何でも検索できるパソコンを手に入れました。ーBPCー

木岡(もくおか)

文字の大きさ
上 下
36 / 117

word22 「黒いマウス 機能」①

しおりを挟む
 僕には姉がいる――。

 現在は高校3年生で違う高校に通っている姉だ。僕が高校2年生なので1学年しか差がないとなるとちょっとだけ珍しいかもしれないが、1年9カ月差生まれの1歳年上。姉が遅生まれで僕は早生まれ、年齢関係はそんな感じ……。

 当たり前だけど生まれた時から同じ家に住んでいて、普通に成長を共にして、普通に同じ食卓を囲んで、同じ環境で生きてきた。自室の位置も隣である。仲もまあ普通くらいだと思う。話すときはよく話すし、話さないときは話さない……。

 性格は一言で言えばおっとり……そんな姉が今、僕の自室にいる。高校から帰宅して自室に入ると何故か自室にいたのだ。

「え…?何やってんの…?」

 見つけた時、第一声で僕はそう言った。

「ああ。あんたいつの間にか帰ってきてたんだ。何やってんのって見て分かんない?」

「分かる。俺の部屋の収納を漁ってる」

「正解。あんたの部屋の収納を漁ってるの」

 僕が部屋に入った時から収納が開いていて、そこを漁る姉の周りには物が散らかっていた。さらに収納から物を取り出していく姉は、ちゃんと僕の質問に答えていないのにお構いなしであった。

「いや、それはそうなんだけど何か探し物?」

「そうだね……。ちょっとどこにあるか分からないものがあって」

「ヘー。服?姉ちゃんのはここには無いんじゃないかな」

「服じゃない」

「じゃあ何?」

「ちょっとね……」

 僕の部屋の収納には僕の物だけでなく、家族の季節ものの衣服やあまり使わない工具や掃除道具が入っていたりするスペースがあった。だから、たまに僕以外の人が収納を開けることはある。

 それは問題ないのだけど、ある引き出しだけ見られたらまずいものが入っている。

「言ってくれたら俺が探すよ。大体中にある物把握できてるし」

「いや、いいよ」

「俺が困るんだって。部屋散らかし過ぎだし」

「ちゃんと見つけたら片付けるって」

「うーんと……そういう問題じゃなくって……。とりあえず何探してるかだけ言ってよ。そこに無いものじゃいくら探しても見つからないし」

「――ここにあるのはもう確定してるよ」

 その時、姉は声色を冷たく鋭くした。そうされたものだから僕もひやりとしたのだ。

「え?」

「ほんと、とんでもないものがあんたの部屋の収納にあったもんだね……」

 あ……終わったかも……。

「ちょっと前から何かおかしいと思ってたんだよ。あんたが部屋に入るときやたら楽しそうで、なんか懸賞にハマったりもして、この前は競馬。挙句の果てに隣で耳を澄ましたら微かにキーボードの音が聞こえた日があった……」

 まさかとは思ったが既に見つかってしまっていたのか。そんなまさか……。

「これは一体どういうことっ!」

 姉が僕の前に何かを突き出したので、僕はもう見る前に仰け反ってしまった。目の前の景色を遮るように目の所へ手を持ってきて、何かを避けるように。

 反射的にコントのようなリアクションを取った僕は観念して、ゆっくり目を開ける。しかし姉の手にあったのは思っていたのとは違っていたもので……。

 黒くてメタリック……そうなんだけどかなり小さい。姉の掌の上に収まっている。これはパソコンではない……その付属品だ。ねずみの英訳と同じあの……。

「あれ?それ何?」

 次にしたリアクションもまた……思っていたのと違うものになった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

処理中です...