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しおりを挟む「―――賊です、避難してください!!!」
だが、一歩遅かったようだ。十数人が押し寄せてきている。
[連絡系統の不備は指摘できる・・]
こんな時のための騎士団ではないのか、とシードは思った。
緊急事態に備えて、いつでも誰かしらが詰めているとは言え、
こういうことがそう頻繁に起こるわけもなく、明らかに不意打ちを食らっている。
来たるべき敵に備えたはずの防衛線が―――。
(日頃の訓練がいかに怠慢であったのか、とシードは思う。)
、、、、 、、、、
戦闘態勢、指揮系統はどうなっているのだろう、とシードは思った。
―――本来なら城の外で迎え撃つのが定石だ、
(常識的に考えてだが、城は入られた瞬間に終わるのだ。)
[自分たちの力に絶対的な自信をもっているような驕り昂ぶった間抜けでなければ、
こんなミステークはしない・・。]
―――ただ後で聞いたところによれば、城に用の馬車ということで、
みすみす中に入れてしまったらしい・・。
(貴族の馬車だったのでてっきりそうだと信じ込まされた、と。)
[でも、事前のチェックは、門外で行わなくてはいけない。]
―――慣例になっていることが、狙われた、非常に分かり易いパターン。
二千人を越える騎士団を持つラッシード王国に賊など入らない、と。
、、、、、
馬鹿である。
中から武器を持った賊が雪崩れこんできた、幸い負傷者は出なかったらしいが・・。
そもそも、戦いや守りの原則とは作戦行動の一般的な原則のことではない。
“いつもそうだから”とか“それでやってきた”からでは駄目だ、
そんなのわかっている、と彼等も弁解するかも知れない・・。
おかしな話だ、城が崩落するか、王や妃の命でもなくさなければ気付かない。
逆の立場なら、臨機応変でやってくるに決まっている、
奇策でやってくるに決まってる、
―――正攻法で襲い掛かってくる教科書通りの敵なんて何処にいる、
賊だからいい、
でも相手が魔法使いや、
魔物だったらどうするのだ―――。
(十中八九、よくもこれまでこんな抜け道だらけでやってきたな、と思う。)
[ソリアから聞いた隠し通路を使いまくる羽目になるのだろうな・・]
とりあえず敵を中に入れないことだ。
もちろん、中に入れて罠にはめるような素晴らしい作戦があるなら、
[敵ごと穴の中へ落とす][敵を一か所に集めて一網打尽]
むしろ聞こうじゃないか、と思う。
もし本気でそんなことを言う奴がいたら、世界中にラッシード王国は、
馬鹿の巣窟だと言っているも同然だ。恥さらしでは済まない。
明日―――君主が変わり、次の日にはお前等は公開処刑だ・・。
(それは“奥の手”であって、常識的に使える作戦ではない・・)
何という無能・・。
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停まったかと思うと直ちに動き出すこのルーレット。
―――挙げ句、死に物狂いで守らねばならない立場のソリアに、
不安な表情をさせている・・。
、、、、、、、
かえすがえすも、『間抜け』だと思った。
あろうことか、騎士団は城内で武器を持って迎え撃っている。
もし、自分がこの城を襲う立場だったら、
内部に潜伏して奇襲を起こしたあと戦力を分散させて、
警備が手薄になった後に総攻撃を仕掛ける。
(普通に頭が回る奴だったら誰でもそうする・・)
玉磨かざれば光無し、か・・。
、、、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、、、
それを何だ、ただ不意打ちを食らっただけでこれなのか、と。
いや何か他に理由はあるのかも知れないが、
(あるいは自分がソリアの傍にいることで、百年前の記憶を髣髴して、
つい口汚く、彼等を批判しているのかも知れないが、)
―――鷹について家鴨が騒ぐような調子・・。
でもこれは『警備』ではない。
これでは『居眠り』
全員、たるんでるぞ、と拳骨制裁してやりたい気がした。
―――ソリアを落ち着かせなければ・・。
「大丈夫です、もしもの時は命を賭けて私が守ります・・」
眼をパチクリとさせ、肯いた。
「ありがとう・・」
ピグが、ソリアの肩に止まる。
「まあ、ご主人様が本気出せば小指でやっちゃうから。」
いや、小指では無理です―――。
「まあしかし・・ソリアには悪いけど、この国、危ないな。
城の中に賊を入れてしまうのもそうだし、」
―――言いにくいことをサラッと言ってのける妖精氏。
シードも“ソリアの面子”というのがあるので、
こいつ馬鹿なことを言うな、とフォローを入れてやりたいが、
どうしていいものかわからない・・。
(何しろ、そう言えば、ソリアに好意を持っている裏返しになるし、)
[いや百歩譲ってそれを認めるとしても、]
その甘さはソリアにとって傷口に塩だ。
―――というか、こんな時だけ、真面目な意見をするニャ、と言いたかった。
「・・・・・・恥ずかしいことです。」
「―――まあ、よくあることですよ。
あらいぐまも洗濯物を洗いすぎて一緒に流れていっていましたからね。」
シード先生は、さもありなん!
こんなことよくあったら駄目だろうと思いつつ、無茶苦茶なことを言った。
「―――きっと、騎士団はソリアに悩殺されてたんだな。」
それは絶対に違うけれど、それ、採用、とシード思った。
ロングソード
遠目に、槍や長 剣を用いての戦闘が見えた。
棒杭が打ちこまれているように見える防衛ラインの行方・・。
着々と緊迫の度を加えていることを示していた。
こちらとしては、“姿の見えぬ伏兵”について考える・・。
それにしても、即座に失速するとは思えない、やりとり、ひどい戦いぶりだ。
戦力的には五分五分といったところ。
カンカン、という周波数をずらしたような金属的な音・・。
(固有音響抵抗値―――。)
でも、冷静に考えてみれば、いくらなんでもこれはひどい。
(と、思ってみることにした・・)
最初から警備が手薄になるように仕組まれていたのではないか・・。
(そんなことができるとすれば、潜伏、内部犯どころではないが、)
でも、これは『計画的な犯行』である。
集積地としての機能を失えば、経済基盤が崩壊する。
征服や領土拡大・・それが神経組織の網の目みたいに拡がる・・。
政治的触覚・・陰謀―――穴と障害物・・。
>>>一部少数者の陰謀や策略だけで歴史の流れが方向づけられるという考え方。
・・・うまくいくのはいつも邪悪な人間の腹黒い陰謀。
訓練のない弱い性格が、さもしくなるのをあわれまないでもなかったが、
また人の隙ばかりつけねらう権謀術数が世の常としても、
そんなものにできるなら一秒でもかかわりあいたくないと思ったが・・
、、、、、、 、、、
国を守る意識がどんなに低いかと言わざるを得ない・・。
―――そうかも知れない。
でもことはどうあれ、
仮に今回を凌いでも次はまた別の、そしてまた別の巧妙に隠されたことが起きる。
・・・あぶり出し、は必要だ。そうでなければ、連鎖は止まらない。
しかし人数的に見て、城を占拠できるほどのものではない。
確かにまだ、[「鼠賊」や「群盗」という可能性]は捨てきれないが、この人数である、それに彼等ならばまず夜に紛れるだろう・・。
となれば、賊の侵入に見せかけた―――地下牢からの脱獄・・あるいは暗殺。
「第一王女様、後で脱獄している者がいないかを調べてくれますか。」
有無を言わせぬ口ぶりなので、ソリアと言いなさい、と言えなかった。
―――それなら、この少ない人数の説明もつく・・
ティラノザウルスの頭部という嚆矢―――。
「・・・ええ、わかったわ。」
でも待てよ、と思う。そうなってくると・・。
「でもそうなってくると・・」
あのモンスターに襲われたことも、
魔獣使いの仕業ではないか、と疑われてくる。
そしてその一連の立証ができたら、
これは完璧にソリアを狙っている、ということになる・・。
、、、、、、、、、、、、、
背後関係が気になるところだ・・。
と、何をやっているのか騎士団、
数人をまんまとソリアの眼と鼻の先までやる。
シードはこの展開に、申し訳ないと思いながら吹き出してしまった。
―――彼等も真剣に、本気にやっているのだろうが・・。
[ピグ・スカンジナビア]
(あ、ご主人様、キレちゃった・・・)
//“ご主人様は何をやっているのかわからないのが嫌い”
【scene《妖精から見るラッシード王国とかいうハリボテ王国》】
「命をもらった、ソリア姫!!!」
だしぬけな闘争の様相。
猛獣の牙となる、刀。
(日本刀とも、中国の柳葉刀とも見えたが・・)
[焼きを入れるとマルテンサイトという硬い部分とツルースタイトという、
柔らかな部分とに分離する。それに研ぎを入れると、硬い部分が残って、
結果ミクロのノコギリになり、殺傷力を持つ。]
でもソリアは別に何の心配もしていなかった。
一瞬で、憐れなほどの陣容を見て取ったからである。
遅くても後数分で事態は沈静化する・・。
それに、ソリアの傍には・・。
(彼等には護衛役の男と、妖精がいるようにしか見えなかっただろうが、)
[たった一人でこの城を制圧できる類の化け物と妖精]
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ニタリと頬が持ち上がった直後――。
「はぁああああ、何だ、てめえは。」
―――爆弾撤去作業・・。
上段から振り下ろされる刀を、シードは右手の親指と人差し指で掴んだ。
凡庸な思考スピードのローギアが石化状態になる。
到着の兆しなど一向に訪れない。
『思い込み』を『まともな捉え方』に変化させる数秒・・。
そのシリアスな場面に、ソリアは笑いを押し殺そうと懸命だ。
(守られる女の喜びというのを、味わう・・)
[男尊女卑とは知りながら、強い男に守ってもらうのは女の狡さであり、
したたかさでありながら、同時に、強さでもある・・。]
サペンタエンという彼の師とシャルル叔母様のことを思った。
それがどんな結末を迎えたのであれ、最初はきっとこんな気持ちから・・。
利巧で艷々しくも、くらい暗のなかにほんのりと漂っているような、
しづかな誘惑の味深い光・・。
わざとらしい固い壁のような微笑の皺が、
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鼻翼から脣へかけて濃い線をひいて、しだれかかる・・。
すこし疲れたような深い優しさ柔らかさに充ちている微笑。
>>>火刑台上のジャンヌ=ダルクでありながら
感謝と悶えと媚び、それでいて、そういう自分に対する虞れ、戸惑い・・。
生れて持ってきた―――決して人に悪く思われたくない、彼女の資質、
すぐ信じて何もかも打ち明ける烈しい自由な善良さが、
・・・愚に入りて不愚に帰す。
(透明なヴェールの輪郭をなぞる―――ように・・)
―――だから人を好きになることは素晴らしい・・。
[シード・リャシァット]
(それにしても雑魚キャラだな・・・)
//“こういう陣容で攻め込む賊の気も知れない”
【scene《頭の悪いごろつきに殺しを依頼する頭の悪い陰謀》】
―――あるいはこんな頭の悪いことをいくつか用意して、
あわよくば―――とでも思っているのだろう・・か・・。
(足がつかなければいい、というものではない、)
それは“あわよくば”じゃない―――“おめでたい”だ・・
シードは、そのまま軌道を無理矢理修正させ、
自分の顔のところまで持っていく。
すさまじい集中力と、眼の良さ。そして腕力。
、、、、、
神業だった―――狼藉者たちに対峙するシード。
どころか、その刀ごと、ずりずりと持ち上げて行く。何という腕力!
(梃子の原理も働いていない・・古武術―――)
いや、『人間の潜在能力』を解放すればこれぐらい造作もない。
>>>眼に見える光の波長帯
二キロ離れた人間も男性か女性、年齢、どういう動きをしたかまで、
事細かに視認できる・・家をも持ち上げられる―――
体内に蓄積される乳酸がしきい値を超えると休まざるを得なくなるが、
それすらも変えられる・・どんな環境でもベストなパフォーマンスが出来る・・。
―――潜在能力を一瞬間限界まで引き出す技を奥義というなら、
シードは、それをいつでも好きな時に好きな時間だけ使うことが出来る。
***身体的向上のギアチェンジが肉体的負担を強いることはない。
・・・のこぎり歯車で動く時間、
彼等はいままでにこれほど『腕力のある人問』を見たことがなかった。
、、、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、、
というより、背丈や体格もそれほど変わらない男に、
【超人的な力】があるのか信じられない。
どんな“状況”でも『引っ繰り返してしまう力』を持った人間がいる。
シードは、その筋の【エキスパート】である・・。
そのまま、ブオンと大の大人が赤子のように持ち上げられ、
―――スンと足場がなくなってバタバタする、
七十キロ、八十キロはある・・誘電転移、空転状態・・
頭上の樹にしたたかに頭をぶつける。
幹の下の方で樹が裂ける音が聞こえ、枝に振動が伝わってくる・・。
主体を分離した尾部・・最初大きく振れるが急速な減衰振動。
そこにいた賊が、ヤバイ、こいつ相当な強者だぞ、と、たたらを踏む。
雑魚とは比較にならない、迫力―――。
エクソシズム
悪魔祓い・・。
、、、
パキン、とそのまま、指先で刀を割った。
氷のように―――いや、角砂糖のように・・何てこった・・。
どこかで『氷山が崩壊し始めたような不吉な音』が聞こえた。
賊たちが、それを見て怯んだ・・。
呑まれた―――のだ・・。
「お前達、この程度の腕で城を襲おうなんて片腹痛い。」
そしてそう言ったまま、左手の手刀でさらにぽきりと刀を折る。
―――やりたい放題。
(さながら、空手演武における、板割り・瓦割り・バット割り)
[パーティグッズ、試割り用という見方もあるが、]
純粋な技量、日頃の鍛錬、破壊力を誇示するのではなく、
突き、蹴りの正確性、叩く位置や角度、質量、スピード・・。
、、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、、、、
でもそこにいる誰も―――刀を指先で砕くことなどできない・・
人気のない画廊に展示された古い絵画特有の静寂―――竜鬼哭・・。
ギロチン落とし・・・・・。
・・・まあ何しろ、一瞬で血の気を引かせる。集団戦闘のコツ。
急転直下の青天の霹靂・・そこにいるのは・・のは―――。
“一般平均人”ではなく、[特殊な、あるいは高度に洗練された「人間」]・・
フェゴ・・フルゴル―――フユージオ・・。
人間は『ゴキブリ』や『鼠』とは違う、恐怖心がパフォーマンスを低下させる。
空気の負荷にしだいに耐えられなくなって破裂する蝸牛・・。
ここに来る奴等だ、腕に覚えがあるに決まっている。
そんな奴等と戦ってもシードなら勝てる。
だが姑息な手法に打って出られる可能性もある。
(たとえばピグが人質にとられたら、シードは一切の反撃が出来ない、)
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
―――成功だ、
もはや彼等の武威は感じられない。
狩る者と狩られる者の立場は、完全に逆転していた。
「こ、こいつ、バケモノか・・」
シードは樹で頭をぶつけさせた奴に回し蹴りを喰らわせる。
左足を軸に、右は一段高い位置に軽く乗せた。
中足部から前足部のテクノロジーへの傾注。
アシッド・スプラッシュ
酸の飛沫・・。
焦点速度が間に合わずにブレて見える速度。
急速に回転を始めた秒針―――運動によって生じる遠心力、相対速度・・。
ピーク・・ノックアウト・・エモーション・・・・・・
―――運動量輸送、電荷、熱、物質の移動・・
そこに集まるものの完全な沈黙の中で赤く濃く染まってゆく足・・。
熊をも気絶させる鋭い鮮烈な回し蹴り・・!
痛みを自覚した瞬間には吹き飛ばされている―――。
爆破、炸裂、感光、陽転・・
ただいま―――と・・。
賊どものところまで吹っ飛ばされた時には、頭部でもないのに、失神。
、、、、、、、、、
ぴくりとも動かない。
、、、、、、
鳴かない雲雀・・・・・・・・・。
「おお、さすが、俺が一目置く男! いい蹴りだ!」
と、そこへ現れたのはヒースだった。
火炎魔法でちりぢりにする―――。
いい援護射撃だった、騎士団が盛り返し始める。
「話は後、ちょっと手伝ってくれ。
あっちにまだいて、俺はそっちやってくる。」
「でも剣は使わないぞ。」
殺さないぞ、という意味らしかった。無益な殺生はしない。
、、、、、、、、、、
でもそれだけではない。
下手に殺せば、ソリアに悪い噂がつく。
人殺しの部下がいるとでも思われた日には、
暗殺などをする冷酷なお姫様ということになってしまう。
「こいつ、ふざけやがって!」
危ない!!
刀で斬りかかる男に、シードは地面から拾い上げた落葉をあてる。
顔の側は暗くて見えないが、エコロケーション・・。
後ろに眼でもあるような反射神経。不意打ちはただちに不用意な攻撃になる。
―――予想した攻撃が予想できない防御によって阻まれる。
切れない・・!
「嘘だ、落葉だぞ。」
「すまないな、そんな、なまくら刀に貧相な腕じゃあ、
落葉も切れないようだ。」
―――たねあかしをすれば・・かんたん―――だ・・
魔力操作によって、鋼鉄になった落葉は切れない。
ボーン
ぼろをまとった歩は、瞬間、死を意識する。
Heat up...周囲の空気が軽い振動を起こす。
―――複雑なノズル作動スイッチの、表示的な、振動・・
次の瞬間、素手で顔面を殴られ賊がギュンといきおい吹っ飛んでゆく。
「弱い弱い!弱すぎる!!!」
論理の正しさよりも声の単純な大きさ・・。
けいれつ
勁烈―――な、啖呵を切る。
シードは鼻からの呼吸をやめて口からの呼吸に移る。
念の入った技巧を余さず凝らす・・。
―――集団から個人的な存在として解き放たれる。
(表面張力のコップの水がついに滴となってあふれる・・、)
その[POINT]は、[「錯覚」をさせる]こと・・。
前から後ろへ慣性がかかるように・・。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
降伏という厚い絨毯生地にゆっくりと運んでゆく―――。
「手加減してやるつもりだが、こんな腕じゃあ殺してしまう。
恨まない奴だけ、かかってこい。」
ピグはよいしょと庭の石をぱたぱた持って来る。手品の助手的な役割。
(とっても気の利く妖精なんです!)
そして―――深い・・謎めいた事態が・・・加わって―――くる・・。
それをシードに渡して。何するのかと思ったら、
「むんっ。」
プシュン・・パラパラ・・。
と明らかにかたそうな石を握力で握りつぶした。―――さしも! よもや!
「いまからゲームしてやろうか・・、
俺が何分で、いや、
何秒でお前等を地面を舐める羽目になるか、」
そう言ったシードは、超高速、縮地―――押し潰されたような音のあと、
カクランノ―――ゲンエイ・・、
敵数人の真ん中にいながら不敵に腕を組んでいる―――いる・・。
つわもの共が夢のあと・・
ダイナミックにシフトする・・表情豊かな者たち・・
―――誰もその姿を眼で追えなかっ・・た・・。
えええええっつ、と賊たちが怯んだ。
crazy...制御不能の、奔流―――
ソリアは、快哉とばかりに笑った。
それはもう何百分の一秒で、染み渡ったことだろう。
活性化エネルギーのdown...DOWN...
彼等の口はからからに乾き、身体の何処からも声は出てこないようだ。
シードのステータスで『格闘技の師範代』と出ていたが、魔弾の射手・・、
阿修羅ノ輝廻槍ト異能ノ棺・・。
とでも、―――とでも・・・呼ぶべきだろうか・・
すさまじいもので、二人をねじ伏せただけではなく、
賊数人の戦意をわずか数呼吸のあいだのうちに、
完璧に喪失させていた。
「降伏しろ、いま武器を捨てるなら痛い思いをしなくて済む。」
言葉は違うが、完璧な脅迫である。
しかし我々は失敗を冒しタア! 痛恨の極みだったア!
賊数人が、やってられるかよこんなバケモノ聞いてねえぜ、と剣を落とした。
シードが、地面に伏せろ、騎士団に、縄を貸せ、と言っている。
―――ソリアがそれを見ながらドキドキし、シードに熱い眼差しを送っている・・。
*
看守が持って来た食物の質が悪いとか、
地下牢はジメジメしていてやりきれぬとか愚痴をこぼしている囚人の声が聞こえる。
―――情けないように聞こえる声であるが、茶化したようにも聞こえる声。
脱獄したら何をしたいかを熱心に語る牢獄仲間・・。
(でもハリウッドさながらのワンシーン、
ヘリコプターで脱獄したパスカル・ペイエ。)
[あるいはアルカトラズ、金属製のスプーンで穴を掘りつづけ筏で脱出した、
フランク、クラレンス、ジョン・・。]
―――彼等とは違う、愚痴だ。
でも希望に根拠があればいいと願っている、いや―――確信したい、と・・。
でも本気で脱獄する気があるなら、巡回時間外に喋っているわけがない。
が、「・・・とは限らない」や 「・・・というわけではない」(は、)有効?
“工事中の柵の向こう側”を知りたいように、
脱獄劇のカラクリでも話しているかも知れない、
あるいは『内緒の悪事』を知ること・・。
ドアを閉め切っていれば、絶対に話し声は外に洩れることはない。
でもそこに、耳をあてている者・・。
シャッター音、シャッター音・・
サーチライト・・。
でも残念ながら、ここにいるのは宇宙人に身体を乗っ取られた怪物ではなく、
ごくごく普通の、軽犯罪者たちである。
―――獄房の悪い空気がてきめんに効果をあらわして、頭の働きは鈍る。
自分を人間に結びつけるものよりも、
自分を人間から引き離すもののほうにより感じやすい・・。
据え付けられた便器と狭苦しい部屋、シャワーなどもちろんない・・。
(日に一度、場合によれば二日に一度身体を洗わせてくれる。
が、湯ではなく、水だ。冬のみ、温泉に入れてくれる・・)
地下牢は病院みたいなものだ、あるいはギルド・・。
騎士団の部屋付近にあるうすぐらい印象の階段を降りると看守室がある。
、、、、、、、、、、、、、、、、、
いやに薄暗く長い通路のあとの地下牢。
真っ白な壁のよそおいが、心の、人間の苦患のいろに染まるまで・・、
何年、何十年の時間が必要だろう。
奥行きのない、暗さ、両側にいる数匹のねずみが前肢を使って進む。
でも今日はいつもと様子が違った。
外が騒がしくなった、騎士団が騒ぎ始めた、賊の侵入・・。
クロッキーしっぱなし、顎、耳、眼、鼻・・。
記憶にまざまざときざまれた地下牢の地図―――。
>>>人権の制限は矯正に必要な範囲で適正に保たれるべき
動悸がした。血潮が昂ぶった。
、、、、、、 、、、 、、、 、、、、、、、
剛勇のしるしである頬の傷、筋肉質でいながらしなやかな身体・・。
動きやすそうな緑色の服と胸当て、何故か左眼に眼帯をしている―――。
髪の色は茶色だが、よく見ると、頭上付近に犬の耳がついている・・。
見るからに一癖も二癖もありそうな男が・・・・・・。
すうっと立ち上がりジャランと引きずっていた、
床と壁にしっかりつながれた鎖を腕力でシュンーブチンと解放する。
・・・・・・看守の質の向上と適正な人員の配置、
ほんのしばらく、自由な世界の空気は呼吸出来たとしても、
きびしい司直の追及が、その身にのびて来ることは、時間の問題・・
「わかっている・・。」
捕縛から脱獄騒ぎのあいだにあちこちほつれた粗末な服の裾が破ける。
全身の毛穴という毛穴から、熱汗の吹きだすのをおぼえた。
構わず、雄たけびを上げながら引きちぎる。この時を待っていたのだ。
彼は立ちあがって、アトラスのように太い腕を力いっぱいのばした。
こういう素早さが―――運を引き寄せる・・。
苦悶の表情を画面いっぱいにひきつらせつつ・・。
地下牢をつつむうす闇のなかで、その肉体が妙に大きく見えた。
何の效果もなく完全に抹殺されてしまう、鉄製の扉の鍵穴に、
あらかじめ用意しておいた針金のピッキング技術で開ける。
失われたシーフツール・・。
(彼は盗賊、パールでこじ開ける、金のこで切断する、錐やねじまわしや鋸、
いろんな方法を知っている―――)
また、数少ないダンジョンの専門家である・・。
[尻の穴の中に脱獄道具を隠し持っている連中もいるものだ。]
、、、、、、、、、、、、、、
うまい具合にただちに外へ出る。
それでも一応は身を低くし、足音をしのばせ、
そのまま、看守の部屋に忍び込む。
[こんな職業をしていると不思議に優越感などある奴もいる―――ようだ、]
(何か非常に立派なことをしているつもりらしい、)
水とミネラルウォーターにそれほどの違いはない・・。
刃物のような眼光、それは―――先程までガラスケースの中に保存されている断頭台だった・・。
フェード・アウトのタイミング―――で・・
看守が驚く、顔面蒼白―――騒ぐな、鼻を折り、しこたま殴る。
ロープのようなものがなかったので自分のいた地下牢に蹴り飛ばして入れる。
―――勧善懲悪などの要素を含む物語では必要不可欠の要素、ヒール(らしく、)
―――て・・いいんだ―――。
これから“向かう場所”は『最高の景色』を見せてくれる。
そして看守が身につけていた鍵束を使って、
つぎつぎと囚人たちの扉を開けて行く。
、、、、、
口々に言う。
「お前はいつかやる男だと思ったぜ。」
「ラッシード王国の歴史における最初の完全脱獄の始まりだ!」
こういう時の連帯感や結束力は騎士団よりも強固だ。
つつきあい、ささやきあい、さざなみのように注目が広がる。―――誘導弾帯・・。
笑いは口角の形がポイント・・。
「運がよかったら会おうぜ。」
下手に一人で逃げても捕まる可能性が高い。
それならば、数で勝負するしかない。
十数人の地下牢生活者たちがいきおい階段を上がってゆく。
子供の時の、鬼ごっこを思い出す―――。
騎士団の連中が気付いて、貴様たちそこで何をしているか、と襲いかかってくる。
三手に分かれた。
、、、、、、、、、、
状況はさらに悪化する。
でも、考えようによっては、当然のことかも知れない。
脱獄を企てようとする人々は、いわば決死の覚悟。
アニマル・シェイプス
集団動物化・・・。
、、、、、、、、
本棚の文字を追う――。
脱獄の罪が加わることによって、その刑罰がどれほど重くなるかという計算は、
初めから、彼等の頭の中にはない。
孤独な―――結論が・・悲しいんだと思う・・・。
***コードネームは「脱獄」***
また脱獄は牢屋から出ることでも、
ラッシード城から出ることでもない。
脱獄とはつまり、罪を償うという精神を否定することなのだから。
―――すなわち、法律ー国家を破壊せしめようとする行為・・。
イリューソリイ・スクリプト
幻の文―――。
〝牢屋の内からの消失〟と〝牢屋の外での出現〟―――。
―――やってやろうというハングリー精神・・。
その情熱の使い方が絶対に間違っている気がするが・・。
主張、決意、推論、事情説明、弁明、帰納的結論・・。
・・・(要求や規則に合致して本物になる、あるいは置き換わる・・)
・・・(これは監察結果からの意見、
もし罪を償うということが万人における正当なものであるとすれば、
ただの一人も脱獄をしないであろう。)
む ず か し い こ と だ ・・・。
―――継続発展におけるマイナスの面には眼を瞑ろう、
[話し手の勝手なイメージや思い付き、その通りである。]
(でも言葉は絶対的真理の器ではない、
命と時間とぴったり釣り合いのとれた裁きなど誰にも下すことはできない。)
不満や疑いは何処にでもある、働きかけ、問い掛け、述べたて、情意表出、
・・・はたせるかな、『罪』とは何をして『罪の対価』と言えるのか。
だからこそファンタジーは苦くて甘い、
ありとあらゆるものは『システム』
(―――客観的な根拠や証拠に基づいた状況判断、)
禁止によって回避行動が生まれる、これも常識であり、社会的通念であり、
道徳倫理と同じレベルのものではないか。承諾は服従である。
、、、、、、、、、、、、
嫌なら胸に剣を突き立てよ、それが
【支配という正義】である・・・。
チェスのゲームとの相似性―――システムの孤立・・コンピューターの勝利、
(IQ160もあるスティーブン・ラッセルは、
4回の脱獄に成功した脱獄王であるが、最初は6か月だった懲役が、
144年になっている―――)
・・・違うことに頭が回せないのか、
、、、、、、、、、、
側防塔と幕壁の傾斜面、牛の胃から内蔵を剔出するように、
それが『天才と馬鹿は紙一重たる所以』である。
悪意や偏見のパンチング・グローヴ!
、、、、、、、、、、、、、、、、
お誂えむきのユダにでもなった君よ!
脱獄の昂奮から不逞な気概、日頃の鬱憤もかねて真っ向勝負をする者、
スピーカーのヴォリュームを上げてしまう!
どこともわからず迷路のようなラッシード城を駆けだす者、
えいせい・・・ほうそうのように―――おくれてくる・・
自分の足が、お伽噺の挿絵から出てきた小鳥のように思えてくる―――んだ・・
そして最後にあらかじめ知り合いのいる食堂へ行く者。
「・・・これに着替えてくれ。」
そして礼拝堂へ、
―――いま、ソリア姫の傍らで男がその力を振るっているのが見える。
(に―――続く、手、 手、)
皮肉な笑みを浮かべる。なにか、どこかが吹っ切れたというか、
自分の運命の行き着く先を見てしまったような、そんな表情をしていた。
キミニトッテハ―――マエムキ・・デモ、
コチラニトッテハ―――ウシロムキ・・ナンダ―――ナンダ・・
、、、、、、、、、、、
おおっぴらな明るい世界・・。
いまならば気付かれずに済みそうだ。
捕まらずにいるための最善の方法は急ぐことだと相場は決まっている。
>>>リップクリームで手錠を外せ!
シアン・マゼンダ・ブルー?
傍らの信頼できる案内人についていきながら、あたりをうかがい礼拝堂に入る。
さいわい、人はいなかった。
その盲点、礼拝堂の信者なら普通誰もおもいつかない、
[聖母を描いた正面のステンドグラス]
>>>抑揚も、技法も、感情もなく
信じるものの真下にある隠し通路へと身を潜める。礼拝堂のなかは静かでなにも動いていなかった。
生きた心地がしない抜け殻の彼にふさわしく、すべてが静止しきった世界・・。
隠し通路に入ると、火を灯したランプを渡してくる。
でもその前からうっすらと隠し通路の道は見えていた。暗闇に強いのだ。
また嗅覚に敏感で、美味しそうな匂いがしていることにも気付いている。
(火かき棒を突込んだような、舌の、カムフラージュ。)
―――それに、遠くの物音もよく聞こえる・・。
揺れというよりはうねりに近い、単調な金属音・・。
「・・・ソリア様がいつ来られるかはわからないが、
森の方の出口で待っているんだ。」
そして、食糧と水の入った袋を渡してくる。
「シードという男も信用できる奴だ。」
じゃまた後でな、と扉を閉めて出ていく。
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