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第一幕 地獄世界に転生した
第三十七話 獄炎鬼⑩ 読み違い
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ただ幸いだったのは、俺の行く手を遮ろうと、数を頼りに生み出された『獄連火球』は、名前とは裏腹に餓鬼洞の土壁や螺旋階段を破壊するほどの火力はあったものの。無機物である俺の炎獅子の体を焼き尽くすほどの火力が伴っていなかったことだ。
そのため俺は、『獄連火球』の猛攻を受け、足場を失い巨大な縦穴に落下したにもかかわらず、ほぼ無傷で済んでいた。
そして『獄連火球』の猛攻によって完全に足場を破壊された俺は、落下する自分の体を鼓舞し、何とか体制を整えて、もう一度土の螺旋階段のある竪穴の壁面へ飛ぼうとするが、すでに憤怒と化している獄炎鬼がそれを許すはずがなかった。
獄炎鬼は落下する俺を視線にとらえながら荒々しい怒号を上げる。
「グガアアアアアアアッッッ!!」
俺に向かって怒号を上げた獄炎鬼は、壁面に両腕を食いこませて固定砲台のように自分自身の体を固定させると、顔だけを俺のいる方角へ向け顔から少し離れた空間に、直径五十センチほどの数百発の火球を浮かび上がらせる。
そして獄炎鬼は、ニィッと嫌な笑みを浮かべながら俺を見つめると、再度俺に向かって数百発もの『獄連火球』を放ってきたのだった。
獄炎鬼の放った数百発もの俺の体を焼けない炎の玉は、俺の体に肉薄すると、俺の周囲を囲むようにして、小爆発を起こしまくった。
自分の周囲で小爆発が起こりまくったために、無機物であり体の軽い俺の体は、宙を舞い強風にあおられる木の葉のように、上下左右へと不規則に揺さぶられてしまう。
そのせいで、俺は方向感覚を失い。自分がどの位置にいるのかすらわからなくなり、完全にひどい乗り物酔いのような状態にされて、完全に自由を奪われてしまったのだった。
完全にまずった。
まさか獄炎鬼が『獄連火球』なる隠しスキルを持っていて、しかもそれを任意に爆発させられるとか、考えもしなかった。
完全に奴を脳筋と思った俺の読み間違いだ。
かといって過去を悔いたところでもう俺は取り返しのつかないミスをした。だが、このミスは取り返せるミスだ。
なぜなら、失った感覚は時間を置けば取り戻せるからだ。
そして感覚を取り戻した後に、今までよりもっと安全確実に獄炎鬼の奴を倒す手段を考え、先ほどよりも慎重に実行に移せばいいだけだからだ。
体を襲うひどい乗り物酔いの中で俺は、獄炎鬼の『獄連火球』によって方向感覚を失いながらも、巨大な縦穴の暗闇の中に落下していきながら、この後自分がとるべき行動を冷静に思考していた。
だがそんな俺の思惑を見透かしていたかのように、自由を奪われた俺の体は、いつのまにか竪穴の壁面を足場にして跳躍してきた獄炎鬼の巨大な手によって、鷲掴みにされていたのだった。
俺の体を鷲掴みにした獄炎鬼は、暗闇の広がる巨大な縦穴に落下しながらも、長年の宿敵の首を鷲掴みにして自分の勝利を確信したように両手を天に突き上げながら、喜びの歓声を上げた。
「グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーッッッ!!!」
そのため俺は、『獄連火球』の猛攻を受け、足場を失い巨大な縦穴に落下したにもかかわらず、ほぼ無傷で済んでいた。
そして『獄連火球』の猛攻によって完全に足場を破壊された俺は、落下する自分の体を鼓舞し、何とか体制を整えて、もう一度土の螺旋階段のある竪穴の壁面へ飛ぼうとするが、すでに憤怒と化している獄炎鬼がそれを許すはずがなかった。
獄炎鬼は落下する俺を視線にとらえながら荒々しい怒号を上げる。
「グガアアアアアアアッッッ!!」
俺に向かって怒号を上げた獄炎鬼は、壁面に両腕を食いこませて固定砲台のように自分自身の体を固定させると、顔だけを俺のいる方角へ向け顔から少し離れた空間に、直径五十センチほどの数百発の火球を浮かび上がらせる。
そして獄炎鬼は、ニィッと嫌な笑みを浮かべながら俺を見つめると、再度俺に向かって数百発もの『獄連火球』を放ってきたのだった。
獄炎鬼の放った数百発もの俺の体を焼けない炎の玉は、俺の体に肉薄すると、俺の周囲を囲むようにして、小爆発を起こしまくった。
自分の周囲で小爆発が起こりまくったために、無機物であり体の軽い俺の体は、宙を舞い強風にあおられる木の葉のように、上下左右へと不規則に揺さぶられてしまう。
そのせいで、俺は方向感覚を失い。自分がどの位置にいるのかすらわからなくなり、完全にひどい乗り物酔いのような状態にされて、完全に自由を奪われてしまったのだった。
完全にまずった。
まさか獄炎鬼が『獄連火球』なる隠しスキルを持っていて、しかもそれを任意に爆発させられるとか、考えもしなかった。
完全に奴を脳筋と思った俺の読み間違いだ。
かといって過去を悔いたところでもう俺は取り返しのつかないミスをした。だが、このミスは取り返せるミスだ。
なぜなら、失った感覚は時間を置けば取り戻せるからだ。
そして感覚を取り戻した後に、今までよりもっと安全確実に獄炎鬼の奴を倒す手段を考え、先ほどよりも慎重に実行に移せばいいだけだからだ。
体を襲うひどい乗り物酔いの中で俺は、獄炎鬼の『獄連火球』によって方向感覚を失いながらも、巨大な縦穴の暗闇の中に落下していきながら、この後自分がとるべき行動を冷静に思考していた。
だがそんな俺の思惑を見透かしていたかのように、自由を奪われた俺の体は、いつのまにか竪穴の壁面を足場にして跳躍してきた獄炎鬼の巨大な手によって、鷲掴みにされていたのだった。
俺の体を鷲掴みにした獄炎鬼は、暗闇の広がる巨大な縦穴に落下しながらも、長年の宿敵の首を鷲掴みにして自分の勝利を確信したように両手を天に突き上げながら、喜びの歓声を上げた。
「グルアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーッッッ!!!」
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