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最初の村
キレすぎ幼馴染が怖すぎる。
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「倍」
「なんだ、まだ子供か。あの子供も使えそうですね。ナジーロ」
「はっ、お前ら、捕えろ」
「倍倍倍倍倍倍倍」
「か、閣下、何か見えない壁が……!!」
「何? ナジーロ!」
「はっ、倍加ファイアボール!!」
「倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍」
「レジストされた!?」
「いえ、これは……絶対防壁!! 黒の勇者の――」
「倍倍倍。はー、やっぱMP無限って糞スキルだわ。ブーストがタルすぎ。はい、収縮」
俺の前で、ユウキが立っている。
その顔は見えないが……なんかかつて聞いたことないくらい怒ってるような。
「ファイアボール?」
ユウキが適当に言うと、太陽みたいな炎の塊が現れた。
魔術騎兵が浸かっていたオレンジのファイアボールではない、真っ黒のファイアボール。
「黒き炎!? おい、ナジーロ、レジストしろ!!」
「あ、あれは……ち、違います。あれは、まさか、黒勇者カイルの、滅びの炎!!」
「レジスト、レジストだ!!」
「無理です、あれは……帝都までもを焼き払う――」
「あー、そういうリアクション、俺もう一ミリも求めてないんだよね」
俺に背を向けるユウキが、信じられないくらい冷たく言う。
「さっさと焼けて消えろ。モブども」
「ひ、ひぃぃぃぃ」
「閣下ぁぁ!!」
黒い巨大な発光体が、ゆっくりと落下していく。
あれ、落ちたらどうなっちゃうんだろう。
みんな、死んじゃうのかな。
もう中身なし、HP0って状態だった体が動いた。
「ユウキ、ユウキ、やめろ!」
幼馴染の腰を掴んでいた。
「あ、レン、ゴメン……ちょっと俺、お前のことわかってなかったっていうか、誤解があったかもしれなくて」
「じゃなくて、アレ!」
「アレ?」
「あの、黒いアレ!!」
「……? ……あ、あのファイアボール? あー、またゴメン、びっくりしたよな。今消すから」
シュポン。
黒いファイアボールが消えた。
「へ……」
「ユウキ、俺、お前に謝りたくて」
「な、なにが……」
「閣下、逃げましょう! あれは……黒勇者だ!!」
帝国軍が逃げ去っていくのをしり目に、ユウキが俺に向かって。
「あの、すぐに言えなくてホント悪かったっていうか、ダサかったって凹んでるんだけど」
え、あれ?
帝国軍の侵略は?
俺の決死の戦闘は?
「ゴメン! お前のこと、傷つけたよな!」
「いや、それどころではないが?」
「なんだ、まだ子供か。あの子供も使えそうですね。ナジーロ」
「はっ、お前ら、捕えろ」
「倍倍倍倍倍倍倍」
「か、閣下、何か見えない壁が……!!」
「何? ナジーロ!」
「はっ、倍加ファイアボール!!」
「倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍」
「レジストされた!?」
「いえ、これは……絶対防壁!! 黒の勇者の――」
「倍倍倍。はー、やっぱMP無限って糞スキルだわ。ブーストがタルすぎ。はい、収縮」
俺の前で、ユウキが立っている。
その顔は見えないが……なんかかつて聞いたことないくらい怒ってるような。
「ファイアボール?」
ユウキが適当に言うと、太陽みたいな炎の塊が現れた。
魔術騎兵が浸かっていたオレンジのファイアボールではない、真っ黒のファイアボール。
「黒き炎!? おい、ナジーロ、レジストしろ!!」
「あ、あれは……ち、違います。あれは、まさか、黒勇者カイルの、滅びの炎!!」
「レジスト、レジストだ!!」
「無理です、あれは……帝都までもを焼き払う――」
「あー、そういうリアクション、俺もう一ミリも求めてないんだよね」
俺に背を向けるユウキが、信じられないくらい冷たく言う。
「さっさと焼けて消えろ。モブども」
「ひ、ひぃぃぃぃ」
「閣下ぁぁ!!」
黒い巨大な発光体が、ゆっくりと落下していく。
あれ、落ちたらどうなっちゃうんだろう。
みんな、死んじゃうのかな。
もう中身なし、HP0って状態だった体が動いた。
「ユウキ、ユウキ、やめろ!」
幼馴染の腰を掴んでいた。
「あ、レン、ゴメン……ちょっと俺、お前のことわかってなかったっていうか、誤解があったかもしれなくて」
「じゃなくて、アレ!」
「アレ?」
「あの、黒いアレ!!」
「……? ……あ、あのファイアボール? あー、またゴメン、びっくりしたよな。今消すから」
シュポン。
黒いファイアボールが消えた。
「へ……」
「ユウキ、俺、お前に謝りたくて」
「な、なにが……」
「閣下、逃げましょう! あれは……黒勇者だ!!」
帝国軍が逃げ去っていくのをしり目に、ユウキが俺に向かって。
「あの、すぐに言えなくてホント悪かったっていうか、ダサかったって凹んでるんだけど」
え、あれ?
帝国軍の侵略は?
俺の決死の戦闘は?
「ゴメン! お前のこと、傷つけたよな!」
「いや、それどころではないが?」
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