宇宙(そら)の魔王

鳴門蒼空

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青の星 青の星戦域② 落下した隕石と尖兵

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「くそっ何とか生きてるか?」

 衝撃の収まった数分後。頭をふらつかせながらも裕矢は、目を開けて何とか周囲の状況を探ろうとしたのだが、ふと自分の腕の中にいるぬくもりに気付き目線を腕の中へと移した。

 裕矢の腕の中には、先ほどの衝撃で気絶でもしたのか、瞳を閉じたままの秋菜の姿があった。

 瞳を閉じたままの秋菜の姿を目にした瞬間、先ほどの衝撃で頭でも打って秋菜は死んでしまったのではないか? といった嫌な想像が裕矢の脳裏をよぎる。

 だがその心配は杞憂に終わる。

 なぜなら、一瞬後には秋菜の安らかな寝息が裕矢の耳に聞こえてきたからだった。

 裕矢は秋菜の寝息を聞きほっと胸をなでおろした。

「何とか大丈夫みたいだな」

 それから裕矢は秋菜が怪我をしてないかどうか確認し終えると、秋菜を平らな地面に横たえてから、自分の体が無事かどうか確認する。

 先ほどの衝撃から秋菜を庇ったために、少し擦り傷や細かい傷はあったが、あれほどの衝撃を受けたわりには、体を動かすのに支障だ出るような大怪我を負ってはいないようだった。

「よし」

 怪我の確認を終えた裕矢は一声発すると、先ほど自分たちを襲った落下物が落ちたと思われる方へと視線を向ける。

 そこには、今まで裕矢が見たこともない信じられないような光景が広がっていた。

 そう、落下物が落ちたと思われる方向に裕矢が視線を向けると、裕矢たちから数メートルほど離れた道路に、隕石の落下などでできるクレーターができていたのだった。

 こんなもんテレビでしか見たことがない。

 そう思った裕矢は好奇心も手伝って、ゆっくりとクレーターに近づいて行った。

 そしてクレーターのできている端まで来ると、指先で恐る恐るクレーターに触れてみる。

「あちっ」

 思わずそう声を上げると、裕矢はクレーターに触れていた指先をはなす。

 どうやら宇宙からの落下物によってできたクレーターは、摩擦熱か何かによって少し熱を帯びているようだった。

 クレーター自体が熱を帯びているのを知った裕矢は、仕方ないといった感じにクレーターに触れるのをやめると、今度はクレーターの原因を作ったと思われるクレーターの中心にあるはずの落下物に視線を移した。

 案の定そこには、地球の大気摩擦を乗り越えて、地上まで落下してきたものが突き刺さるようにして地面にえぐり込んでいた

「なんだあれ?」

 とても人工物には見えない。ってことは落下物は、人工衛星の破片なんかじゃなくて隕石!? そう思った裕矢は、落ちてきたものの正体を見極めようと、クレーターの端に足をかけて、隕石の落下によって砕け散ったアスファルトの破片などを慎重に踏み越えながら、隕石へと近づいて行った。

「これが……隕石?」

 隕石までたどり着いた裕矢が、目の前にある隕石に裕矢が触れようとした瞬間。

 隕石が真っ二つに裂けて、中から人間と同じような四肢を持った2メートルほどの黒色の鎧のような物体が飛び出してきた。

「宇宙人!?」

 隕石から現れたあまりに予想外の物体の登場にお、裕矢は思わず声を上げてしまう。

 現れた黒い鎧のようなものは、頭部と思わしき部分に一つしかない五百円玉ほどの丸い赤い瞳を左右に動かして、目の前にいる裕矢を認識する。

『生物……駆逐……』

 裕矢を認識した黒い鎧のようなものは、地球人である裕矢には理解できない地球外の言葉で呟くと、ヒュィィィインッと、赤い瞳に光が収束するような機械音を発生させる。

 そして、赤い瞳に光が収束したと思った瞬間っピカッという閃光と共に、裕矢のすぐわきを赤い閃光、レーザー光線が行き過ぎていった。

 裕矢が赤いレーザー光線が通り過ぎていった先に視線を向けると、レーザー光線が通過した地面は光線の熱により焼け焦げていて、赤いレーザー光線が命中したと思われる場所にあった民家は跡形もなく蒸発していた。

『大気による誤差、修正……』

 再度地球人である裕矢には理解できない機械音声で呟くと、再度裕矢に赤い瞳を向ける。

「な!? なんだよっ今の!? まさか……攻撃!?」

 裕矢は叫び声をあげるも、あまりに急展開な出来事に、その場を一歩も動けず、ただ自分に襲い掛かってくるものに目が釘付けになっていた。

 そして奏でられる裕矢を死へといざなうヒュィィィインッという赤い光線を発するための光を集める機械音。

 その音を聞いた裕矢の脳裏を、死……と言う単語がかすめた瞬間。

 裕矢に襲い掛かってきたものは、裕矢の見ている目の前で光の光刃によって真っ二つに分かたれたのだった。

  光の光刃によって分かたれた黒い鎧は、爆発四散して活動を終えた。

 そして、黒い鎧が爆発四散して消え去ると共に、裕矢の目の前に姿を現したのは、銀を基調とした中世の鎧のようなものをまとい、右手に光の光刃を手にした『星の護り手』に所属する宇宙を駆けるヴァルキリー。ニーナだった。
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