異世界転生しすぎたコイツと初めての俺のアルファレードぐだぐだ冒険記

最初の村

火と終わり。

え、暗い。
と、言おうとしたら呼吸ができなかった。
あ、え……。
もしかして、埋まった？

と思ったら、突然視界が開けた。
「大丈夫か、少年！！」
「げっほげっほ、あの」
か、髪掴むのやめて！　痛い！

「ああ、確かに、これはすぐには進軍できないかな。功績は認めましょう」
赤い髪の男が、土砂で埋まった関所を見て笑う。
「王国へ侵攻が少し遅れてしまうな。パパに怒られてしまう……ナジーロ？」
「はい」
また、あの倍加ファイアボールってやつ。
「ごめんなさい」
「……なんだ？」
「あの、今の土砂崩れ、実は帝国軍を巻き込めたんです。そしたら、あなたは無事だったかもって」
「それで、自分が埋もれたのか？」
「え、あ、そうですけど」
「誇りに思う。私は、君を守るために騎士団にいる！」

か、かっこよすぎか！？
この人は絶対に俺が殺させねえ！！
青い鎧の人の力になりたくて、何とかチートスキルで発酵させられる食品を探す。
あれとか！
あれ？　心臓から何も出てこない？
「え……ええ……」
なんか苦しいような、ぼーっとする。
ああ、そうか。
チートスキルが簡単なんて、ユウキの妄想聞いただけで。
俺にはそんな力なかったんだ。
「すまんな少年……」
「あなたが、誤らないでください。俺、感謝してますから」
あーあ、こんなことなら、ユウキに土下座してでも来てもらえばよかった。


「あ、そこまでにしといてもらえる？　俺……めちゃくちゃ怒り狂ってくるからさ」