66 / 68
終章天界・現世編
chapter68 前日
しおりを挟む
「うっ…ここは…」
ここは確か、裁判所の医務室…
俺は辺りを見回すと、隣に酷魔がまだ眠っている
「おはよ~圭助…」
「おう、霊華」
隣には霊華が座って、眠たい目を擦っていた
まだ、日が昇った頃だった
「ところで冬至達は…」
「隣部屋~」
「そっか、ところで今日の夜俺の家行かねぇ?」
「?!…あっ!そうだっね行こうかっ」
霊華は何かを思い出したように、手を叩く
「全く…呑気ですね、霊華…」
いつの間にか入ってきた竜嬉は、ドアのところで腕を組んでよしかかっている
「あっ、か…いや竜嬉様…」
「どちらでも…それより急な話があってね」
「急な話って?」
圭助もその話に耳を傾ける
「ええ。知っての通り修羅に怨霊らを放した人物について、明日裁判がかけられることになりました」
あっ…そういえば…
「それって母さんが裁判するの?」
「いいえ、閻魔様が直々に…」
「えっ……」
霊華は息を飲んだ、目を見開き竜嬉をガン見する
閻魔様…勝目あるの…母さん…?
「無論私と礼も、裁判側だけど…」
深刻な表情の竜嬉
「難しいんだ…」
「ええ」
「話は聞かせてもらいました、竜嬉様。姉貴は今、何処にいるのですか?」
圭助は隣で寝ていたはずの酷魔が、起き上がって立ち上がり患部を触っている
「酷魔、骨折は治しましたがまだ無理をせずに…今は牢にいます」
「はっ、了解です!感謝いたします」
酷魔は颯爽と去って行った
やれやれ…姉弟そろって、大切な人となると慌てやすいですね…
「さて、奈佐君はこの後どうしますか?」
話を聞くところ…難しいな…
「俺は…」
--------------------
一方酷魔は部屋を去った後、牢に来ていた
そこには、呑気に覚悟を決めたように寝ている雛の姿があった
手錠、足かせもはめられている
「おいっ姉貴っ!起きろっ!!」
「おはよう酷魔。もう酷魔達の顔見るの明日で最後になるね…」
何言ってるんだよ…覚悟一人だけ決めやがって…
真面目な顔でいつもと変わらない姉貴…
「縁起でもねぇこと言うなっ…」
「当然ね…あれだけの大罪、犠牲者、全て私の責任だから仕方ないね…」
「仕方ないって…姉貴は悪くねぇ…全てあいつらだろう…」
檻をつかみ、うつむきながらも訴える酷魔。だが雛の顔は一向に変わらない
「でも、行動は行動。閻魔様が許す訳ないから」
その言葉に何も言えなくなった酷魔…
檻を強く握り、ギシギシと音が立つ
くっ…
「このこと冬至君には言わないでね…きっと彼辛い思い出するから…閻魔様に私の、記憶を消してもらうようにするね」
雛はうっすらと涙がこぼれ落ちる
「なんでだよっ!あいつは、俺達の中で一番に姉貴を助けがってた!そして無事助かったじゃねぇかよ!!」
牢屋中に酷魔の叫び声が響き渡る
「ええ、本当に…そうだったね…」
何を言っても変わらない雛、だが涙は流れている
「酷魔、私がいなくても修羅の管理任せたよ…あの時全員を引っ張れたから、もう大丈夫って思ったから…」
涙を流しながら、笑顔で酷魔に伝える雛
「姉貴…嫌だ…まだ…俺は姉貴が必要だ…」
力なく、その場で座り込む酷魔。雛に子供のように駄々をこねり動かない
普段の厳格な姿は無い
「まったく…ほら、なに泣き顔見せてるの酷魔らしくない」
案外仲間思いなのは、昔から変わらないのよね…玉連以外は…
雛の言葉一言一言が胸に刺さる酷魔
「酷魔、本当に今までありがとうね…そろそろ竜嬉様の所に行く時間だから…」
「姉貴…俺諦めねぇから…」
もう、頼れるのは…
酷魔は涙を拭くと部屋を後にした
ここは確か、裁判所の医務室…
俺は辺りを見回すと、隣に酷魔がまだ眠っている
「おはよ~圭助…」
「おう、霊華」
隣には霊華が座って、眠たい目を擦っていた
まだ、日が昇った頃だった
「ところで冬至達は…」
「隣部屋~」
「そっか、ところで今日の夜俺の家行かねぇ?」
「?!…あっ!そうだっね行こうかっ」
霊華は何かを思い出したように、手を叩く
「全く…呑気ですね、霊華…」
いつの間にか入ってきた竜嬉は、ドアのところで腕を組んでよしかかっている
「あっ、か…いや竜嬉様…」
「どちらでも…それより急な話があってね」
「急な話って?」
圭助もその話に耳を傾ける
「ええ。知っての通り修羅に怨霊らを放した人物について、明日裁判がかけられることになりました」
あっ…そういえば…
「それって母さんが裁判するの?」
「いいえ、閻魔様が直々に…」
「えっ……」
霊華は息を飲んだ、目を見開き竜嬉をガン見する
閻魔様…勝目あるの…母さん…?
「無論私と礼も、裁判側だけど…」
深刻な表情の竜嬉
「難しいんだ…」
「ええ」
「話は聞かせてもらいました、竜嬉様。姉貴は今、何処にいるのですか?」
圭助は隣で寝ていたはずの酷魔が、起き上がって立ち上がり患部を触っている
「酷魔、骨折は治しましたがまだ無理をせずに…今は牢にいます」
「はっ、了解です!感謝いたします」
酷魔は颯爽と去って行った
やれやれ…姉弟そろって、大切な人となると慌てやすいですね…
「さて、奈佐君はこの後どうしますか?」
話を聞くところ…難しいな…
「俺は…」
--------------------
一方酷魔は部屋を去った後、牢に来ていた
そこには、呑気に覚悟を決めたように寝ている雛の姿があった
手錠、足かせもはめられている
「おいっ姉貴っ!起きろっ!!」
「おはよう酷魔。もう酷魔達の顔見るの明日で最後になるね…」
何言ってるんだよ…覚悟一人だけ決めやがって…
真面目な顔でいつもと変わらない姉貴…
「縁起でもねぇこと言うなっ…」
「当然ね…あれだけの大罪、犠牲者、全て私の責任だから仕方ないね…」
「仕方ないって…姉貴は悪くねぇ…全てあいつらだろう…」
檻をつかみ、うつむきながらも訴える酷魔。だが雛の顔は一向に変わらない
「でも、行動は行動。閻魔様が許す訳ないから」
その言葉に何も言えなくなった酷魔…
檻を強く握り、ギシギシと音が立つ
くっ…
「このこと冬至君には言わないでね…きっと彼辛い思い出するから…閻魔様に私の、記憶を消してもらうようにするね」
雛はうっすらと涙がこぼれ落ちる
「なんでだよっ!あいつは、俺達の中で一番に姉貴を助けがってた!そして無事助かったじゃねぇかよ!!」
牢屋中に酷魔の叫び声が響き渡る
「ええ、本当に…そうだったね…」
何を言っても変わらない雛、だが涙は流れている
「酷魔、私がいなくても修羅の管理任せたよ…あの時全員を引っ張れたから、もう大丈夫って思ったから…」
涙を流しながら、笑顔で酷魔に伝える雛
「姉貴…嫌だ…まだ…俺は姉貴が必要だ…」
力なく、その場で座り込む酷魔。雛に子供のように駄々をこねり動かない
普段の厳格な姿は無い
「まったく…ほら、なに泣き顔見せてるの酷魔らしくない」
案外仲間思いなのは、昔から変わらないのよね…玉連以外は…
雛の言葉一言一言が胸に刺さる酷魔
「酷魔、本当に今までありがとうね…そろそろ竜嬉様の所に行く時間だから…」
「姉貴…俺諦めねぇから…」
もう、頼れるのは…
酷魔は涙を拭くと部屋を後にした
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
カーバンクル奮闘記~クラス丸ごと荒れ果てた異世界に召喚されました~
八百十三
ファンタジー
神奈川県の私立中学に通う三年生、韮野泰生(にらのたいせい)とそのクラスメイト計40人、担任の先生は唐突に、荒野の広がる異世界・ヴァグヤバンダへと召喚された。
召喚を実行した『薄明の旅団』主席の老人、ディーデリックいわく、泰生たちは召喚事故によって意図せずに地球から召喚されたらしい。
人間の異世界からの召喚は、この世界では禁忌。罪に問われることを回避するため、ディーデリックは泰生たち41人を魔物に変え、その人格と記憶を封印しにかかってきた。
友人たちが次々に人間の姿と記憶、尊厳を奪われていく中、戦闘力のないシトリンカーバンクルにされながらもただ一人、人格も記憶も奪われなかった泰生は、『薄明の旅団』の下っ端団員・レオンと協力して、クラスメイトと先生の自由を取り戻すべく立ち上がる。
果たして泰生は、魔物に変えられたクラスメイトを助け出し、ディーデリックの野望を打ち砕き、無事に地球に帰ることが出来るのか!?
表紙イラスト:NovelAI Diffusionにて生成
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、エブリスタ様、ノベルピア様でも並行して連載しています。
https://ncode.syosetu.com/n5193fw/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892756242
https://novelup.plus/story/326030517
https://estar.jp/novels/25734610
https://novelpia.jp/novel/2885
ユニークスキル『ゲーム化』で異世界ドロップの旅!
AZ
ファンタジー
生まれながらにして『霊能力』を持った青年『高坂拓真』はある日、近所の神社で出会った『着物の美女』によって『神界』に飛ばされてしまう。
神界で出会った女神『アマランティ』によって彼女の創った『世界』に転移することになった拓真はその際、スキルを与えてもらえたのだが……。
恩恵で貰えたスキルはとんでもないだった。
自由気ままに異世界を旅する拓真の新たな人生が始まる。
異世界で悪霊となった俺、チート能力欲しさに神様のミッションを開始する
眠眠
ファンタジー
トラックに跳ねられ異世界に飛ばされた主人公。気がつくと、彼は身体のない意識だけの存在に成り果てていた。なぜこのようなことになってしまったのか。謎を探るべく異世界を彷徨う主人公の前に死神さんが現れた。死神さんは主人公に今の状態が異世界転生(仮)であることを告げ、とあるミッションの達成と引き換えに正しい転生と3つのチート能力の贈呈を約束する。そのミッションとは様々な異世界を巡るもので……。
身体を失った主人公が残った心すらボッキボキに折られながらも頑張って転生を目指す物語です。
なお、その過程でどんどん主人公の変態レベルが上がっていくようです。
第1章は「働かなくてもいい世界」。労働不要の世界で、不死の住人達と友達になります。
第2章は「恋のキューピッド大作戦」。世界を救うため、とある二人の恋仲を成就させます。
6〜8つの世界を巡る予定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【R15】アリア・ルージュの妄信
皐月うしこ
ミステリー
その日、白濁の中で少女は死んだ。
異質な匂いに包まれて、全身を粘着質な白い液体に覆われて、乱れた着衣が物語る悲惨な光景を何と表現すればいいのだろう。世界は日常に溢れている。何気ない会話、変わらない秒針、規則正しく進む人波。それでもここに、雲が形を変えるように、ガラスが粉々に砕けるように、一輪の花が小さな種を産んだ。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる