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word20 「未来 変えられる」①
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この黒いパソコンを使って僕の未来について検索する――。
それはこのパソコンを手に入れてからすぐに思いついたことである。たぶん10代の若者が何でも知ることができると言われたら、「未来」は結構な割合の者が知りたがることではないだろうか。
自分の未来について……将来自分がどんな職業に就いているだとか、誰と結婚して子供は何人いるかだとか。
僕も当然知りたいし、本当にすぐ思いついた。ノートへ検索したいワードを書き始めた時に3番目か4番目くらいには。それでも、どのワードを優先するか考えた時にはどんどん後回しになって結局今まで検索してはいない。
理由の1つは、すぐに変えられるし変わってしまいそうだからだ。現時点から10年後の自分を知れたとして、それが気に食わなければ、そうならないように全力で行動して変えてしまえばいい。
特にこの黒いパソコンを持っている僕ならそうだ。未来を検索した後にそれがどんな形だったとしても、また未来を変える方法を検索して変えてしまえばいい。
例えば、10年後の僕は望まない職業に就いた挙句、リストラされて無職になってしまっているとか教えられたら、そうならないように今から努力する。黒いパソコンの検索を活用してでも……。
この黒いパソコンがあれば望んだ職業になるのは難しくない。プロスポーツ選手とか肉体的に無理な職業で無ければ、競争倍率が高い試験も成功するのに必要なナイスなアイディアも思いのままだ。
成りたいと思った職業になる方法を検索してしまえばいい。
だから、現時点での未来を検索することには意味が無い。
そんな結論が出た。
減るもんじゃないのだから、単なる興味本位でエンタメとして検索してもいい。どんな結果が出ても深く考えないということ前提で。
だけどそれも何と言うか……怖いんだ。
僕は入力した「10年後 自分」という検索ワードをBackspaceキーを長押しして消した。
僕が未来を検索しないもう一つの理由。それは未来を知るのが怖いからだ。もしも全知全能に、「あなたに10年後はありません。何故なら3年後に確実に死ぬからです」なんて言われた日にはどうしたらいい。僕に不可避の不幸が待っている可能性を考えると、未来を知るのって怖い。
不可避じゃなくても嫌な気分になる。このままだと死にますと言われただけでも日常が崩れてしまいそうで。
勇気が必要だった。自分の未来を知るには。勇気が無くて、だらしない僕はずっと未来を検索するのを後回しにしていた。
また入力しては、またその文字を消す。今日も後回しにしてエロいことでも検索しようか悩んでいた。
――そうしながらも僕はなんだかんだこころの準備を整えて、未来を検索するまであとはEnterキーを押すのみというところまで辿り着いた。既に指を乗せて半分押している。
それはこのパソコンを手に入れてからすぐに思いついたことである。たぶん10代の若者が何でも知ることができると言われたら、「未来」は結構な割合の者が知りたがることではないだろうか。
自分の未来について……将来自分がどんな職業に就いているだとか、誰と結婚して子供は何人いるかだとか。
僕も当然知りたいし、本当にすぐ思いついた。ノートへ検索したいワードを書き始めた時に3番目か4番目くらいには。それでも、どのワードを優先するか考えた時にはどんどん後回しになって結局今まで検索してはいない。
理由の1つは、すぐに変えられるし変わってしまいそうだからだ。現時点から10年後の自分を知れたとして、それが気に食わなければ、そうならないように全力で行動して変えてしまえばいい。
特にこの黒いパソコンを持っている僕ならそうだ。未来を検索した後にそれがどんな形だったとしても、また未来を変える方法を検索して変えてしまえばいい。
例えば、10年後の僕は望まない職業に就いた挙句、リストラされて無職になってしまっているとか教えられたら、そうならないように今から努力する。黒いパソコンの検索を活用してでも……。
この黒いパソコンがあれば望んだ職業になるのは難しくない。プロスポーツ選手とか肉体的に無理な職業で無ければ、競争倍率が高い試験も成功するのに必要なナイスなアイディアも思いのままだ。
成りたいと思った職業になる方法を検索してしまえばいい。
だから、現時点での未来を検索することには意味が無い。
そんな結論が出た。
減るもんじゃないのだから、単なる興味本位でエンタメとして検索してもいい。どんな結果が出ても深く考えないということ前提で。
だけどそれも何と言うか……怖いんだ。
僕は入力した「10年後 自分」という検索ワードをBackspaceキーを長押しして消した。
僕が未来を検索しないもう一つの理由。それは未来を知るのが怖いからだ。もしも全知全能に、「あなたに10年後はありません。何故なら3年後に確実に死ぬからです」なんて言われた日にはどうしたらいい。僕に不可避の不幸が待っている可能性を考えると、未来を知るのって怖い。
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勇気が必要だった。自分の未来を知るには。勇気が無くて、だらしない僕はずっと未来を検索するのを後回しにしていた。
また入力しては、またその文字を消す。今日も後回しにしてエロいことでも検索しようか悩んでいた。
――そうしながらも僕はなんだかんだこころの準備を整えて、未来を検索するまであとはEnterキーを押すのみというところまで辿り着いた。既に指を乗せて半分押している。
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