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されど問題は次々やってくる
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魔狼に荷を完全な八つ当たりで咬み散らかされたクロウ。
「昼寝をするから買い物し直してこい」
「えっ?」
小さな声で低く呟いたあと、威嚇の牙剥き出しで追い払われた。
何でそんなに不機嫌?昼寝がしたいから?と訳も分からないまま、仕方なく破損した物だけ買い直しに出ることにした。
「ねっ、あなたの犬なの?」
「おい兄ちゃん、あれ、お前の犬か」
組合を通り過ぎる頃話し掛けられた。
「はい?」
振り向いたクロウは肩下まである銀髪をさらりとなびかせた。背景効果はキラキラしたやつが見えた気がした。かなりの美男だ。男女は思わず怯んだが引く気はないようだ。
「…どうなの?」
「…どうなんだ」
先程組合の前で一悶着起こしてた男女二人だった。
「犬…は、連れですが何でしょう」
二人は顔を見合わせてニヤリ。男はクロウの胸ぐらを掴んで凄んだ。
「おい、あの黒犬をくれ」
「……え?」
「十万ガルで買うわよ。ただし、おたくの犬に壊された靴と胸当て代金差し引いて二万ガルだけどね~」
「買う?壊された?」
クロウはまた全然訳がわからなかった。しかし、買うなんて事を聞けば魔狼様を気に入っているクロウが反応するのは言うまでも無い。秀麗な顔に嫌悪の表情をのせた。
「何を言ってるのかわからんが、魔狼様を売るなんてとんでもない。壊されたのなら、それ相応の事があったんだろう。魔狼様は賢いから理由無く攻撃なんかしない。あんたらが悪い事をしたんじゃないのか。あの愛らしい魔狼様は俺の主だ。主抜きで話は出来ん。失礼する」
「…マロウサマ?」
「…主?愛らしい??」
壊れた装備の修理代を請求したいのはもちろんのことだったが、あんな動きで攻撃する犬なんて見たことが無い。しかも上級冒険者の自分たちより速度が上だった。上手く貰ってクエストに連れてけば、討伐も楽に済ませて余裕で大儲けできると踏んだのだ。
目論見が外れ予想外の答えにぽかーんとする二人。
「ちょ、待ちなさいよ!」
「おい、待て」
慌ててクロウを追い掛けた。
追いかけて来たものの、男は買い物を続ける。自分の着替えだろう着物と保存食を少し買うと次に行く。
「ああ、これは似合いそうだ」
クロウは魔狼に似合いそうな首に巻く布をニコニコと物色していた。数枚買ったら次は肉屋に来た。
「この肉を塊でブルーレア頼む」
「えっ塊ですか」
「ああ金は心配ない。前払いする。なんなら焼き加減はブルーでもいい」
「しょ、少々おまちを」
五キロ以上ある肉を生焼けで買った次は装飾品店だ。
「このクシはいいな、おお、これはブラシだな。金属製だしなかなか」
「お目が高い。ブラシは角獣の口髭で弾性と通りがひと際いいですよ」
「貰おう」
「まいど」
これで魔狼様のあの艶やかな黒緑の毛をブラッシングしてみたい。さらさらと流れるあれを、ふ、ふふ。
新しく飼う事になった我が家のペットに愛着するが如く。他から見れば何を想像しているのか分からないが、顔はでれでれに緩みっぱなしだった。
クロウは旅とは関係ない魔狼様グッズを買い始めたのだった。
後方からついて行く男女二人はニヤけて買い物をする美男をみて揉めていた。
「ちょ、なんか危ない人じゃないのっ?」
「いや、多分、機嫌がいいだけだろ…」
「…犬を主っていう時点で」
「あの犬のためだ。黙ってついて行こうぜ」
「もう手っ取り早く犬連れ去ろうかしら」
「お前な、」
「冗談よ、冗談」
クロウも男女二人も、すべては魔狼のために動くのだった。
ふっと血生臭い香りに鼻がひく付き、耳が足音を聞き分ける。
あー・・・クロウか。なんだこの臭い。うまそうじゃないか。
頭をむくりと上げ、体を起こして尻尾もピンっと力を入れ背伸びをした。仕上げにブルブルっと体をふるいスッキリだ。
「…寝れた寝れた」
くあぁぁと欠伸をした。
二時間でもねれたら回復だ。昼寝前のささくれたイライラも無くなった。
「魔狼様~!買い物終わりましたよ~」
相変わらずタイミングがいい。何だあの嬉しそうな笑顔は。気持ち悪い。こいつあれだろ、絶対犬好きだ。
「魔狼様、お腹空いてないですか。たまには生以外もと思って、これレアより生のブルーです、どうぞ食べてみて下さい。あ、これ熊肉です」
魔獣に焼き方説明いるのか。普通知らないだろ。
肉は後だ。俺は用事が済んだら出発したい。
俺は置かれた肉塊を前脚でズズズと押し返した。頭をくいっと動かし、こっちだとい言わんばかりに振って出発を促す。
「えーと?ああ、もう出ますか。わかりました」
クロウは出発の意図が分かった様だ。肉を包みすぐ用意をした。
俺は住処に帰るんだ。
出て直ぐの組合前を曲がった所だった。
「ちょっと待った!」
「待ちなさい、あんた達!」
「昼寝をするから買い物し直してこい」
「えっ?」
小さな声で低く呟いたあと、威嚇の牙剥き出しで追い払われた。
何でそんなに不機嫌?昼寝がしたいから?と訳も分からないまま、仕方なく破損した物だけ買い直しに出ることにした。
「ねっ、あなたの犬なの?」
「おい兄ちゃん、あれ、お前の犬か」
組合を通り過ぎる頃話し掛けられた。
「はい?」
振り向いたクロウは肩下まである銀髪をさらりとなびかせた。背景効果はキラキラしたやつが見えた気がした。かなりの美男だ。男女は思わず怯んだが引く気はないようだ。
「…どうなの?」
「…どうなんだ」
先程組合の前で一悶着起こしてた男女二人だった。
「犬…は、連れですが何でしょう」
二人は顔を見合わせてニヤリ。男はクロウの胸ぐらを掴んで凄んだ。
「おい、あの黒犬をくれ」
「……え?」
「十万ガルで買うわよ。ただし、おたくの犬に壊された靴と胸当て代金差し引いて二万ガルだけどね~」
「買う?壊された?」
クロウはまた全然訳がわからなかった。しかし、買うなんて事を聞けば魔狼様を気に入っているクロウが反応するのは言うまでも無い。秀麗な顔に嫌悪の表情をのせた。
「何を言ってるのかわからんが、魔狼様を売るなんてとんでもない。壊されたのなら、それ相応の事があったんだろう。魔狼様は賢いから理由無く攻撃なんかしない。あんたらが悪い事をしたんじゃないのか。あの愛らしい魔狼様は俺の主だ。主抜きで話は出来ん。失礼する」
「…マロウサマ?」
「…主?愛らしい??」
壊れた装備の修理代を請求したいのはもちろんのことだったが、あんな動きで攻撃する犬なんて見たことが無い。しかも上級冒険者の自分たちより速度が上だった。上手く貰ってクエストに連れてけば、討伐も楽に済ませて余裕で大儲けできると踏んだのだ。
目論見が外れ予想外の答えにぽかーんとする二人。
「ちょ、待ちなさいよ!」
「おい、待て」
慌ててクロウを追い掛けた。
追いかけて来たものの、男は買い物を続ける。自分の着替えだろう着物と保存食を少し買うと次に行く。
「ああ、これは似合いそうだ」
クロウは魔狼に似合いそうな首に巻く布をニコニコと物色していた。数枚買ったら次は肉屋に来た。
「この肉を塊でブルーレア頼む」
「えっ塊ですか」
「ああ金は心配ない。前払いする。なんなら焼き加減はブルーでもいい」
「しょ、少々おまちを」
五キロ以上ある肉を生焼けで買った次は装飾品店だ。
「このクシはいいな、おお、これはブラシだな。金属製だしなかなか」
「お目が高い。ブラシは角獣の口髭で弾性と通りがひと際いいですよ」
「貰おう」
「まいど」
これで魔狼様のあの艶やかな黒緑の毛をブラッシングしてみたい。さらさらと流れるあれを、ふ、ふふ。
新しく飼う事になった我が家のペットに愛着するが如く。他から見れば何を想像しているのか分からないが、顔はでれでれに緩みっぱなしだった。
クロウは旅とは関係ない魔狼様グッズを買い始めたのだった。
後方からついて行く男女二人はニヤけて買い物をする美男をみて揉めていた。
「ちょ、なんか危ない人じゃないのっ?」
「いや、多分、機嫌がいいだけだろ…」
「…犬を主っていう時点で」
「あの犬のためだ。黙ってついて行こうぜ」
「もう手っ取り早く犬連れ去ろうかしら」
「お前な、」
「冗談よ、冗談」
クロウも男女二人も、すべては魔狼のために動くのだった。
ふっと血生臭い香りに鼻がひく付き、耳が足音を聞き分ける。
あー・・・クロウか。なんだこの臭い。うまそうじゃないか。
頭をむくりと上げ、体を起こして尻尾もピンっと力を入れ背伸びをした。仕上げにブルブルっと体をふるいスッキリだ。
「…寝れた寝れた」
くあぁぁと欠伸をした。
二時間でもねれたら回復だ。昼寝前のささくれたイライラも無くなった。
「魔狼様~!買い物終わりましたよ~」
相変わらずタイミングがいい。何だあの嬉しそうな笑顔は。気持ち悪い。こいつあれだろ、絶対犬好きだ。
「魔狼様、お腹空いてないですか。たまには生以外もと思って、これレアより生のブルーです、どうぞ食べてみて下さい。あ、これ熊肉です」
魔獣に焼き方説明いるのか。普通知らないだろ。
肉は後だ。俺は用事が済んだら出発したい。
俺は置かれた肉塊を前脚でズズズと押し返した。頭をくいっと動かし、こっちだとい言わんばかりに振って出発を促す。
「えーと?ああ、もう出ますか。わかりました」
クロウは出発の意図が分かった様だ。肉を包みすぐ用意をした。
俺は住処に帰るんだ。
出て直ぐの組合前を曲がった所だった。
「ちょっと待った!」
「待ちなさい、あんた達!」
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