何でも検索できるパソコンを手に入れました。ーBPCー

木岡(もくおか)

文字の大きさ
上 下
7 / 117

word6 「地球 終わる日」

しおりを挟む
 初めは漫画雑誌に付いていた懸賞の応募から始まった。

 ふと色んな商品が並べられた1ページが目に留まった時、これは良いものがあったと思ったのだ。黒いパソコンで検索すると、ハガキを出すタイミングと入れるポストから一言コメントの内容まで細かく指示があった……。

 それからというもの僕は懸賞というものにハマることになった。これなら高校生でもタダでギャンブルじみたことができる。それに気付いたらこれこそが正解だと思った。SNS何かでやっているワンタップで応募可能なちょっとした懸賞なんかも探してみれば種類はいくらでもあった。

 その次は前に思い付いたソシャゲのガチャでもずっと欲しかったキャラクターを手に入れたし、高校の授業で出されためんどくさい課題の答案を教えてもらうこともあった。

 ノートへ黒いパソコンで検索したいワードリストを書き込むと、目に付いたものから特に選ぶことなくキーボードで入力していった。1日1回、時間帯も特に決めずにバラバラで。

 定期テストの答えを全部教えてもらおうかとも考えている。けれど自慢じゃないが僕は勉強が苦手ではないし、そこまでやるかは……。まあそれはまたその時が来たら悩もう。時間はある……。

 小さなギャンブルや小さな気になることは生きているとたくさん見つかった。漫画やドラマの次の展開とか、いつからか失くしてしまってずっと見つかっていない探し物。芸能界の裏事情なんかも。

 そういった小さな幸せを得て、小さな好奇心を満たす生活の中で当然大きなことも検索する――。そんな生活が続いた――。


 僕はある日の夜に、新しく買った音楽プレイヤーでお気に入りの歌手の音楽を聞きながら、新しく買ったクッションを抱いて、新しく始めたソシャゲをプレイしていた。全てすぐに結果が出るタイプの懸賞で当てた商品券で買ったものだ。

 僕はちょっぴりお金持ちになっていた。まだまだ本当にちょっぴりだけど、前から買いたかったものは買えた。

 その内、好きなお菓子がダンボールで1箱やら好きな芸能人のサインなんかも届く予定である。

 僕は充実していく生活の中で全てを手に入れられる気でいた。というか、実際手に入れられるはずだ。

 鼻くそをほじりながら、屁をかます。僕はこの世の裏の王になってしまったのかもしれない。そんな気分で。

 ふと窓から見た夜空では満月が見たことないくらいに輝いていた。その月を見てぼんやりと思う。この時間はいつまで続くのだろうか。

 生きていく中で何度か疑問に思ったことがある。けれど知れるはずが無いから諦めていることの1つ。こんな平和な空気はいつまでこの地球にあるのだろうか。

 それを考えると、心が透明になっていくというか……達観した気分になる……。誰にでもそういうことってあるんじゃないだろうか。

 綺麗な月を見たりしてふと思うのだ。

 今日はまだ何も検索していない。だから何を検索するか迷っていた。

 もう日を跨ぐまで時間が無かったし、僕は思い立ったら気分に任せてすぐに行動した。

「地球 終わる日」

 僕は黒いパソコンにその答えを問うた。

「地球が宇宙から消える日は、19万年201日後。地球上の人間が0人になる日は――」

 僕は黒いパソコンの画面を見て、ただ口をだらしなく開く。

 遠い……だけど、そんなに遠くもないんだな……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替われるイメクラ

廣瀬純一
SF
男女の体が入れ替わるイメクラの話

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

EPIC
SF
日本国の戦闘団、護衛隊群、そして戦闘機と飛行場基地。続々異世界へ―― とある別の歴史を歩んだ世界。 その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。 第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる―― 大規模な演習の最中に異常現象に巻き込まれ、未知なる世界へと飛ばされてしまった、日本国陸隊の有事官〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟と、各職種混成の約1個中隊。 そこは、剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する世界であった。 そんな世界で手探りでの調査に乗り出した日本国隊。時に異世界の人々と交流し、時に救い、時には脅威となる存在と苛烈な戦いを繰り広げ、潜り抜けて来た。 そんな彼らの元へ、陸隊の戦闘団。海隊の護衛艦船。航空隊の戦闘機から果ては航空基地までもが、続々と転移合流して来る。 そしてそれを狙い図ったかのように、異世界の各地で不穏な動きが見え始める。 果たして日本国隊は、そして異世界はいかなる道をたどるのか。 未知なる地で、日本国隊と、未知なる力が激突する―― 注意事項(1 当お話は第2部となります。ですがここから読み始めても差して支障は無いかと思います、きっと、たぶん、メイビー。 注意事項(2 このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。 注意事項(3 部隊単位で続々転移して来る形式の転移物となります。 注意事項(4 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。かなりなんでも有りです。 注意事項(5 小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。

処理中です...