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word11 「仕返し 方法」①
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ある日、僕は冷蔵庫を開けて絶望した……。
無かったのだ……。そこに……。
冷蔵庫の上から2番目の段、左隅……。
僕が買っておいたプリンがそこから消えていた――。
「あれ?どこだ?」
夕食後に食器を片付けた僕は冷蔵庫を開くと、ドアを開けっぱなしで中を探っていた。
ある物を探して。置いていたと記憶している場所に無ければ、その下の段、そのタッパの後ろ。まさか野菜室に入れた覚えはないけれど、ある可能性がある場所を手当たり次第に。
「何ガサゴソ探しとるんじゃ?」
そんな時後ろから父の声がする。飲み終わった缶ビール片手に。次のつまみを取りに来たようで迷惑そうな表情をして。
「俺が買っておいたプリンがない。知らない?」
「プリン?知らん。ちょっとどいて」
中年らしい肥満体系の父は冷蔵庫の前から僕を遠ざけて冷蔵庫から3個ほど食べ物や飲み物を取り出すと、リビングの机に戻っていく。
「ゴージャスプリンみたいな名前のちょっと大きい奴。本当に知らない?」
「知らん」
父の背中に尋ねると、背中を向けたまま返ってきた。
僕の家族には他に母と姉がいるが、その場にいなかったので僕は諦めて自室に戻る。
でも諦めたのは一旦のことである。僕は諦めない為に自室にやってきたのだ。
プリンの在り処を黒いパソコンに尋ねる為だ――。
…………。うん。世界のどこかにいる有識者の皆さんが言わんとしている事は分かる。言われなくても。プリン1個を探すのに全知である黒いパソコンの力を使うのは勿体無いのではないか。
僕もそう思う。だけど、食べようと思っていたプリンは僕が3日前から食べるのを楽しみにしていたものだ。コンビニで見かけて財布の中身と相談して払った398円。高校生の食後のデザートにしては高額である。
週末の今日に食べようと決めて舌と腹のコンディションを整えてきた。仕上がった舌はもうあのプリンでなければ満たされない。プリンの舌になってしまっているのだ。食べたくて食べたくて仕方がない。
「僕が買ったプリン 在り処」
僕は迷わず検索した。
たぶん家族の誰かが食べたんだと思う。冷蔵庫の中から見つけられなかっただけで本当はあったのならそれが1番だけど。おそらく誰かの腹の中だ。
そうだとしたらもう帰ってこないので無駄なことかもしれない。でも、このプリンを渇望する舌の収まりの悪さを。この怒りを。「勝手に俺が買ったプリン食べんなよ」という言葉でぶつけなければなるまい。
黒いパソコンは表示した。犯人の名前を。
「あなたの買ったデリシャスプリン~まろやか仕立て~は昨日の深夜にあなたの父親が食べました。」
僕は表示された文を見て驚く。他の誰かならまだしも……あろうことかさっき知らないと言った父の仕業……。
あの酔っ払い。とぼけやがったな。
僕はすぐにリビングに行って父に文句を言うということはしなかった。椅子に座ったまま怒りを笑いに変えて、静かに怒っていた。
ただ文句を言うだけじゃ生温い。僕はどんな風に復讐するか考えていたのだ――。
無かったのだ……。そこに……。
冷蔵庫の上から2番目の段、左隅……。
僕が買っておいたプリンがそこから消えていた――。
「あれ?どこだ?」
夕食後に食器を片付けた僕は冷蔵庫を開くと、ドアを開けっぱなしで中を探っていた。
ある物を探して。置いていたと記憶している場所に無ければ、その下の段、そのタッパの後ろ。まさか野菜室に入れた覚えはないけれど、ある可能性がある場所を手当たり次第に。
「何ガサゴソ探しとるんじゃ?」
そんな時後ろから父の声がする。飲み終わった缶ビール片手に。次のつまみを取りに来たようで迷惑そうな表情をして。
「俺が買っておいたプリンがない。知らない?」
「プリン?知らん。ちょっとどいて」
中年らしい肥満体系の父は冷蔵庫の前から僕を遠ざけて冷蔵庫から3個ほど食べ物や飲み物を取り出すと、リビングの机に戻っていく。
「ゴージャスプリンみたいな名前のちょっと大きい奴。本当に知らない?」
「知らん」
父の背中に尋ねると、背中を向けたまま返ってきた。
僕の家族には他に母と姉がいるが、その場にいなかったので僕は諦めて自室に戻る。
でも諦めたのは一旦のことである。僕は諦めない為に自室にやってきたのだ。
プリンの在り処を黒いパソコンに尋ねる為だ――。
…………。うん。世界のどこかにいる有識者の皆さんが言わんとしている事は分かる。言われなくても。プリン1個を探すのに全知である黒いパソコンの力を使うのは勿体無いのではないか。
僕もそう思う。だけど、食べようと思っていたプリンは僕が3日前から食べるのを楽しみにしていたものだ。コンビニで見かけて財布の中身と相談して払った398円。高校生の食後のデザートにしては高額である。
週末の今日に食べようと決めて舌と腹のコンディションを整えてきた。仕上がった舌はもうあのプリンでなければ満たされない。プリンの舌になってしまっているのだ。食べたくて食べたくて仕方がない。
「僕が買ったプリン 在り処」
僕は迷わず検索した。
たぶん家族の誰かが食べたんだと思う。冷蔵庫の中から見つけられなかっただけで本当はあったのならそれが1番だけど。おそらく誰かの腹の中だ。
そうだとしたらもう帰ってこないので無駄なことかもしれない。でも、このプリンを渇望する舌の収まりの悪さを。この怒りを。「勝手に俺が買ったプリン食べんなよ」という言葉でぶつけなければなるまい。
黒いパソコンは表示した。犯人の名前を。
「あなたの買ったデリシャスプリン~まろやか仕立て~は昨日の深夜にあなたの父親が食べました。」
僕は表示された文を見て驚く。他の誰かならまだしも……あろうことかさっき知らないと言った父の仕業……。
あの酔っ払い。とぼけやがったな。
僕はすぐにリビングに行って父に文句を言うということはしなかった。椅子に座ったまま怒りを笑いに変えて、静かに怒っていた。
ただ文句を言うだけじゃ生温い。僕はどんな風に復讐するか考えていたのだ――。
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