SRB

かもめ7440

文字の大きさ
上 下
17 / 17

29・30

しおりを挟む

 昼に出発する、リオとヒースの忠告もあって、
 最初から小さくなった幻獣バハムートを待機させておく。
 大きくしてはいけないということもないが、
 鍾乳洞が崩れるだろうという配慮もあった。
 (*ヴィトゲンシュタインの作った猫の骨格標本のようなポーズをしています)
 ピグ曰く、バハムートの野郎は顔が怖いから多少はファンシーにしておく必要がある。現実には魔法消費量の問題がある、大きければ大きいほど激しいのだが・・。
 >>>バハムートは別に何も言わなかった。
 (エルフの発言が癪に障るほど、幻獣というのは短く生きていない・・、)
 言っておくけど、俺はルックスより実力重視だからな。
 ご主人様が、ソリアのけしからんおっぱいに執心されているのは遺憾です。

 「完熟メロンというのは、困りますな。」
 一人二役を熱演する、揮発性成分を多く含んだピグ氏。
 プロポーション指数、
 トップバスト×身長×ヒップ÷アンダーバスト×ウェストの二乗。
 「困ります、ご主人様はメロン農家に生まれたかったクチですから。」
 大して用もないのに出ばってきているうさぎのトムが、
 ―――これまた何故か、うさぎ軍団を連れてきて盛大な騒ぎ・・。
 「さてはメロンソーダに二つのストローは野暮だと気付いたな。」
 「さては美女を眼で追っていてメロンソーダを股間にこぼしてしまったな。」
 「さてはメロンソーダはファーストキスの味と妄想して、
 股間をふくらませてしまったな」
 いや、ふくらませちゃいろいろまずいだろう・・。
 、、、、、、、、、、、、、、
 はにかみメロンソーダシリーズ・・。
 うるせえ、と言うと、ゆさぎ達、
 ・・・耳を前脚でおさえながら、あのおじさん怖いとソリアに甘える。
 
 「・・怒るのはいい、でも、お父さんのパンツと一緒に洗わないで!」
 もし今度一緒に洗ったら、あらいぐまに頼んじゃうから!
 「お願いだから、お父さんの入った後のお風呂はやめて!」
 もしそんな真似したら、スライム風呂だって構わないから!
 「お父さん、どうして私なんか生んだのコカコーラ!」
 いつのまにかシードがお父さんという役柄になっている。
 よしよし、というソリアがお母さんという役柄
 >>>でもコカコーラは関係ないと思う。
    なにゆえ
 ―――何故?
 リオに全員蹴飛ばしてもらおうかな、とも思ったが、まあ、集団行動である。
 ―――ポテンシャルを出すためにリラックスは必要かな、と思う。
 でも、それはそれ、これはこれ、である。

 ―――ピグ、虫籠の中に入れるぞ。
 でもソリアはピグに怒らない、保護欲や庇護欲を喚起されるからだろうか。
 大胆なトリミングで写真に変化を・・!
 ―――いまも、ソリアの肩まで逃げていった・・。
 その先を辿って行くと、たちまち眼にぶつかるような大きな山脈がある。
 
 セッラ・デ・サンタバーバラ山のようなダーヴィド山の緑の景色の部分には、
 観光名所に指定できそうなお花畑や、変わり者が住んでいた邸宅や、
 古代の遺物などがある。
 地形に沿ってざわめく大地を歌う、暗い水の揺れるような光・・。
 刻一刻と時がたつにつれて、景色はますます絵のような趣を見せてきた。
 黒と黄との混じっているデイジーのような林のなか―――。
 白い牙をむき出しにした穏やかな蜜蜂の翅音・・・。
 しのびやかにくすぐるように傾き遠ざかってゆく日の盛り。
 (幻獣バハムートの話通りならだが、それは竜を信仰する建物)
 絵巻物をくり拡げるように、
 アミニズムが散見される360度の全方位撮影をしているリードアクセス・・。
 [ゴブリンのキャンプ地や甲虫族や、蝙蝠族、アンデットもいるのだが、]
 遭遇はしなかった。
                  かいな
 時には斜面を転がり落ちるタイタンの腕・・。
 基本的に彼等は人間に攻撃を仕掛けてくることはない・・。
 (ここまでなら、冒険者やトレジャーハンターやギルドの連中も来る、)
  、 、 、 、 、 、 、 、 
 [イ ン タ ラ ク テ ィ ブ]
 ―――安心できるのは山の標高が低い森の景色の間、
 ソリアの周囲を飛んでいるミニチュアバハムートは、ちなみに、
 この頂上の洞窟に住んでいたと言う。
 ――急性高山病、低体温症、
 「だが、奴等がいるのは、灼熱地帯だぞ。」
 死人の眼のように濁っている雲、落日に彩られた光を呼吸するような、赤が迫る。
 凹凸の線を描いて、削りたてた丘が、不毛度数を引き上げている・・。
 南西から北東の方角にずれたであろう褶曲と衝上断層・・。
 深さ数十メートルに及ぶ窪地や、川水が地下に流れ込んでいく渓谷を越えて、
 やがて、ごつごつした、人が住めない火山地帯へ。
 制限区域――現実と幻想の境界・・。
 ポゴゴ・・ブググ―――。
 水が地殻の充分深いところまで浸透すれば熱い岩と接触して加熱される、
 無数の人間の関節が一斉に鳴るような音・・、涌出・・。
 隕石と呼ばれているものがくりかえし轟音をとどろかせて飛来する構図、
 黒い蒸気を吐き出す快活な昆虫のような印象―――。
 熱水泉―――間歇泉・・プシュウ―――ッツ・・。
 >>>大砲のような印象
 ―――飛沫が、周囲に霧のように飛ぶ―――首筋に汗が辷ってゆく・・。
 手術皿の底にまぎれこんだ―――弾丸のよう・・。
 (疲れた眼が水蜜の皮のように剥ける、
 鋼鉄線のような目的はぷつんと断ち切られる、)
 [ふやけた蜘蛛の巣、小鳥の巣、家の類は一切寄せ付けない、]
 浮動する放熱帯から、灼熱帯・・。
 ナビゲーション
 地図案内によれば、十五分ほど続く道・・go down..go straight...
 turn rightしながら、足をひろげて着水する白鳥の道・・。
 湯気や靄、高温を抜ければ地の底に続く穴深くに、氷点下の冷気に閉ざされたよ
うなものものしさを放つ鍾乳洞が見えてくる。
 俗にいう、『悪魔の穴』である―――。

 ちなみにこの時点で、ゆさぎ達は召喚魔法を解除することで、
 帰って行った―――でも何故、大勢のゆさぎ達が来たのかは、
 さしものシードでさえ不明である・・マジイーッツ・・ク!

 (というか何故ソリアがゆさぎを呼んだのかシードは知らない・・)
 呼びたがり注意!
 >>>ライトノベル作家のお約束、異世界召喚斬りいいい!!!
 さて手筈通り、このSF映画の異星めく地獄的景観のまえにシードが、
 、、、、、、、、、、、、、、、
 バブル状の障壁となった円形空間を魔法でひとりひとり作り、
 そのまま、ぽわわんと蟹の甲羅のぶつぶつのような道を歩いてゆく。
 エンテロバクター・クロアカが、汚染された静脈注射用の液体、
 非経口完全栄養液および医療器具を通じて新生児に伝達されることがあるみたいに、絶望的ともいえる情況をひっくり返す強烈な一発。
   バ ル ー ン
 『石鹸呪障壁』
 アクティヴ・サスペンション―――。
 嬾のうい光の状況、自然の花火がこぼれおちたような場所で、
 半ば道に拒まれた一同の表情を明るくする・・。
 (ひとりで奔りゆく指先が栗鼠のようにスライドしていくピアノの写真・・)
 でもやはり状況は“イリヤ・レーピン”の『ヴァルガの船曳』

 「それにしても、シードはどんな環境でもやれるんだな。」
 とヒースが感心したように言う。
 魔法自体は知っていたが、それは『宇宙の物置』であり、
 印象としては数百年の埃をかぶった『石器』である。
 そこまで融通をきかせた魔法の覚え方をしていないからだが、
 でもそれはたんに、魔法の範囲の興味によるものではないか、とシードは思った。
 「―――ダンジョン系に潜ったらわかる、これぐらい出来なきゃ普通に死ぬ。
 それにヒースは黒魔法の攻撃特化型だろ、オリジナル魔法だろ、あれ、
 俺も使えない。」
 褒めているのか貶しているのかわからないが、褒めているのだろう、肯く。
 まあシードの言うように、この手の魔法はダンジョン系に特化している。
 「あの時褒め損ねたけど、
 ああいうのってセンスいいなあ、と思ったんだ。」
 リオも肯く。
 万能型の魔法ではないが、ヒースの攻撃特化型の魔法にはセンスを感じる。

 シードはヒースに説明する・・。
 A 魔法学校の生徒ではないとわかるから。
 B 器用貧乏みたいな魔法の奴には絶対に手に入らないものだから。
   (器用貧乏みたいな魔法の奴とは、シード自身のことである。)
 C “一番重要なこととして”―――自分の魔法が好きなんだな、とわかる。
     、、、、、、、、、
 ソリアはそんなものなのかな、と思う。
 ―――相当な魔法の使い手であることは、周知の事実なのに・・。
 でも一見関連のない出来事がぴったりとはまりあうような構図。

 「・・・・・・それに、ある程度の魔法は、大迷宮に一人で潜ったらわかる。
 最終試験で、一年ほどいたから数百種の魔法を憶えた。」
 いや、おかしいだろ、とはヒースも言えなかった。
 大迷宮には様々な属性のモンスターがいる、当然といえば当然だ。
 「モンスターから攻撃を喰らって、
 毒状態とか、石化状態とかな・・。
 一応は使えただけで、
 正直その時までは魔法の実用性なんてそれほど、
 考えてなかった。あれはタメになる。」
 というか、一人で大迷宮に入るシチュエーションって何だ、とヒースが笑った。
 
 経験の超越論的条件・・生活形式、世界像が地平の融合を可能にする。
 ―――理解に関する一つの獲得される技術。
 
 彼が少年から大人になってゆく過程が、
 まるで天の配剤のように想像できた・・。
 ・・・足早に、溜息のような軽やかな風を越えて、
 触れればはじけるほど熟しきった鳳仙花の実のような、
 束の間の休みを振り切って、―――いつか本当に強くなる日・・。

 「・・・・・・・・・」
 そう言える師匠がすごいよ、とリオは思う・・。
 ちなみに、シードから見て私の魔法に何かある、とソリアが聞いてみる。
 シードは、幻獣バハムートを見た。
 (賢い幻獣バハムートは、話を聞きながら、何を言おうとしているのか理解する・・)
 さしあたってはそうだな、
 さしあたっては―――。
 [“物理攻撃”が重要視される瞬間がある・・]
 つまり、そういう話だったのだろう。
 「たとえば、ソリアの照明系の魔法も使えない場所が存在する。
 魔法効果が無効化されるんだ。そんな時に、視力を特化させる魔法。
 また、魔法が使えない時に無理矢理魔法を使って、
 どの程度のクオリティーに持って行けるかという訓練も、
 しておいた方がいいかも知れない。
 また無詠唱の訓練もした方がいい。俺もあまり得意ではないが、
 無詠唱も出来る。」
 ナイト・ヴィジョン ダーク・ヴィジョン
 暗視とか、闇視―――という。
 アクティベーション
 活性化―――。

 「別に不安がらせるつもりはないが、
 みんなが思ってるほど、俺の魔法は万能じゃない。
 あくまでも対大迷宮というだけだ。
 世界中の最大基準値が大迷宮ならありがたいが、
 幻獣を探そうという話になったら、賢者クラスの、
 一癖も二癖もありそうな奴が隠してる場合だってある。
 というか、いまからだって、そういうことが起こりうる。
 場合によったら、魔法書にのってるワード自体を封鎖される、
 あるいはその概念ごと閉鎖されるということもありうる。
 魔法本来の可能性は天文学的だ―――、
 ありとあらゆる不可能を可能にする・・。」
 
 ソリアは思う。
 非常にシードらしい言い方だと思う。

 「・・・・・・」
 しかし、とヒースは思った。
 埃の香かすかにしみて天鵞絨をなづる心地・・。
 シードの話を聞いていると世の中本当に楽な道なんて一つもないんだな、と思う。
 師匠の世話が終わったら、ありったけの魔法書を持って、
 大迷宮でも本当に潜ってみるか、と思えてくる。 

 ―――絶望もなく、希望もなく、燃え狂う炎にも似た情熱に酩酊して、
 いま揺れかえる若き群像・・。

 と、ズズン―――。
 地震だ。
 地上露出部分があらかた崩れ終わったのち、
 今度は地面の奥から地響きのような音が聞こえてきた。
 [高音部の聞こえぬ音楽の基調低音][トーキング・ドラム]
 (脳髄の底を透明な振動がくぐもって―――ゆく・・)
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 足から伝わるその音の方向を聞いてみるに、
 それは“鍾乳洞の地下部分が延びていた方向”から聞こえてきていることが分かった。
 咆哮―――硝子の破片のようにとげとげしく耳に刺さる叫ぶ声・・。
 ひっそり
 悄然として、―――遁げ行く道を妨げられたように低く彷徨って行く。
 おそらく、地上と同じように鍾乳洞ー遺跡状の地下も崩壊しているのだろう。

 しかし道は最終難関に差しかかかったところ・・。
 映写機の示すような姿態の次々の連続。
 あちこちで強い毒性を持つガスが噴出―――し。
 普通なら、頭痛、腹痛、吐き気、高熱、眩暈といった症状。
 ひどい状態になれば、失明、全身麻痺、幻覚幻聴、壊死、呼吸停止など、
 最早生命維持活動に致命的な打撃を与えるような症状もありうる。
 機械人間にでもならなければ普通は無理だと思う。
 (シードを、ロボットだと考える見方がパーティーに流行り出す・・)
 ―――防塵ゴーグルに防毒マスク、防護服も必要・・
 (―――砂漠の真ん中で、半永久的に燃え続けている業火。)
 [トルクメニスタンのイメージ]
 相互主観的言語ゲームの相互主観的記述。
 だが強酸性のガスもあり、一瞬にして錆だらけなる、とMAPにはある。
 (自然現象をトラップにしてしまう高度な魔法・・)
 また可燃性のガスにはもはや引火していて火の壁が出来ている。
 漠として渦巻く喚起と、鳥瞰図的視点。
 (冗談みたいにヒースは思う、
 プライヴァシーが完全に確保される住処・・引きこもりなんだな―――)
 クローズアップされる―――『悪魔の穴』・・。
 
 ・・・彼等も別にダーヴィド山の自然の猛威を舐めていたわけではないが、
 段々自分たちが、人間であるということがわかってくる。
 借金を踏み倒した人間を見るような眼をしながら・・。
 若干一名はこの摩擦的状況を軽々とクリアしてゆく。
 (有名なアホビーチ・・違った、マホビーチすれすれを飛ぶ飛行機の爆風体験・・)
 でも幸いなのは、彼が通行人の苦労を知ってくれていることだ。

 「これから魔法を強化系の呪文に切り替える、最初だけ苦しいが、
 我慢してくれ・・。」
 
 え、どうして、と言う者は一人もいなかった。
 (ちなみにこれも、予定通りである。)
 [先程までは現実的に対処不可能なものなので障壁系にしたが、
 ここから先は強化系にしなければいけない理由がある]
 何故なら、そこに、モンスターが出てきたからだ。
 宇宙空間でも隕石が来るのと同じだ、
 『回避』しなければならない、
 ならびに、『戦闘』しなければ殺される―――。
 イエス・キリスト的礫刑、クローズアップ・・無言劇――女の動き・・
 監/視/信/号または制/御/信/号
 ―――いわゆる地上動物を宙づりで捕獲する方法のように、
 彼等はこうやって潜入者を血祭りにあげてきたのだ。
 [鼠取り][ゴキブリホイホイ][誘蛾灯]
 ―――複数の能動ブロック―――陰湿な会話を始めるお伽噺・・
 (ウツボカズラやサラセニアなどの食虫植物は、
 葉につぼや筒状の穴を作り、そこに落ち込んできた虫を消化する―――)
 でも、もっと、残酷な處刑方法があるかも知れない――シ・・
 >>>一種の美人局と言えるかも知れない。
 サーカスに行ったらサーカスのテントが壊れて落ちてきたような具合・・。
 先程、シードが話していたように魔法呪文が万能ではない証拠。
 ヒース、リオ、ソリアがのたうちまわる。が、すぐに耐性を得る。
 ―――適応。
 (パナマ病や線虫等の病害に耐性を持つ
 バナナの交配種を開発するみたいに、だ。)
 一番的確な方法と言わざるを得ない。
 ちなみにピグは魔法の粉で反射し、
 ミニチュア・バハムートは意にも介していない。
 シードにいたっては、真っ先に現れた、
 (ちなみに、アルマジロのように高速で転がってきた、
 大きな隙と予備動作のある突進系攻撃。)
 >>>密林とかなら、『十四本脚のダンゴ虫』かと思ったかも知れない。
 火炎鼠を叩き斬っていた。
 入力段への帰還を有し、単純な構成を有しつつも、より速い速度で動作する。
 執拗な意志と餌食を求める嗜好。
 「(――無意味な問いかけ・・をして・・・)」
 汗がきらめいてくる、頬が火照ってくる、
 ―――躍動する姿の影が足元に浮かんでくる、
 眼に入らぬ陽炎を踏み潰すように連続した網の目のなかへ消えてゆく・・。
 片方が他方の上をすべり落ちるような方向・・
 ―――ソリアが回復に務め、リオが加勢に、ヒースが援護に入る・・。
 バハムートのすることは何もない。
 しかし何しろ―――。
 大迷宮を徹底的に攻略したシードは何しろ強かった。
 [何事をも熟知し、何事にも熟達したリーダーの手腕・・]
 さまよえるユダヤ人のような居心地の悪さ・・。
 (前321年第2次サムニウム戦争のとき、カウディヌム山道で、
 ローマ軍はガイウス・ポンチウスの率いるサムニウム軍の罠にかかり、
 全員降伏させられた)
 ―――全員が、いやこれはもう無理だろという場面でも、洗練―――化学変化・・。
 ひとりで国旗掲揚塔で自由の女神のようなことをやってくれている。

 幻獣バハムートを先頭にする配置にしながら、シードが喋る。
 「モンスターは一説には、環境適応の進化生物という見方もある。」
 「だがともあれ、魔物は魔力を食らうことで強さを増す。
 だから魔力を有する人間を狙う。」
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 身体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。
 時間が経てば元に戻るが、急激な作用による肉体的な変化である。
 膝を曲げる。皮膚の内側の膝骨の部分にふくらみが見える。
 地面につかない土踏まずの部分と指の付け根がへこむ。
 一瞬でその場を離脱する、リオが軽快に走ってゆく。
 ***運動の弾力のある柔らかさ、はじきだされた白き一線・・
 ―――バハムート下がれ!
 視野の快いふくらみのようにモンスターを蹴散らしながら進む。
 次々にすりぬけてゆく、リオの全速力・・。
 踏み板、オンリイコート・・ためらわないまよわないつきすすむ、
 リオの蹴り技がファイヤー・スパイダーを吹っ飛ばす。
     シルバー・ライトニング
 「―――銀の閃光」

 と、シードの指示が聞こえる。感覚を鈍麻させる習慣は、
 十二時過ぎたシンデレラの衣装のように跡形もなく消え去る。
 silhouette modeだ。
 明るい殻を合成皮革のように清潔で退屈なものとして・・。
 流れ星み た い に―――。
 ―――緊迫する・・。
                          しじま
 その実、数十秒にすぎなかったのに、果てしなくも長い沈黙・・。
 「みんな、気をつけてくれ。
 触れた途端にモンスターがいる場所に送り込まれる魔法陣を起動させる、
 強制移動装置や、マグマへと一直線の落とし穴もある。
 地図と地形を照合させて、罠の箇所を浮かべるから、
 踏まないようにしてくれ。」
 、、、、、、、、、
 地面が点滅している。
 そこが、マグマへと一直線への落とし穴―――。
 (エジプトの墳墓に盗掘者対策の落とし穴と見られる構造も残っているが、)
 [地雷ほど有効なものだったのかは定かではない、]
 ―――さて、“トラバサミ”とどちらが『効果的』だろう、とシードは考える・・。
 >>>電気罠や地雷はないようだ・・。
 と、いきなりソリアが、わきゃー、と落ちる。
 後ろを振り返った時のカメラの動き・・須臾―――。
 狭い井の口から眺められる真っ赤な火柱のような竜の火。
 まったく瑕瑾というものがない灼熱した生殖の演奏音。
 破裂する焔―――膨張する焔・・千里心眼に映った衛生的軌道・・。
 蔭のような絵絹、髪をふり乱した―――裸女の寝姿にも似た一瞬・・。
 (美しい髪は赤い小さな滝のよう輝きながら彼女のまわりを流れ落ちていく・・)
 [阿吽の呼吸][風を孕まない帆]
 ホワイトリゾート
 瞬視する白き夢―――。
 『熟れたトマトが潰れたような色』と、
 『マシマロのように溶けてしまいそうな皮膚の色』―――。
      、、、、、、、
 秀麗すぎてまやかしじみている・・。
 笑っている女の笑窪のような斑点―――。
 おいしいところいただいたな、と神の声が聞こえそうだ。
 セーブポイントタイム・・。
 (マグマは1300~650℃。地下の岩石が融解して生じる高温の液体。
 溶岩はちなみに粘性が高いので、一瞬触れるぐらいなら、
 靴などで踏んでも餅のように弾き返し溶けるということはない・・)

 ガシッと、シードが間一髪手を伸ばして掴む。ゆっくりと引っ張り上げる。
 つるは・・なぜ―――いっぽんあしでねむる・・・。
 ――(はくねつ)閉じられた 眼
 右肩を聳やかして、左肩を撫で肩にする―――。

 ドローンについているカメラの映像が無線かつリアルタイムで送られてくる、
 映像・・。絵の具のチューブをなすりつけたような、どぎつい原色―――。

 「・・・重いとか言ったら、許さないから。」
 そんたく しま
 忖度したり揣摩したりするつもりはないのだが、
 ピグの入れ知恵だろうな、そうとしか思われない、
 ***いまピグはエンジェルラブリーイナバウアーをしています。
 ソウルクラッシュエクスプロージョン・・。
 ・・・シンスウェン、ナ、オドロゥキ、ノ、アァート、ノー!
 ノッ!ノッ!ノッツ!
 (「テーブルトークRPG」)
 いまは―――それが終わらないように・・ 
 (「複合現実空間映像の提示」)
 そんなセリフの需要価値があったのは、ここに来るまで、である。
 「―――ソリア頼む、普通に話してくれ。」

 小さくなる、小さくなる、ピグのように小さくなるソリア・・。
 月の表面の一般的性格さながらの、
 スーパーデフォルメ現象ソリア・・。
 そして周囲は―――ガリバーになった・・。

 「―――はい。」

 ウォッカと呼ばれる酒を飲みながら火を噴くような、めまぐるしさ。
 、、、、、、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、
 でも勇者であれ武闘家であれ、その身に適した力業にいそしむだけ・・。
 まるでブルドーザーだ。神がかりのように夢中な、快速船。
 壁にある隠しスウイッチは来客時に隠したいところを隠すという、
 ブラインドのような使い方のヴァリエーション。
 ただ、モンスターたちは別に入り口を作ったようだ。

 ―――忘れてはいけないトイレの入り口を作る。
 宿屋や特定の回復スポットがないということは、トイレがないということだ。 
 「ちょっとそこまで・・」とソリアが言い、
 「ギャラクシーわからない。ミヤザワケンジがどうした。」とピグ。
 
 ばびぶべぼ。
 なのに、我慢の限界が、とリオが言うと、洩らせ、とか言うエルフ野郎。
 一般教養ともしき連中の為に言うわけじゃないが、
 、、、、、、、、、、、、、、、、、
 トイレを発明した人ってえらいと思う・・

 巨大鉄球―――
 まきびしや棘とは一線を画する殺傷目的の天井から串刺しにする剣山。
 を、起動させる、ラッシード王国とかいう国の第一王女。
 「・・・ドジとか言ったら許さないんだからって言えばいいのに。」
 と、ピグが、ソリアの周囲を飛ぶ。
 
 「というか、白魔術系の女子はガーターベルトですと言えばいいのに。」
 「ピグちゃん、・・・それ、関係ない。」
 「白魔法使いは、桜大根が好きですと言えば流行語大賞決まりなのに。」
 「ピグちゃん・・・・・・」

 ―――罠とは、侵入者を無力化させること。
 落石を用いたトラップもあった。ピットフォールトラップ・・・。
 [ふっと、氷で火を点ける方法を思い出す―――。
 クリアな氷の表面を整え、凸レンズ状にして、
 虫めがねの要領で固定すると着火する・・]
 この束の間・・熱―――。
 ―――森のサバイバル生活を思い出す不思議・・。
 >>>ワイヤートラップ。
 、、、、
 つるはしのような眼をして松明を翳す・・。
 、、、、、、、 、、、、、
 ちなみにそれも、奇跡的確率で、
 とあるツンデレ女性がやりました。

 デフォルメされてゆく吊り橋。
 何故かマグマの上にかかった細い通路を歩いたり・・。
 >>>いざという時のために浮遊系の呪文を全員にかけておく。
 (足を滑らせれば真っ逆さま―――)
 
 まさかやらないよなと思っているのに、よもや怒涛の快進撃、
 いきなり吊り橋が切れてしまう装置に着火マンする!

 「・・・あの、えーと、みんな、ごめん―――」とソリア。
 「そこは、やっちゃった、というのがいいな。」とピグ。

 「鋭敏な嗅覚のメスイヌであります、がいいな。」
 (もう段々ネタが羞恥プレイコンテストじみていく不思議・・、)
 電球の切れそうな心の部屋にホットなサービス・・。
 溢れるような愛おしさをこめて、ソリア・・。
 (これまで様々な形でフォローされてきたピグは、ソリアを、
 ギャグの雰囲気で軽く流す・・。)
 全身欲望枝葉末節耽溺目的物化するエルフの橋渡り、風のような語りかけ・・。
 形容詞は出現するモンスターのレア度を表し、
 名詞は出現するモンスターの種類を表すみたいに、
 [褒めても貶しても一切いいことがない]
 ―――と言って、結果的に怪我人も出ていないので文句を誰も言わない。
 いや実際、蟻の巣から出てくる蟻のように、
 (あるいは、音楽のリズムが胃腸の喘謝運動にうまく合って、
 食欲が増進するみたいに、)
 うじゃうじゃわらわら出てくるモンスター達の疲労を回復しているソリアを、
 手放すことはできないのだ。
 すべてが不可能に思える時もあるが、すべてが安穏に思える時もある。
 ジャイアント・インパクトを経験した際に、
 マグマオーシャンが形成されたと考えるみたいに。
 
 とまた、仕掛け装置に反応する弓矢・・。
 を、たった一人の女性が起動させている・・。
 
 「ソリア、わざとか・・」とピグが嬉しそうに言う。

 ロビンソン・クルーソー、ピーターパン、ドン・キホーテ・・。
 一つだけ共通点がある、
 物語以外では、ただいかれている、ということだ・・。

 (いかれていることはしかし、ある・・。)
 [モンスターは虫類さながらの手なずけられぬ、為体の知れぬ一味。
 ただ、釣り上げるしかない―――水母でも、蛇でも・・)
 >>>マグマの熱に耐えるほどの耐火耐熱性における防御力、
 >>>鮪砲弾といわんばかりの体当たり攻撃、
 >>>修羅界隈を好む傾向、モンスター同士で揉めあう性質、

 「(魔王軍のモンスターにはこのような傾向がある・・)」とシード。
 
 ―――与えられたプールで泳ぐ鯉なのか、
 テリトリーにおける反射作用なのか、
 魔王軍とは名ばかりで、実質ただの化け物モンスター達の大群。

 「ピグちゃん、ごめん―――」
 紆余も曲折もおかまいなしの、血液ホールドアップ量増加ー加速ー増進、
 ピグのいじりはともかく、
 (実際、ピグに乗じてリオやヒースが咎めたら、烈火の如く怒っただろう。
 そしてシードも、それを厳しく責め立てただろう・・。)
 ・・・簡単に見破りづらい性格のピグの無邪気な嘘―――秘密と呼ばれるもの・・。
 この鍾乳洞さながらの、
 地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性。
 でもパーティーメンバー全員がシード指揮のもとなので、
 よくわかる構図になっている。
 実際ソリアが罠に引っかかるのはMAPの情報が一切使えないからだ。
 (絶えず方向と様相を変化させる―――敵、位置構図にもズレがある・・)
 [熔岩が時に強い磁気を有するためにコンパスによる測量ができない、]
 罠の場所が違うのだ。
 むしろ、ソリアが罠にことごとく引っ掛かってくれるおかげで、
 シードがソリアを助けるだけで済むようになっている。
 運が悪ければ、全員が引っ掛かってもおかしくないのに、である。
 息を切らして、もはや足出まといどころか、
 邪魔すらしているんじゃないかのレベルだと思っているソリアは、
 低い熱っぽい声で、手の指を握り合わせながら、
 か・・・ら・・・だ・・・の・・・な・・・か・・・に・・・
 >>>生の営為の後ろ姿
 感情を抑え抑えて歔欷するように言う。

 「今度、武闘や剣術を修得する。」と言った。

 最低限の出席とレポート課題だけをクリアすれば単位の修得できる大学とは違う。
 微妙、入念、秘儀、手妻―――。
 あまりにも子供っぽい性急な自己反省。
 微妙な神経で扱うべきアルカリイオン水の扱い・・。
 寄生型白魔法使いの完成か、オイ、と。
 
 しかし『短距離』しか走ったことのない素人が、
 『マラソンレース』に出場するぐらい無謀だ。
 、、、、、、、、、、、、 
 でも全力を尽くせば出来る―――。
 でも、何をいわんや、である。狩場の雉みたいらしいソリアの主観的認識。
 適度の適切と適度の敵意をわざと向けてきたつもりだが、
 この際、しっかりと言っておこうかとシードは思った。
 ―――距てを置いた礼儀作法を介さない単純の魂とは言えまい・・
 、、、、、、、、、、、、
 白魔法使いの不思議な直観・・。
 (わざわざそれらの煩瑣な秘密を希わせるのも変な話だが、)
 ・・・淡 水 プ ラ ン ク ト ン の 宇 宙 

 「回復呪文だけでよかったんだ。バハムートもいる。
 リオやヒースも同じ気持ちだろう。
 そうやっているだけで無敵艦隊は完成するんだから。」
 ―――捕獲の石、虫取り網・・
 「いわば、将軍が食べられなかった天麩羅みたいな役どころ。」
 、、、、、、、、、、、、、、、、
 オイスウィトコロヲイタダキマスタ・・。

 何故だろう、
 うさぎ達の訛り声が聞こえてく―――る・・。

 予定通りの堅実なフォーメーションだ。
 ばんじ いとぐち
 万事の緒・・・。
 ソリアはともかく、その他のパーティーメンバーは、
 れきぜん エゴイズム しきいぎわ
 歴然たる利己主義の閾際で、
 天佑というのがあるのだな、と思う。
 (数十回の戦闘、頭を使う込み入った問題には触れなかったが、)
 時々刻々と変わる状況に応じた迅速な判断、二回ほど休憩を入れた、
 数時間突入、魂の回収人である死神が棺桶を用意してもおかしくない。
 [それでも、それゆえ敏感に、そこに宇宙の秩序を感得する]
 ―――ソリアはここでは絶対に死なないのだ。
 
 やがて、[最後の部屋]が見つかった・・。


   *
 

 最後の部屋には、扉があった。
 それはまったく関係のない樹だ。材木だ。小舟が岸から離れたような距離だ。
 幾度も幾度も飽かずにソリアは深呼吸をしている。
 地衣類のイワアバタゴケだろうか、とシードがじっと見つめている。
 頭の中の歯車が一つも残らずギギと不気味な音を立て出した。
 
 [シード・リャシアット]
 (罠自体は、バハムートのためだったのか・・)

 「入るぞ。」

 鍵は掛かっていなかった。
 (認識に委託された剰余の部分・・レンズは、それでもまだ生活の蜃気楼だ・・)
 [そういう認識への信頼は冷えて痺れた頭の中にある]
 ぎい―――っつ・・と開けて入ると、絵で見たことのある、
 『亀と蟾蜍の合成成物』のような、―――魔王軍第一師団ベラゲゴスの姿。

 //“壁には松明があり、ベラゲゴスは髑髏の椅子に座っている”
 【scene《威圧感を持った存在、高い矜持を感じる》】

 ―――しずかに擦れ違うように、距離を拡げてゆく、適正な補正・・。
 醜い老人の顔と肉の粘土とをひきちぎって貼りつけたような顔。
 >>>精密な銅版画
 のみとりでぞうをきざむがごとき―――。
 だのに、どこか大理石の彫像のようなおもむきがある。
 それはいまだかつて『知らざる興味』に属している。
  また彼らのけっして『あずからざる境地』に存している。
 亀の甲羅をかむった蟾蜍・・・。

 ヒースやリオ、ミニチュア・バハムート、ピグは、部屋の様子をうかがっている。
 あれだけの罠があった、まだあるのではないか、と・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、
 情景の絡みあいから生じる趣きは、
 忘却ースパーク、飛び散る連想・・。
 ソリアは認識の武器で、その魁偉の意味、殺戮に適したものを思った。
 ようやく成った暁には、形のない趣を判然と眼の前に創造したような・・。
 その顔の渦が勢いよく殺到してくる。人間を疎外にする遠いところでは、
 かざあな     みわけ
 巣・・そのどちらとも識別がつかないモンスター達とは違う。
 いかり肩や、厚い胸部、ふくれた腹―――。
 肉感の重く澱んだ思考は夜の墓穴深くに横たわっている。
 ゆっくりとした動作で動いた。
 身も世もあらぬ芳烈な毛細管の酒精・・
    まなこ  
 つぶる眼のまぶたあかるく荒み易い野性・・心臓の鼓動が病的に速い。
 不意に殻をむしりとられた蛹のような感じで、こちらを見た。

 「・・・上が騒がしいと思ったら、シードか。」
 幾重の厚い皺に囲まれた眼。
 こだわりのない会釈。これまでのモンスターとは存在感からして違う。
 絶滅間際の怯えた恐竜のような顔はしていないのだ。
 シードは一同に先んじて進んだ。

 「ずいぶん汚らしいものをありったけ集めた掃き溜めだな。」

 部屋には、人間の頭蓋骨が現住民族の集落の前のように置かれている。

 内臓頭蓋の骨格、および神経頭蓋の側面および屋根は、
 膜性骨発生によって形成される一方、脳を支持する骨格は、
 おおむね梁軟骨や旁索軟骨などに起因する軟骨性骨発生によって形成されている。
 ―――誕生の時、人の頭蓋骨は45個に分かれている骨的要素から構成される。
 成長とともに、これらの骨的要素の多くは、徐々に癒合して硬骨になる。
 ・・・そんな話を思い出す。
 口があけたり閉めたり出来る仕組みで、
 見物人を咬むまねをする頭蓋骨を思い出す・・。
 有名なローマの最後の王様タルキヌスが、
 ほうぼうで攻め落とした敵の市街からの奪掠物で寺院を建てた。
 そのときに敷地の土台を掘り返していたら人間の頭蓋骨が一つ出て来たみたいに、
 ―――殺したのだという風には何故か思えなかった、
 それは局限された世界の雨音や晴れ間のようなものだった。
 文章の裏からおぼろげなイメージが苦痛のように鮮明に蘇ってくる、
 それは他者を彩るための理解になっている。
 半ば腥い不動の生き物の平面を保持するために―――。
 「気に入っているのだ、シードよ。」
 「どうやら鼠はいないようだな。」
 と皮肉を言っておく。
 「・・・お前を倒しに来た。」
 そこにあるのは冷徹な戦士の趣・・・。
 「よかろう。」
 
 立ち上がった次の瞬間、シードは剣に手を掛けた。
 黄金色に輝いてゆく―――。
 一撃で仕留めてしまうつもりのようだ。
 でもソリアは少し不思議な気がした、シードにしては事を急ぎ過ぎている、と。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 心の方向を見定めるように事態を見守る。
 (あの甲羅から鉄壁の防御であることはわかるが―――)
 [ソリアは一同を見回し、いざという時に動けるようにしておく]
 
  [魔王第一師団ペラゲゴス]
 (強さへの飽くなき憧れ・・)

 「いい闘気だ。それに、わかるぞ、お前の強さが。
 だが、わしの甲羅は硬いぞ。」

 光の翼というエネルギーの爆発。一気に押し込んでゆく・・ジョーズ。
 玲瓏たる光線・・・ベラゲゴスは、動かず、
 ―――天から落ちた大鳥の羽根の一枚のごとき。
 シードが衝撃波を放った瞬間、甲羅の中にベラゲゴスは隠れる。
 「何ということはない!」
 すごい防御力だ。急ブレーキをかけられたような衝撃。
 だがシードはすうっ―――っつ・・剣をふたたび収めた。

 「言っておくが、お前はよけきれていない。
 こんな雑魚が魔王第一師団だというのか、片腹痛いな。」
 、、、、、、、、、、、、、、、
 手負いいるかのように沈んでゆく―――。
 迫った一つの空気の言葉や経験よりも、もっとむきだしの形であらわれた。
 幾万のどよめき、葦や尾花へのそよぎ・・。
 時をへた通りのひだを吹き抜けて接続する―――。
 次の瞬間、甲羅は木端微塵に砕けていた。
 「フハハ・・よかろう、見せてやろう、俺の本当の姿を。」

 グゴー、ギョエー、と変な鳴き声をあげながら、
 筋肉が脈動する。芋虫―――蝮・・。

 「これがわしの第二変態。超硬度アルマジロ。
 お前如きの剣では太刀筋一つつけられんわ!」

 眼の前には甲羅を吸収してより魁偉となった巨大な蟾蜍―――。 
 かいげん ぶつ
 開眼の仏・・。
 死の旅に乗り込む埠頭・・。
 下.か.ら.上.に.動く.人.間.の.習.性.
 掻き混ぜられてゆく感情の中から浮上するもの、―――嘘ざむそうな、恐怖。
 ズゴーン、ガゴーンと、領巾状の手で攻撃を仕掛けてくる。
 だがシードは眉一つ動かさない。血。躍動する筋肉。
 暴力。強さへの、限りない衝動。
 それが胸を明るく透かす矢のように、自分を、不気味な凸凹にする。

 「お前、馬鹿なのか?」
 「何だと貴様! 今のわしは甲羅より硬いのだ!」
 「それが・・」
 、、、、、、、、
 眉間に皺が寄った。

 「何だと言うんだ!」
  
 素早い動きで、距離を詰めると、
 ――こんなに明確な冷たさの形、鋼の奥の海の藍に似た光沢、
 電気が生命を帯びている、ゆらめき進む燐の軌跡・・
 ベラゲゴスの頭部付近でぐるぐると高速縦回転する。
 「大風車剣、とくと味わえ」
 
 次の瞬間、大きくなったペラゲゴスに攻撃・・。
 剣は、肉に喰い入りながら、より奥へ向かい、やがて真っ二つに切り裂く。
 刃の光の見せた氷河の輝き―――滑らかさと深さを持った条理の如くに。
 ギャオー、とやはり変な叫び声をあげて、消滅する。 
 、、、、、、、、、、、、、 、、、、、、、
 遠い現実に映し出されてくる、操作された映像、
 勝ったのか、とソリアは思う。ヒースは、おいおい、呆気ないな・・。
 ―――リオは師匠の力のスケールは違うと思う。
 喩えようもない焔を燃やして動いている若さがそうさせるのかも知れない、
 ―――前線で炸裂する、消え果てていく魔法のような永遠を求める若さ。
 でもピグや、ミニチュア・バハムートは、
 まだ、そこにある強力な気配を感じてい―――た・・。

  [シード・リャシアット]
 (お粗末な帝王切開だ・・)
 
 //“勇者は野蛮で独善的な態度を取るように踵を返す”
 【scene《連続性を断ち切ろうとする分裂作用》】

 「衝撃波と斬撃の威力の違いも、
 わからない馬鹿のようだったな・・」
 シードが剣をしまおうとした瞬間、
 塀の上をバランスをとりながら歩いているような不安定。
 、、、、、、、、
 誤植のような一瞬、
 それ、は、形になった・・。
 
 「なるほど、では、第三変態を見せよう。」

 粉微塵になったはずのペラゲゴスが磁石のようにくっつき合い、
 (掃除機に吸い込まれるよう・・)
 [強靭な生命力にあふれた集合体]
 しつごした・・・むすうの――め・・
 、、、        、、、、、、、
 手出しをしなかったのは怖いもの見たさかも知れない・・。
 一つの塊になり、ふたたび人間サイズになった。
 (達磨に蛙の脚が生えたようなベラゲゴスは
 新しく落ちた露の滴―――。
 鎧を着た、ペラゲゴス。スマートになり、筋肉隆々としており、
 蛇や鰐のようにも見える。
 水滴の音がきこえてきそうなぐらい本当に完璧な沈黙がそこにあった。
 ロック
 封錠されている口許―――。
 どんな欠陥も帯びていない、あまりにも完璧な姿・・。
 先程までは実力を知るための小手調べだったのだろうか。
 
 「なるほど、これは強そうだ。」
 「ご主人様、危ない!」

 (導火線が火薬を追いかけるように、)
 次の瞬間、シードはペラゲゴスに体当たりされ、
 >>>ショウゲキカンショウ
 光や熱い息吹のような抽象的なダメージ・・。
 ドアの方まではじきとばされていた。
 完璧にガードしていたのでダメージはない。だが、屑鉄の山の中の捻釘。
 ―――これが魔王軍第一師団ベラゲゴス。
 先程までの余裕の態度や表情はない。
 だが同時に、常識はずれの喜びがシードを襲った・・。
 ―――籠の中にいる小鳥の訴えのような彼の求める強い敵・・。
 聖人君子、勇者という概念や形式にはめこまれても、真四角になれない・・。
 おのずから唇にのぼり来る興奮をなつかしむ。巨大な欲望の渦巻。透視図。
 でも、これを合図に事態を守っていたヒースやリオは攻撃態勢に入る。
 ―――燃え尽きた打ち上げ花火さながらに消える楽観ムード。
 
 「・・・勇者ごっこが通用したのはほんの百年前までだ。
 我々もこの百年の間にまた強くなった。大魔王もな。
 でも、人間―――お前の勇気を褒め称えてやろう。」

 シードがやられる!
 キ ャ ビ ネ ッ トやパ ネ ル 面 の光沢の変化、
 私はシードの前に立った。勝てるわけはないと知りながら、
 *バグ *バグ *バグ
 、、、、、、、、、、
 シードを包む回復結界―――防御のことなど微塵もなかった・・。
 ヒースがリオが、加勢する・・。
 ・・・・・・あ た り さ わ り の な い か い わ
 自殺行為だと知りながら、立った・・! 

 「どけ、雑魚ども、お前等など邪魔だ!」
 ―――バハムートは本来ならあるじを守るために、動くつもりだった。
 だが、見る見るすげなく遠ざかって行く船のように、
 シードの戦闘力が引き上がってゆく・・。
 石棺の中から木乃伊が起き出したように・・。
 (獅子の闘争本能に火を点けてしまった、ソリア・・)
 それは何度も、君の背を押し、何度も、君の胸を叩く!
 戦いの帰趨を左右するのは常に、強さ―――けれど、時には勇気、無心・・。
 [その弾丸の道筋に身を置くこと]
 ―――ぱくぱく、と口を開けているペラゲゴス・・。

 眼つきが、鋭くなっているシード。
 神経的な感覚が尖鋭になる、鍛え上げた筋肉が神秘的なシルエットを作る・・。
 握った剣から、ばちばちと電撃のようなものが溢れている。え・・くせれ・・んと――。
 やがて、そして―――。
 身体中の黄金の闘気が一旦衝撃波となって頭上に向かいブーメランのように戻ってくる。後光の閃き―――迎撃の予定あり・・超自然発火能力・・神との一体感あるいはその片鱗。
 そして一、二度息を吐いて、息を整える。
 毒素の澱が抜ける、ディスプレイ・ウィンドーの中・・。
 吸収―――ペラゲゴスから二十歩ほど離れた位置・・。

 「だとしても、だ・・ペラゲゴス―――」
 背後にいたはずのシードが、私の横まで来ている。
 ソリア達にはその動きがまったく見えなかっ―――た・・。
 とびらをあけるのもとじるのもおなじ・・。
 右手に握られた剣をだらりと下げたまま近づいてゆく。
 ピントの合う範囲でイメージは変わる・・。
 (進むごとにスラムだ、地獄の門だ、have life, be alive)
 一歩、二歩、三歩。加速―――あらゆる筋肉を引き締めながら・・、
 「よかろう。」とペラゲゴスは言い、剣を取った。
 二人がわずかに動くたびに、構えた刀身が鋭く光った。
 その視線はペラゲゴスの剣に向けられている。
 いま、からみつくような視線。その視線の遣り取りに一同は難渋する。
 (いま下手な攻撃をすればシードの邪魔をする・・)
 [他人にはわからない厄介なさなだ虫]
 剣を振りかぶった、右下から前方に。後方から左へ。
 動きの先を読む。膝を曲げ角度を変える、足幅の位置をズラす・・。
 激震―――斬震・・旋風一閃・・。
 [剣と剣が打ち合うたびに火花が散る]
 (・・・すさまじい剣のやりとり、ペラゲゴスの剣の腕前は超一流・・)
 ―――おそらく勝負は一撃で決まる、とバハムートは思った・・。
 カキンカキン、と打ち合うたびに、地面がえぐれる、鍾乳洞が揺れる・・。
 メデューサの頭の蛇みたいに、動き回ってる。
 焚火を燃やす時のリズム・・物を打つ音、物を叩く音――。
 夜の迫る森の奥のワグナー・・。
 バハムートは思った、しかしまるで、竜同士の喧嘩だな―――。
 呼吸を計って突進し、相手の右側を駆け抜ける。
 ペラゲゴスは一瞬遅れた、それが命取りになった・・。
 錯綜する妄想、遁走する意味。ここは哄笑だけが響く迷宮・・。
 フ ラ ッ シ ュ !
 そして駆け抜けざまに滑り込む勢いのまま、ペラゲゴスの左脇腹を斬り裂く。
 剣の描いた軌跡は増幅されて波紋のように広がり、なお勢いを保っている。
 右足を半歩前に出し、重心を前方に移した。

 次の瞬間、シードの黄金色にかがやいた光が剣に一心に集まった。
 眼に一種ちらりと光った宣告をこめた冷たい無機質な光。
 深層心理の無防備な――<解除>・・・
 カッ! と強烈な閃光が周囲を満たし、視界を光で塗りつぶす。
 W,O,R,D,触れられる。

 「お前に滅びを・・。」

 次の瞬間、シードはペラゲゴスに襲い掛かった。
 まさか、とペラゲゴスが言った。
 心臓のドラムビート。チェスの忍耐強いまなざし。
 ヴィジョン
 隔幻話・・。
 貴様、もう既に、人間でありながら『神の領域』にまで到達しているというのか。
 それは寸毫の間に放出され、爆発する光となった。 
 エネルギーの移動、噴火する・・。
 剣を振るいながら、すべての音が止まった。
    エクスプロシオン・キーボトース
 ―――爆発する箱舟・・。
 それは神の雷ではなかっただろう―――か・・?
 ニーダーラーゲ・ゼクンデ・ヴェルドーヴィング
 「せめて静かな眠りを」
 
 後にはシードがそこに立っていた。
 永い時間が過ぎたように思われた。
  あるいは、極めて短い時間であったかも知れない。
 「シード・・」
 虫の息のペラゲゴス―――いや、そこには、サペンタエン先生がいた。
 突然闇が意思を持ってゆらりと揺れた。
 『回転後』の“イメージの状態”を示すアイコンが表示される。
 殺気が抜けていった。どうしてここに、と思った・・。
 布の落ちるように慌てて駆け寄る―――。
 小鳥のようにすばやく、サペンタエンのところまで翔けてゆく。
 「ペラゲゴスは、先生だったんですか?」
 僕に話しかけて下さい、大丈夫ですか・・。
 ―――シードが主語を僕にする・・少年時代の彼の喋り方・・。
 「・・・闇の力に呑まれてな―――」
 そこにはシードの知らぬ精神生活があった。
 位置、フォーカス、選択ステータス・・。
 人間という五臓六腑のなかにあるのは善悪だけではない、
 愛一つとっても恋人、師弟、友達、国家、とある・・。
 ―――でもそんな側面だけの仮面の人も、人の若い時にはある・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、
 広汎な空間からのリソース吸収力・・。
 いまならわかる気がする、影の部分、
 自分がひかれてやまなかったなまめかしい翳り。
 >>>夕闇の波間に浮かぶ妖しく美しい夜光虫
 (華美を跡形もなくはぎ取ってしまうまで、何年かかっただろう・・)
 それがどうしたなんて他の人なら言えるはずなのに・・
 小さな悪や罪や怠慢、少年のシードにはわからなかったもの・・。
 でも、それでも、
 でも、それでも、先生は憧れの人・・。

 『視力』を失ったと思えた―――、
 『階段』を転げ落ちたと思えた『現在の自分』
 自分は長い間、この人の背中を追い掛け続けてきた、
 この人は『安易な幸福の拒絶』であり・・。
 何度でも、『立ち向かうべき憧れ』・・
 しかしいま『遊星上の展開』の中・・・。

 //“長い間ずっと敵わないと思っていた師との剣のやりとりの後”
 【scene《その先に潜む闇は黄泉の国へ導く入り口》】

 「すみません、知っていたなら他に方法があったはずなのに、」
 何か舌の先に、砂粒に似たものを感じ出した。
 シードの眼に涙が光った。
 語る人生のターニングポイントという助手席から――。
 闘志を失った犬のように首をすくませ、肩を落とす・・。
 
 [シード・リャシアット]
 (誰が師を殺めたいと思うだろう・・)

 「ソリア、回復呪文を頼む。」
 一同慌てて駆け寄る、これが剣豪サペンタエン・・。
 どうしたらいいだろうという苛立ちと当惑の色がそれぞれの眼差しのなかにあった。高い頬骨に鉤鼻、意志の強そうな眉・・。
 ピグは思う、いつか、ご主人様が、サペンタエン先生と自分は似ている、と。
 顔はまったく似ていない、でも、ご主人様の言うとおり、よく似ていた・・。
 土色/陶器の色/木の葉の色/
 氷の破片が刺さった・・。
 全面的に、圧倒的に、包括的に・・。
 居並ぶ者たちの顔に、掛け値なしの驚きの色があった。
 [自らの剣ですべてが解決できた冒険者時代の英雄・・]
 >>>順番通りに棚へ収納する作業
 シードの剣の師匠・・その堅い一片の紅のような変化・・。
 盗まれて捕えられている感じが心の底に重くわだかまっている、莟。
 不意に、愛馬がなくなったような悲しみにソリアは襲われ涙ぐむ。
 光と距離がつくる柔らかに拡散する宝石の幻影は肉体的努力の産物。
 それは何千階段のぼった先へと行けばなくなるのか?
 その見えない重みは『苦悩』だろうか、
 それとも『堪え難い無力感』だろうか―――。
 
 待ち受けていたのは非情なるゴング・・
 まるで精巧な硝子人形を扱うように抱き起すシード―――。

 「―――シード・・無用だ、もうわしに回復魔法はきかぬ。
 でも、強くなったな、シード。」
 幼い時の顔が、オーバーラップする・・。
 半分夢のなかのような印象で――さみしそうだな、と思った・・。
 不意に、無趣味な装飾が、模様が、甦って来る――。
 いずれそういう時が来るだろうと、思っていた・・。
 立派になった、と。そしていま、その時は来た。
 死神が魂を狩りに来ている―――。
 「先生・・。」
 まじまじとサペンタエンを見るシード。
 もう、沈みゆく船に神は味方してくれないらしい・・。
 「お前の剣はいつのまにかわしを越えていたんだ。」
 そう言うと、静かに眼を瞑じた。

   *

 (一時的に王国に預けられていた棺を、)
 サペンタエン先生を墓に埋葬する・・。
 ソリアの叔母様であるシャルルは無表情でそれを眺めている。
 ―――きっとこれでよかったのよ、と彼女は言った。
 ・・・サペンタエンを見つけてくれてありがとう、と。
 (葬儀業の役割は遺体の枕直し、納棺、墓までの搬送・・)
 [アメリカでは一九〇五年に霊柩車が登場]
 >>>狡猾なのっぺらぼうの顔
 理路整然とした話し方と涼やかな口調で埋葬の文句を言うのは、新しいこの国の神官・・。土をかぶせ、花を入れる・・。
 数歩先に、穴・・・。

 夜、ぽつぽつと服にしみをつけるぐらいの雨が降った。
 でもそのうちに、あたりの物音が掻き消えてしまうぐらいの豪雨になった。
 、、、、、、、、、、、、、、、 、、、、、、、、、
 決して雨は降らないのだと思った、土砂降りを除いては・・。
 王国の塔から見る雨は、白く煙っていた。なだれ込んできた雨が庭を泥に変えた。
 (かの国では、死の雨、酸性雨・・侮蔑するがいい、唾を吐くがいい・・)
 急いで流れてゆく雲の変わり果てた姿と環状交差点・・。
 <だが、【時間】とはつまりそういうものであるのかもしれない>
 少年時代の覚束ない、場面のひとくさりふたくさりを思い出す・・。
 転回を促す標識や、通行止めの看板――
 小さな芽が息吹いている・・。
  ・・・・・・ね じ れ て い く ぼ く の け つ え き
 淋しさで脳が完全に包まれる一瞬、水晶球やタロットカードの啓示・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 たなごころの上に向けられたものは自分へのメッセージ・・。
 ―――神様が泣いているんだ・・。

 ―――ピグが、落ち込むなよご主人様、と言う。
 ヒースが、覚悟はしていたはずさ、と言う。
 抜け殻が埋葬されてしまった今も、どこかに残っているのなら・・。
 まだ話した―――い・・。 
 リオとソリアが、遠くから自分を見つめている・・。

 「傷つく」ということは、『気付く』ということであり、
 すなわち――あふれでてくる自意識/美意識という解式で、
 “まぼろしの炎”を見るということである。

 旅はまだ、始まったばかり―――だ・・。
 この百年の理不尽だと思われていた支配の仕組みの中に、
 サペンタエン先生が取り込まれていたことが、不思議だった・・。
 精神錯乱の記録はこの種の変則に満ちているが、
 ―――身を持って実感したことだけが正しい・・。
 ・・・・・・昨日が来ていたなんて知らなかった、
 ・・・・・・・・・知らなかった、けど、
 自分も、サペンタエン先生も、何によって悪に染まったのだろ―――う・・。
 油断や隙、人の心の中には、開かずの間があるに違いない・・。
 [自分という佇む人間を奥底まで見ている透徹な視座で、]
 (クローゼットの中を引っ掻き廻して服を探すように、)
 ―――また旅をする理由が増えた、それと同時に・・。
 シシ・リー・ジュリー先生と、マーク・フェルド先生に会いたくなった。

 王国に挨拶をして、旅の支度をして、出掛ける。
 、、、、、、、
 賑やかな気配が―――。
 眼球の裏側に消えてゆく・・。
 キャベツ カタログ      クリーム
 甘藍の型録―――あるいは、凝乳・・
 砂漠の街シュフステューエルトへ・・。
 そして、幻想図書館へ。
 魔王軍第二師団プラタノのいるピラミッドへ―――。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

処理中です...