異世界転生しすぎたコイツと初めての俺のアルファレードぐだぐだ冒険記

最初の村

俺のスキル詳細。

「ほら、ステータス表示、ここ押して！」
無理やりに俺の隣に顔を寄せてきたユウキに手を引っ張られて、俺の指がチートスキル『発酵食品マスター』の文字に触れる。
「……発酵食品に関するマスタークラス。毒物は作れないが、そのほかの発酵食品に関するあらゆる技能を持ち、その味はいずれも絶品で栄養満点である。作成物は売ることもできる。レアリティSSS、火力F、回復力F、効果範囲自分中心」
「あー、いやな、自傷系とか、代償ありの能力はここに表示されるんだけど、なしか」
「……先に教えろよこれ」
「ゴメンってば。俺もこの機能忘れてたんだよ、全部覚えちゃって」
気絶する前は結構しおらしかったはずが、もういつものユウキに戻っている。
「離れなさい？」
「はー、過保護すぎるんじゃないですか？」
「ははは、表出るか？」

バチバチ火花を散らす二人を横にステータス画面を見るが、確かに危なそうなことは書いていない。
「その……じゃあ、心配ないってこと？」
「おう。変な状態異常もないし、疲労溜まってるから、疲れてることは確かだけどな」
「まあ、そうだよな」
ぼふんと、起こしていた体を倒してベッドに横たわる。
「すごく緊張したし、疲れた。怖いし責任重大だし、ユウキはいつもこんなことしてたんだな」
「その疲労感がうらやましい……緊張ってもう思い出せない……」
「お前ガチで病んでるな」
「だろ？」
「ちょっと寝ていい？」
「おう。起きたらさ」
「はいはい、ユウキ君。ここまで。レン、ゆっくりお休み」
「放せって！　じゃ、レン、またな」

疲れた。
家事も兄ちゃんがやってくれそうな感じだったし、寝るか。
あー、でも布団が湿ってる……。