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初心者冒険者と他1名編

元勇者流勧誘術。

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「俺、あの人に仲間になってほしい。だって……」

獣の特徴を持って生まれた人間は生きづらい。
仕事がもらえなかったり、理由のない暴力にあったりするって、兄ちゃんが言っていた。
傷だらけで怒るあの人が、そんな自分ではどうしようもないところを盗賊団につけこまれたならって、どうしても思ってしまう。

「わかった。レンは仲間を勧誘するの初めてだもんな。お手本見せてやるよ」
「ほんと!? 頼む」
「ファイアボール」
「え?」

爆炎が、男の背後で火柱になる。
一瞬固まって、でもすぐにダガーを構えなおした彼の喉元に、ユウキの剣の切っ先が押し付けられていた。
「ユールさん、だよな」
「あ? 気軽に呼んでんじゃねえ、ぶっ殺すぞ」
「妹さんがいるだろ? リメアちゃん。心配じゃない?」
「……マジでぶっ殺す」
「妹さんは悲しむだろうなぁ、お兄ちゃんが目の前で処刑されるなんて。それで手に入れたお金で生きながらえて」
「テメェ」
「罪人の妹として生きていく、なんて優しい未来が待っているなんて思ってる?」
「なっ……」
「お前の妹は死ぬ。盗賊たちに売り払われて、路地裏の奴隷市場でな」
「……あいつら、まさか」
「それとも、俺が先に楽にしてあげたほうがいい? 大好きなお兄ちゃんを信じたままあの世に行ったほうがまだ幸せな最期じゃない?」
「……っ」
「警吏に突き出す前に、妹さんを狩ってあげようか。処刑台に兄妹二人で立たせてやるよ」
「やめろ、妹は、妹は関係ないだろ!!」
「わかんないかな、これはチャンスなんだぜ。お前のじゃない、メリアちゃんの」
「糞が、糞がぁぁぁぁぁ!!」

「やったな、レン、好感触だぞ!」
「好感触ではねーよ」
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