていた。深夜テンションで怖いものなしになっていた。
「初めまして よろしくお願いします~(。・ω・。)」
「よろしく」
「よろしくお願いします!」
現実で話をしているのなら語尾に汗マークが付いているような精神状態だったけれど僕は当たり前に振舞った。
画面内でパーティーメンバー達が近づいてきて見たことが無い派手な装備を近くで見せつけられると、さらに委縮する。片方は漆黒のごつい剣士。もう片方はしろくてふわっふわの魔法使いだった。どちらも僕は今まで見たことすらない。
けれど、堂々とキャラクターを動かして輪に加わる。
「今から果てクエの火2をマルコ1壁1周回するんですけど一緒に行きます(。・ω・。)?」
なんて……??
次に送られたチャットで僕はさっそくピンチになった。知らない用語、おそらくこのゲームのヘビーユーザー達の間で使われている用語だということは分かるが、ライトユーザーの僕では意味を予想することもできなかった。
「はい!行きたいです!」
しかし、僕はまだ折れなかった。そのくらいの用語は知ってますよという態度をとる。
自分で見ても明らかに地雷キッズの身なりとチャットだけれど、こうなったからにはどこまでいけるか挑戦だ。
「じゃあ準備しましょうか(。・ω・。)」
「ああ」
「はい!」
準備とは何をすればいいのか……。分からなかったけれど、僕はとにかく2人について行った。
「私火力しますね(。・ω・。)」
「了解だ」
「はーい」
このゲームの協力オンラインプレイはモンスターを使って行われる。育てたモンスターを各自1匹ずつ出してCPUのモンスターと戦うのだ。
だから、僕はとりあえず自分が持っている中で1番強いモンスターを1番強い装備にして設定した。
「あ、ポンカンさんは回復お願いします(。・ω・。)」
そう思っていたのだけど否定されてしまった。ちなみにポンカンというのは僕のユーザーネームである。
他の2人は「hinacorin♡」と「†黒竜†」。無論のこと、魔法使いがhinacorinで剣士が黒龍だ。
そんな、2人との協力プレイはそのまま流れるように始まって、僕は知らない世界を連れまわされることになった。
敵も味方も見た目だけで間違いなく強力なモンスター達に囲まれる中で、僕はひたすら回復魔法を唱え続けた。指示されるまま、2人のプレイヤーの後ろをにひっつくように操作してボタンを連打した。
次元が違う戦闘を戦場カメラマンとして見ているのは楽しかった。緊張していたけれど、すぐにそれも解けてきて……協力プレイの楽しさを感じ出していた。
しかし、緊張が解けたことでミスが生まれた。操作ウインドウより敵のグラフィックを見て適当に連打していた僕は、誤って回復魔法ではなく攻撃魔法を使ってしまった。しかも、味方に向けて。
さらにパーティーで1番下っ端の僕が回復をミスったタイミングで敵の攻撃がクリーンヒット。
パーティは全滅してしまった。
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