The Answer

あやと

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三度目の太陽

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「・・・了解、無人機到達まで6分、侵入コース適正、敵のレーダー照射は確認されず。まもなく自律飛行に変更」

太陽が昇り始め地上に光が照らされようになった午前6時、砂漠の上でキャンプと設営された無人機の誘導装置が形を現しはじめる。
気温はまだマイナスに近く全員が厚着をきている、しかし眠たそうに目蓋を擦るものも、あくびをするものもいない。彼らはただこの日のために計画を練り上げ実行してきたのだ、彼等が思う「正義」ために

「司令部からです。まもなくエルサレムに到達、到達後は予定通りに起爆し撤退 だそうです。」

「了解、最後までスマートに行こう、ヘマは起こしたくない。」

「了解」

「あの、隊長?」

「うん?」

「ホントに、これでいいんでしょうか? 我々は何か間違ったことをしているのでは?」

「おい」 「やめろって」

周りの兵士たちが彼の言動を制止するように声を上げた、しかし

「うーん、そうかもな、そうかもしれんな」
とその隊長はあっけらかんとそう言った

「では、作戦の中止は?」

「うーん、それもないな」

「ですがこの作戦は余りにも人道に反しています。それに世界中を敵にまわすことに・・・」

「あのな、最高の兵士ってなんだ?」

「え?」

「最高の兵士だよ」

「それは、えっと」

「ただ言われた命令を忠実にこなす? より多くの敵を殺す? 国家のために命を捨てる? どれもこれも違う」

「では、何でしょう?」

「最期まで自分の正義を貫ける奴だよ、たとえそれが味方を敵に回してもな。」

「だから俺はこの作戦は正義だと思う、ただそれでも自分が何をしたかは最期まで忘れないようにしてるがな」

「だから、正義のために仕方ないと?」

「正義ってのは言葉にしちゃダメなんだ、行動して初めて周りが理解する、ああこいつはこういう奴なんだと」

「世界はどうみるでしょう?」

「最初は極悪非道な奴らだと言うだろう、時間が経てば見方が変わるかもしれんがな。」

「それ、もうじき時間だ」

隊長と呼ばれる男はそう言いふかしていたタバコを砂の上に捨てた。

「さぁ、おはようの挨拶だ」

「到達まで20秒!」

「これが正義か」

「あと10秒!」


どう決めるかは世界次第だが、正義だけは自分達が決めさせてもらう。それがこの答えだ。



2025年5月26日午前6時7分 、低空で侵入した無人機がエルサレム上空で搭載していた核弾頭が起爆、死傷者5万6千人超え尚も増加中、使用された弾頭は現在調査中、イスラエル政府は直ちに国家緊急事態宣言を発令、アメリカのNORADはデフコン3に引き上げ、大統領も「危機的状況」と発表、エジプトは連帯の意を表明しイラクは関与を否定。「自由中東連合」が犯行を発表。ここまで僅か2時間の出来事である。
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