62 / 71
第二章 勇者召喚
つまるところ最強のプー
しおりを挟む
進行度が全く不明だが、自分は確かに歩いていた。
このまま行けば異界の入り口でもあるのかという常闇が続く。魔狼の姿で歩けど爪があたる音もない無音の闇。肉球で感じる感触は少しだけ冷たかった。体毛も黒だけに溶け込み、金の双眸とプーの仄かな光だけの世界。
歩く以外何もすることがない。どれだけ進んでも変化は無い。ただ、すすり泣く声に近付くため歩み続けた。
「プー、これどこが終点だろうな。そろそろ休憩して水飲むか?」
ふよふよと舞い頭上から降りたプーは、また幼児に人化したが、頭部を発光させていたのには思わず吹きだす。上から見降ろすと、小さな子どもの頭部だけが闇の中でゆらゆら動いているのはホラーだ。
「おいプー、なんで頭だけ光るんだ。明るくていいけどな、ここでは生首に見えるぞ」
その状態は怖いとはっきり言わないのが悪かったのか、意味が通じてないようでプーは首を傾げた。それから俺の前脚にある鞄に移動した。
前もって入れておいた革水筒を小さな手で持って、栓を抜いて中を覗く動作が見える。振るとたぷんと水音がしたのを聴き、俺を見上げてニコッと笑った。次に何を思ったか頭からそれをザバーッとかぶった。
「コラ、勿体無いだろ、ここから出れるかも判らないうちに大胆に使うのは駄目だ」
入ったはいいが出る方法を知らないんだ。リスク回避にも繋がる慎重さも必要だと注意したが気に障ったらしい。
ぼんやりと浮かぶプーの可愛い顔は半目になり、口と頬を膨らませていた。そして顔を両手で覆うと両掌も仄かな光に包まれた。
手に光をまとうのは今まで見て来た事だ。
「何だ?魔法使うのか?」
俺の問いにウンウン頷くと、顔から離した両手をグーにして天を貫く様に掲げた。
その瞬間、小さな手から数多の光の粒が舞い始めた。普段より遥かに明るい白光の粒は、瞬く間に闇を喰い尽くす勢いで空間の正体を暴き始める。
その情景は柱のない駄々広い地下広場だ。壁はない。あるのは見渡す限り磨き上げられた白大理石の床。天井と壁であって欲しい場所は奥行きが掴めないほどで、そこにあるのはやはり闇だった。
散在するのは床の亀裂。そこから清水がこんこんと滲み出ていた。床の艶だと思ったのは薄い水面だった。脚を動かすと波紋が無限に広がっていく。
言うなればどこでも無い、どこなのかも判らない亜空間。三メートル超えの巨体の俺が居てもちっぽけな存在に感じた。
「……これは。ていうか、こんな魔力使って大丈夫なのか」
その言葉に、俺はもうダメ魔獣だと自覚した。人の心配もすんなりできる様になった。特にこの底知れないプーは、小さい身体で何をするかわからない所が恐ろしくもあり、不安でもあり可愛くもある。
一度失くしただけに執着しているのかも知れない。他人に振り回されるのが最高に嫌いだった俺が、執着。
・・・でも自分、狼で魔獣。
これが人で、せめて人型魔族だとかで、相手が好みの女性であれば成長も変化も素直に受容できると思うが。
・・・現対象、プー。
無性別のスライム。どうしようも無い現状にガクリと項垂れる。視界にはそのプーが機嫌よく座り込み、床の水が跳ねるのも気にせずパシャパシャと叩きまくっていた。気が付けばすすり泣く声がピタと止んでいる。
「魔法使っても大丈夫そうだな。水が好きなのは知ってるが何してるんだ」
プーの横にスフィンクス座りで寄り添う俺は自分の目を疑った。
波打つ波紋の中心から見え始めた床の向こう側に人がいた。プーの叩く床の反対側に合わせ鏡の様に世界があるのだ。
透けた床下のそこに薄っすらと存在するのは、水色のワンピースを着た黄色味の強い金髪の少女。まるでかのアリスを絵に描いたようだ。
うつ伏せになり、顔だけ横に目を閉じて眠っているのか身動きは無い。涙の跡が残る顔はあどけなく、歳は十代半ばだろう。少女の周囲には小冊子の様な本が沢山あった。下から見ても山積みだとわかる。
思い掛け無い事象についていけない俺は、暫く釘づけになっていた。少女に注視していた俺は、プーの水面を叩く音が止んだ事に首を振った。
「?!」
プーは水の湧き出す亀裂に手を突っ込んでいた。既に肘までどっぷりと細い腕が入り込むという、ありえない状態に声は出ず口がぱくぱくと動いた。
プーは得意げに腕を押し込んで行く。床下は少女のいる世界。そこへプーの手が生えたのが見えた。どういうこと?
「お、おおぉい、プー、俺はついていけないぞ。どうなってるんだ」
困惑する俺をチラ見して、また腕を突っ込むと笑顔になった。傍観するしか出来ない俺は思わず腕を引き抜くつもりで、鼻を使ってプーを押し倒した。だって何が起こるかわからないんだぞ!
コロンと横に転がり、うまく抜け出たプーの小さな手に握られていたのは、水色のワンピース。
「……世界が繋がってるって事か?」
その先を辿り、亀裂から出ている事を視認して更に床へと移行する。勿論ワンピースの上の少女の顔へと視線が向うと、見開いた目があった。茶色味が混じる金の双眸が俺を捕らえるなり、少女の虚ろげに見えた表情が激変した。
『犬っころが何故ここにおるのじゃ!っ、』
気丈な顔が眉間にシワを寄せてから自分の下半身を見た。プーが服を引っ張っているのにも気付いたようだ。
その瞬間だった。服を握ったままニコニコしていたプーがその場から消失した。
「プー?!」
『魔力の微塵もない犬が光の精霊を連れてここにいるとは。そんな者に過ぎた連れじゃ。我が預かる』
プーは消えたのではなく、床下の少女の腕の中に引き込まれていた。もう次から次に予想外すぎる。俺の危機管理能力は稼働不能。呆然とこの事態を他人事のように静観していた。
『なんじゃ、言うことはないのか?って、ちょ、ああア〝ッ!待つんじゃこれ!何をするか!』
プーは少女の腕からスルリと抜け出し、周りに山と積まれた小冊子の壁にダイブした。もうそれは楽しそうに、あのバンザイポーズでだ。
『イヤァァァッ!!やめぬかこの精霊!おおぉ、ああっ!それはダメなのじゃあっ!』
バッサバッサと舞う小冊子が見えた。千切っては投げが当てはまりそうに崩しまわるのが超楽しそうだ。少女と向こうの世界で追いかけっこに発展していた。
すまん。下からだからパンツ見えてるわ。膝まであるが多分かぼちゃパンツってやつ。そしてプーはスッポンポン。
追かける少女は、プーの小回りの効く速さには及ばない。立ち止まり広げて見る冊子に首を傾げるプーを目前に、ついに諦めたのか少女はへたりと座り込む。俯いた顔は床下の俺からは見えた。それは般若に近い怒りの形相。背筋にゾクリと悪寒が走った。
「ちょ、プー、こっち帰って来い!」
『フ、フフフ、我の、大事な本をよくもこうまでしてくれたものよ。精霊、何百年振りの精霊としてもこれは許し難いのじゃ。それにその本はな、子供には早いわあっ!』
ジッと冊子を見ていたプーの手から奪い取った物が、勢い余り宙を舞い床に広がり落ちた。見開いた状態になったそれは、床下の俺には丸見えだった。
「……子供には早い?」
字と思しき物が羅列した本は小説か。冊子で薄い本だけに、あらぬ想像をしたじゃないか。チクショウ!
『……我の、……まあいい。思春期もまだの精霊はそちに返すとしよう。ほれ、そこから帰るのじゃ精霊。犬の魔物も出口を教えるから出て行くのじゃ』
少女は俺をチラと見て、プーに亀裂に入れとシッシッと手を下振りして見せたが、紙の山、本の山を見たことが無いプー。フンッと鼻息荒く偉そうな顔をしてヤル気を見せ、直ぐさま小冊子にまたダイブした。
『ぉアァァァッ!おのれ精霊め!言うことを聞かぬか!子供だとて容赦はせぬぞおっ!』
あああ、荒ぶる少女に挑戦状を叩きつけれるって、プーお前最強だな。って感心してる場合じゃない。
「いやいや待て、プー、怪我する前にこっち帰って来い!」
身の危険も感じないのか俺の声にキョトンとした顔をしたのが見えた。その姿に大きな影が迫るのを見た途端、膨大な魔力の波が全身を突き抜けた。
このまま行けば異界の入り口でもあるのかという常闇が続く。魔狼の姿で歩けど爪があたる音もない無音の闇。肉球で感じる感触は少しだけ冷たかった。体毛も黒だけに溶け込み、金の双眸とプーの仄かな光だけの世界。
歩く以外何もすることがない。どれだけ進んでも変化は無い。ただ、すすり泣く声に近付くため歩み続けた。
「プー、これどこが終点だろうな。そろそろ休憩して水飲むか?」
ふよふよと舞い頭上から降りたプーは、また幼児に人化したが、頭部を発光させていたのには思わず吹きだす。上から見降ろすと、小さな子どもの頭部だけが闇の中でゆらゆら動いているのはホラーだ。
「おいプー、なんで頭だけ光るんだ。明るくていいけどな、ここでは生首に見えるぞ」
その状態は怖いとはっきり言わないのが悪かったのか、意味が通じてないようでプーは首を傾げた。それから俺の前脚にある鞄に移動した。
前もって入れておいた革水筒を小さな手で持って、栓を抜いて中を覗く動作が見える。振るとたぷんと水音がしたのを聴き、俺を見上げてニコッと笑った。次に何を思ったか頭からそれをザバーッとかぶった。
「コラ、勿体無いだろ、ここから出れるかも判らないうちに大胆に使うのは駄目だ」
入ったはいいが出る方法を知らないんだ。リスク回避にも繋がる慎重さも必要だと注意したが気に障ったらしい。
ぼんやりと浮かぶプーの可愛い顔は半目になり、口と頬を膨らませていた。そして顔を両手で覆うと両掌も仄かな光に包まれた。
手に光をまとうのは今まで見て来た事だ。
「何だ?魔法使うのか?」
俺の問いにウンウン頷くと、顔から離した両手をグーにして天を貫く様に掲げた。
その瞬間、小さな手から数多の光の粒が舞い始めた。普段より遥かに明るい白光の粒は、瞬く間に闇を喰い尽くす勢いで空間の正体を暴き始める。
その情景は柱のない駄々広い地下広場だ。壁はない。あるのは見渡す限り磨き上げられた白大理石の床。天井と壁であって欲しい場所は奥行きが掴めないほどで、そこにあるのはやはり闇だった。
散在するのは床の亀裂。そこから清水がこんこんと滲み出ていた。床の艶だと思ったのは薄い水面だった。脚を動かすと波紋が無限に広がっていく。
言うなればどこでも無い、どこなのかも判らない亜空間。三メートル超えの巨体の俺が居てもちっぽけな存在に感じた。
「……これは。ていうか、こんな魔力使って大丈夫なのか」
その言葉に、俺はもうダメ魔獣だと自覚した。人の心配もすんなりできる様になった。特にこの底知れないプーは、小さい身体で何をするかわからない所が恐ろしくもあり、不安でもあり可愛くもある。
一度失くしただけに執着しているのかも知れない。他人に振り回されるのが最高に嫌いだった俺が、執着。
・・・でも自分、狼で魔獣。
これが人で、せめて人型魔族だとかで、相手が好みの女性であれば成長も変化も素直に受容できると思うが。
・・・現対象、プー。
無性別のスライム。どうしようも無い現状にガクリと項垂れる。視界にはそのプーが機嫌よく座り込み、床の水が跳ねるのも気にせずパシャパシャと叩きまくっていた。気が付けばすすり泣く声がピタと止んでいる。
「魔法使っても大丈夫そうだな。水が好きなのは知ってるが何してるんだ」
プーの横にスフィンクス座りで寄り添う俺は自分の目を疑った。
波打つ波紋の中心から見え始めた床の向こう側に人がいた。プーの叩く床の反対側に合わせ鏡の様に世界があるのだ。
透けた床下のそこに薄っすらと存在するのは、水色のワンピースを着た黄色味の強い金髪の少女。まるでかのアリスを絵に描いたようだ。
うつ伏せになり、顔だけ横に目を閉じて眠っているのか身動きは無い。涙の跡が残る顔はあどけなく、歳は十代半ばだろう。少女の周囲には小冊子の様な本が沢山あった。下から見ても山積みだとわかる。
思い掛け無い事象についていけない俺は、暫く釘づけになっていた。少女に注視していた俺は、プーの水面を叩く音が止んだ事に首を振った。
「?!」
プーは水の湧き出す亀裂に手を突っ込んでいた。既に肘までどっぷりと細い腕が入り込むという、ありえない状態に声は出ず口がぱくぱくと動いた。
プーは得意げに腕を押し込んで行く。床下は少女のいる世界。そこへプーの手が生えたのが見えた。どういうこと?
「お、おおぉい、プー、俺はついていけないぞ。どうなってるんだ」
困惑する俺をチラ見して、また腕を突っ込むと笑顔になった。傍観するしか出来ない俺は思わず腕を引き抜くつもりで、鼻を使ってプーを押し倒した。だって何が起こるかわからないんだぞ!
コロンと横に転がり、うまく抜け出たプーの小さな手に握られていたのは、水色のワンピース。
「……世界が繋がってるって事か?」
その先を辿り、亀裂から出ている事を視認して更に床へと移行する。勿論ワンピースの上の少女の顔へと視線が向うと、見開いた目があった。茶色味が混じる金の双眸が俺を捕らえるなり、少女の虚ろげに見えた表情が激変した。
『犬っころが何故ここにおるのじゃ!っ、』
気丈な顔が眉間にシワを寄せてから自分の下半身を見た。プーが服を引っ張っているのにも気付いたようだ。
その瞬間だった。服を握ったままニコニコしていたプーがその場から消失した。
「プー?!」
『魔力の微塵もない犬が光の精霊を連れてここにいるとは。そんな者に過ぎた連れじゃ。我が預かる』
プーは消えたのではなく、床下の少女の腕の中に引き込まれていた。もう次から次に予想外すぎる。俺の危機管理能力は稼働不能。呆然とこの事態を他人事のように静観していた。
『なんじゃ、言うことはないのか?って、ちょ、ああア〝ッ!待つんじゃこれ!何をするか!』
プーは少女の腕からスルリと抜け出し、周りに山と積まれた小冊子の壁にダイブした。もうそれは楽しそうに、あのバンザイポーズでだ。
『イヤァァァッ!!やめぬかこの精霊!おおぉ、ああっ!それはダメなのじゃあっ!』
バッサバッサと舞う小冊子が見えた。千切っては投げが当てはまりそうに崩しまわるのが超楽しそうだ。少女と向こうの世界で追いかけっこに発展していた。
すまん。下からだからパンツ見えてるわ。膝まであるが多分かぼちゃパンツってやつ。そしてプーはスッポンポン。
追かける少女は、プーの小回りの効く速さには及ばない。立ち止まり広げて見る冊子に首を傾げるプーを目前に、ついに諦めたのか少女はへたりと座り込む。俯いた顔は床下の俺からは見えた。それは般若に近い怒りの形相。背筋にゾクリと悪寒が走った。
「ちょ、プー、こっち帰って来い!」
『フ、フフフ、我の、大事な本をよくもこうまでしてくれたものよ。精霊、何百年振りの精霊としてもこれは許し難いのじゃ。それにその本はな、子供には早いわあっ!』
ジッと冊子を見ていたプーの手から奪い取った物が、勢い余り宙を舞い床に広がり落ちた。見開いた状態になったそれは、床下の俺には丸見えだった。
「……子供には早い?」
字と思しき物が羅列した本は小説か。冊子で薄い本だけに、あらぬ想像をしたじゃないか。チクショウ!
『……我の、……まあいい。思春期もまだの精霊はそちに返すとしよう。ほれ、そこから帰るのじゃ精霊。犬の魔物も出口を教えるから出て行くのじゃ』
少女は俺をチラと見て、プーに亀裂に入れとシッシッと手を下振りして見せたが、紙の山、本の山を見たことが無いプー。フンッと鼻息荒く偉そうな顔をしてヤル気を見せ、直ぐさま小冊子にまたダイブした。
『ぉアァァァッ!おのれ精霊め!言うことを聞かぬか!子供だとて容赦はせぬぞおっ!』
あああ、荒ぶる少女に挑戦状を叩きつけれるって、プーお前最強だな。って感心してる場合じゃない。
「いやいや待て、プー、怪我する前にこっち帰って来い!」
身の危険も感じないのか俺の声にキョトンとした顔をしたのが見えた。その姿に大きな影が迫るのを見た途端、膨大な魔力の波が全身を突き抜けた。
10
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる