不思議な時計屋

第2章・宝物

10話 再始動

会社に戻ってきた僕は、まず社員を集めた。

「どうしたんですか？社長。」

「お金が工面できたから皆に給料を渡そうと思ってね。」

「お金が無いって言ってたの今朝じゃないですか！大丈夫なんですか？」

「なにかヤバイことに手を出したりしていないですよね？」

何人かの社員が僕に疑いの目を向けてきている。

しかし、不思議な時計屋に行って僕の寿命を売ってきたなんて言っても誰も信じてはくれないだろう。

頭がおかしくなったと思われてしまうかもしれない。

「あー、このお金は知り合いがくれたんだ。会社が大変だということを話したら力になると言ってくれてね。」

そう言うと皆は納得して、各々の持ち場に戻った。

午後には先ほど来た借金取りの所へ行って300万ゴールドを無事返済することができた。

その他の借金も全て返し、会社も守ることができてひとまず安心した。

しかし、大切なのはここからだ。

赤字続きなのは変わらないので、このまま何も変わらなければ、お金が無くなった時にまた借金をするはめになってしまう。

そのためには、このお金を使って新たなヒット商品を作らなければならない。

僕は連日、夜遅くまで会社に残って商品開発に勤いそしんだ。




「ふぅ、やっとできた…。」

ここ最近で僕が考えた案をまとめて、試作品が完成した。

自分で言うのもなんだが、かなりの自信作だ。

これはきっと皆も良いと言うに違いない！

その日は夜遅かったので会社に泊まることにして、皆が出勤してくるのを楽しみにしながら眠りに就いた。