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第84話 冥界王ハデス⑤ 魔王化と勇者化② 御伽噺
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遥か昔、
魔王と勇者が手を組んで、
悪しき王を退けた。
悪しき王を倒せしは……
何でこんなときに? とルミナは思わずにはいられなかったが、なんとはなしにカナタのほうを振り向くと、カナタにも何かが聞こえていたのか、同じタイミングでこちらを振り向いていて、二人は思わず顔を見合わせ声をかけあっていた。
「カナタ、今の声」
「ああ、俺にも聞こえた」
「やっぱり……」
私一人に聞こえただけならそれは空耳かもしれない。けど、カナタにも同じものが聞こえたのだとすると、それは空耳なんかじゃない。それに過去お婆様に聞いたことがある。あのおとぎ話には意味があると。それなら……あのおとぎ話がおとぎ話でないのなら……やってみる価値が、あるのかもしれない。
「カナタ!」
「わかってる! ルミナ、もしあのおとぎ話が本当だって言うんなら……」
「ええ、試してみる価値が、あるかもしれない。駄目で元々、やるわよ、カナタ!」
「ああ! わかった!」
二人は視線を交わすと同時に頷き合うと、どちらからともなく自らが作り出した真紅の魔王剣と聖剣イクスペリエントを重ね合わせるように動き始めた。
そして二人の脳裏に浮かんだおとぎ話……その続きを呪文のごとく紡ぎ始める。
悪しき王を倒せしは……
「魔王の創りし、紅玉の剣……」
「勇者の創りし、聖なる剣……」
だが呪を口ずさみ始めた二人が剣を重ね合わせようとした瞬間、突然聖と魔の力が宿った二振りの剣は強烈な拒絶反応を引き起こして、互いに強力な障壁を生み出して反発しあう。
「って!? なにこれ!」
「くぅっ!?」
「カナタ!」
「くっ力がっ制御できねぇ!」
突然発生した予想外の出来事に、ルミナとカナタの二人は戸惑いの表情を浮かべながらも、何とか剣同士が発生させた巨大な力の障壁を押さえて、二つの力を合わせようとする。だが、いかんせん剣同士が互いに反発する力が余りに強力過ぎて、ルミナもカナタも剣の力を暴走させないようにするだけで精一杯だった。しかし、それでも何とか二人は相反する二つの力を重ね合わせようとする。
しかしそこへルミナとカナタが新たに創り出そうとしている力の存在に感づいたのか、今の今までたいしてルミナたちのすることに関心を払っていなかった冥界王ハデスが、始めてルミナたちを警戒するかのような動きを見せた。
魔王と勇者が手を組んで、
悪しき王を退けた。
悪しき王を倒せしは……
何でこんなときに? とルミナは思わずにはいられなかったが、なんとはなしにカナタのほうを振り向くと、カナタにも何かが聞こえていたのか、同じタイミングでこちらを振り向いていて、二人は思わず顔を見合わせ声をかけあっていた。
「カナタ、今の声」
「ああ、俺にも聞こえた」
「やっぱり……」
私一人に聞こえただけならそれは空耳かもしれない。けど、カナタにも同じものが聞こえたのだとすると、それは空耳なんかじゃない。それに過去お婆様に聞いたことがある。あのおとぎ話には意味があると。それなら……あのおとぎ話がおとぎ話でないのなら……やってみる価値が、あるのかもしれない。
「カナタ!」
「わかってる! ルミナ、もしあのおとぎ話が本当だって言うんなら……」
「ええ、試してみる価値が、あるかもしれない。駄目で元々、やるわよ、カナタ!」
「ああ! わかった!」
二人は視線を交わすと同時に頷き合うと、どちらからともなく自らが作り出した真紅の魔王剣と聖剣イクスペリエントを重ね合わせるように動き始めた。
そして二人の脳裏に浮かんだおとぎ話……その続きを呪文のごとく紡ぎ始める。
悪しき王を倒せしは……
「魔王の創りし、紅玉の剣……」
「勇者の創りし、聖なる剣……」
だが呪を口ずさみ始めた二人が剣を重ね合わせようとした瞬間、突然聖と魔の力が宿った二振りの剣は強烈な拒絶反応を引き起こして、互いに強力な障壁を生み出して反発しあう。
「って!? なにこれ!」
「くぅっ!?」
「カナタ!」
「くっ力がっ制御できねぇ!」
突然発生した予想外の出来事に、ルミナとカナタの二人は戸惑いの表情を浮かべながらも、何とか剣同士が発生させた巨大な力の障壁を押さえて、二つの力を合わせようとする。だが、いかんせん剣同士が互いに反発する力が余りに強力過ぎて、ルミナもカナタも剣の力を暴走させないようにするだけで精一杯だった。しかし、それでも何とか二人は相反する二つの力を重ね合わせようとする。
しかしそこへルミナとカナタが新たに創り出そうとしている力の存在に感づいたのか、今の今までたいしてルミナたちのすることに関心を払っていなかった冥界王ハデスが、始めてルミナたちを警戒するかのような動きを見せた。
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