1 / 117
word1 「このパソコン 何」
しおりを挟む
ある日の夜、就寝の為に自室に入った僕は見慣れない光を見た。暗闇をぼんやりと照らす淡い光だ。
なんだこれ――。
半分閉じていた目に力を入れて、恐る恐る蛍光灯のスイッチを入れる。
すると、机の上に現れたのは謎のパソコンだった。
黒い色をしているノートパソコン。ディスプレイがあってキーボードがある。黒いマウスもセットだ。一見したところ何の変哲もないごく普通の代物。
謎なのはなぜそんなものが自室の机に置いてあるか、ということだった。
僕は自分用のパソコンを持っていない。まだ高校2年生なので親からスマホは与えられていても、パソコンは与えられていない。だから、昨日までそこになかったパソコンが部屋にあるのはおかしいのだ。
近づいてよく見てみる……。そうしてみても、やはり特におかしなところはない普通のノートパソコンだ。画面は起動したばかりのパスワード入力画面のようで、黒い背景に白色のワードボックスが中央にぽつりといるだけ。
親のパソコンはこんな色だったか。いや違う。僕の家には黒色のパソコンはない。友達の家でも親戚の家でもこのパソコンは見たことが無い。誰かがここに間違えて置いていったという線は薄い。
じゃあもしかして僕へのプレゼントか。大きくなってきた僕へ親からのサプライズプレゼントだろうか。
少し嬉しい気持ちが顔を見せる。しかし、誕生日もクリスマスも今日からはまだずっと先だ。だとしたら……。
「このパソコン 何だ」
僕は独り言でぼそりとつぶやく。
するとその時パソコン側からコンタクトが取られた。
「コノパソコン ナニ ケンサクワードハコレデヨロシイデショウカ」
「え」
車のカーナビみたいなイントネーションで女性の声がする。僕は画面に顔を近づけて何が起こったのかを確認した。
見ると中央のワードボックスに「このパソコン 何」と入力されている。
あ、何かAIのヘルプ機能みたいな感じのやつかな――。パソコンの知識が乏しい僕はそう思った。そして機械音声の言う通り軽く操作させてもらえば謎のパソコンの正体に辿りつける気がしたのでパソコンの前に座る。
この場合そのままEnterキーを押せばいいよな。それしかない。ほいっと。
弾むようにキーを叩く。そのほうが気分が良いので2回。これでユーザーネームとかが見れたら話は早い。
ワードボックスが消えて代わりに画面中央にグルグルが表示される。スマホでも動画を見る時なんかによく見るロード中のグルグルだ。
最近のパソコンは進化したんだな音声認識とは。腕を組んで数秒間グルグルが消えるのを待った。
そして、次に画面に表示されたものを見て僕は眉をひそめる。
予想外にそこそこの長文がそれだけで画面に表示された。
「このパソコンにはありとあらゆる全ての疑問の答えが入っています。あなたは気になる言葉を入力することでその答えを知ることができるでしょう。しかし、それにはルールがあります。答えを検索することができるのは1日に1度だけです。1日に1度であればどんな質問にも答えることができます。宇宙のことでも、未来のことでも。そう、このパソコンならね。」
英語を翻訳したかのような文で構成された文章。その内容を読み解くと最初に抱いた疑問はより深いものとなった。
「いや……何だよこのパソコン」
なんだこれ――。
半分閉じていた目に力を入れて、恐る恐る蛍光灯のスイッチを入れる。
すると、机の上に現れたのは謎のパソコンだった。
黒い色をしているノートパソコン。ディスプレイがあってキーボードがある。黒いマウスもセットだ。一見したところ何の変哲もないごく普通の代物。
謎なのはなぜそんなものが自室の机に置いてあるか、ということだった。
僕は自分用のパソコンを持っていない。まだ高校2年生なので親からスマホは与えられていても、パソコンは与えられていない。だから、昨日までそこになかったパソコンが部屋にあるのはおかしいのだ。
近づいてよく見てみる……。そうしてみても、やはり特におかしなところはない普通のノートパソコンだ。画面は起動したばかりのパスワード入力画面のようで、黒い背景に白色のワードボックスが中央にぽつりといるだけ。
親のパソコンはこんな色だったか。いや違う。僕の家には黒色のパソコンはない。友達の家でも親戚の家でもこのパソコンは見たことが無い。誰かがここに間違えて置いていったという線は薄い。
じゃあもしかして僕へのプレゼントか。大きくなってきた僕へ親からのサプライズプレゼントだろうか。
少し嬉しい気持ちが顔を見せる。しかし、誕生日もクリスマスも今日からはまだずっと先だ。だとしたら……。
「このパソコン 何だ」
僕は独り言でぼそりとつぶやく。
するとその時パソコン側からコンタクトが取られた。
「コノパソコン ナニ ケンサクワードハコレデヨロシイデショウカ」
「え」
車のカーナビみたいなイントネーションで女性の声がする。僕は画面に顔を近づけて何が起こったのかを確認した。
見ると中央のワードボックスに「このパソコン 何」と入力されている。
あ、何かAIのヘルプ機能みたいな感じのやつかな――。パソコンの知識が乏しい僕はそう思った。そして機械音声の言う通り軽く操作させてもらえば謎のパソコンの正体に辿りつける気がしたのでパソコンの前に座る。
この場合そのままEnterキーを押せばいいよな。それしかない。ほいっと。
弾むようにキーを叩く。そのほうが気分が良いので2回。これでユーザーネームとかが見れたら話は早い。
ワードボックスが消えて代わりに画面中央にグルグルが表示される。スマホでも動画を見る時なんかによく見るロード中のグルグルだ。
最近のパソコンは進化したんだな音声認識とは。腕を組んで数秒間グルグルが消えるのを待った。
そして、次に画面に表示されたものを見て僕は眉をひそめる。
予想外にそこそこの長文がそれだけで画面に表示された。
「このパソコンにはありとあらゆる全ての疑問の答えが入っています。あなたは気になる言葉を入力することでその答えを知ることができるでしょう。しかし、それにはルールがあります。答えを検索することができるのは1日に1度だけです。1日に1度であればどんな質問にも答えることができます。宇宙のことでも、未来のことでも。そう、このパソコンならね。」
英語を翻訳したかのような文で構成された文章。その内容を読み解くと最初に抱いた疑問はより深いものとなった。
「いや……何だよこのパソコン」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる