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受け視点~現在③【※登場人物に女性追加】

13話 限られ始める時間

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「しばらくゆっくり会えないと思うんだ」

彼が手に口付けしながら、そう告げる。仕事も、プライベートも本格的に本腰を入れねばならなくなったようだった。

だからこそ「今日はたっぷり充電させてね?」と、一日中、食事と排泄以外は構わずベットで戯れあっている。
素肌同士がしっとり馴染み、お互いの鼓動と体温を感じながら触れ合っていると、もう繋がっていることが当たり前のようになると、体という境界線がもどかしい。もっと一つに溶け合えたらいいのに。そうしたら、きっといつまでも離れなくて済むから。
彼の首筋に鼻を埋めると、ドクンドクンという鼓動が聞こえてくる。その心地よい音に目を閉じながら、舌を絡めあったり唾液を交換したりするキスに没頭する。
彼が求めてくれるのが嬉しくて、幸せで。彼の手も唇も舌も、体の内側まですべてが自分だけのものだと思うと身体中がキュンキュンと震える。
もう身体を重ねるだけでは物足りないなんて贅沢なことなのだろうか。彼の腕に抱かれているといつも思うのだ。もっと触って欲しいし触れていたい。

「ん……♡ふぅう……ん♡♡」

身体の中に埋まっている彼のモノがゆっくりと抽挿をし始める。じっくりと肉壁の形を堪能するかのように、ゆったりと優しく擦りつけては押し込んでいく。出入りする度にローションの粘液の音がこだましていくのに煽らていく。

「あっ……はぁあぁッ……♡」

くちゅ、ずちゃ、ぐぢゅっ、とゆっくりだが一定のリズムで繰り返し繰り返される快感に身体が反応していく。すっかり敏感になった肉壁がもっともっとと媚びるように彼のものを締め付ける。

「ふふ……気持ちい?」

そう聞かれたのでこくこくと首を縦に振る。すると彼は満足そうに笑った後、またゆっくりと腰を動かし始めた。長年彼に開発され続け、今日も何度も果てて敏感になった身体はゆるやかな刺激すら、再び上り詰めようとし、腰回りの筋肉が喜ぶようにピクピクと痙攣し始めていた。

「はぁ……んあぁッ……!ぃく、ィクぅッッ!♡♡♡♡」

果てそうになっているコチラの様子を察したのか、緩やかな動きから、ばちゅんばちゅんと最奥に叩きつけるように結腸口を責め立てられ出し、あっけなく果ててしまった。今日はこれで何度目かわからない。そのせいか、もう達しても鈴口から零れるものは先走りと変わらないものがちょろちょろと出るだけだった。止まらない快感の波に揉まれて脳まで溶けてしまいそうな痺れに体中が震えて何も考えられなくなる。

「ん……いい子いい子。お尻気持ち良かったね?……可愛い」
「はぁ…♡はー…ぁ…あ♡♡」

最近絶頂に痺れて痙攣していると、労わりなのか、彼が頭を優しく撫でてキスをくれる事が習慣になった。その甘いトーンの言葉がダイレクトに脳に届くようで、頭の中も身体も、すべてが彼にいっぱいになる。ただでさえ快楽に溶けてしまっているのに、心まで何もかも溶かされていくようだった。
見た事はないが、恐らく自分が果ててる姿はあまり可愛い形相ではないと思う。それでも彼は自分が果てる度に嬉しそうで、可愛いと言ってくれる。それを実感する度に、自分の身体はどんどん敏感に、イキやすい淫らな体になっていく実感がある。もうこの身体は、彼なしではきっと、もういられないのだ。そんな危うさに気付いていながらも、この甘い毒に犯されたくて仕方ない。

「ふぅ……ぁあぁ……♡」

痙攣が落ち着いた頃、ゆっくりと彼のモノがローションのぬめりを伴って引き抜かれていく。この瞬間がいつも慣れなくて、一番名残惜しい瞬間だ。引き抜かれた彼のモノの先には白濁が収められたゴムが顔を出す。

「………ね、今日……ナマではしないの……?」

「うん。こないだ体調崩しちゃったでしょ?だから基本はしよ?」

「むぅ……」

「そんな可愛い顔しても駄目だからね?……君だって今大事な時期なんだから」

そう、剥き身のままの行為はとても心地良かったのだが、ついにこの間、体調を崩してしまったのだ。彼が甲斐甲斐しく、合間を縫ってできるだけ看病に来てくれた事は嬉しかったが、心配をかけてしまった事は申し訳なく思い、こちらとしてもあまり強く言えなくなっていた。

「顔色悪い君も可愛かったけどね………ふふ、変なのに目覚めちゃいそうだから無茶できない時はお預けしておこう?」


彼が悪戯っぽく笑うのを見せられると、こちらの不満なんて吹っ飛んでしまうほど顔が赤くなってしまった。大事にしてくれている事はわかっているし、これ以上は我儘ではある。実際、新人で、しかも人付き合いが悪い弱点が露骨に出てしまい上司からのウケも悪い現状は色々とまずい。できるだけ穴は開けたくないのは事実だ。
彼はというと、元々の人付き合いの良さから、トントン拍子で仕事は上手く行っているようだった。付き合いの呼びかけも数多で、恐らく自分なんかとの時間の捻出なんてかなり苦労しているだろうと想像に難しくない。それでも彼は自分との時間を尊重してくれている。それが嬉しくて、会社でも休憩の合間に、逢瀬ができるように、出勤前に色々準備する事も欠かさない日々だ。たった数十分でも、彼と繋がっていられる時間があるだけで、幸せなのだから。

しかし、そんな時間調整もついに追い付かなくなった。彼から見せられたスケジュールを見るに、恐らく週1すら危うい状況なのだ。
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