宇宙(そら)の魔王

鳴門蒼空

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惑星イシュラ戦域 魔王VSレヴァティーン艦隊③ 被害確認

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「皆無事か!」

 惑星イシュラからの赤色のレーザー光線が通り過ぎ、艦内の揺れが収まったのを確認したレイラが、ブリッジにいる乗組員たちの顔を見回しながら声を上げた。

「はいっ」

「何とか」

 レイラの呼びかけに対して、何人かの乗組員たちから声が返される。

「ちっ油断したな。外から先兵を送り込んでイシュラを制圧しようとしていたと思っていたが、魔王め、すでに神器を得るためにこの惑星を侵食していたか、とんだ誤算だった」

「はい。それで艦長。これからどうしますか?」

「まず、各艦の被害状況を確認せよ」

「はっ」

 オペレーターは、敬礼して返事を返すとともに、目の前にコンソールに素早く指を這わせ、現在の状況を確認していく。

「艦長っ今の惑星イシュラからの攻撃により、轟沈した艦多数! わが艦隊に配属されていた戦艦クルス、エルス、エルメスが大破。各艦艦長による独自の判断により戦闘宙域を離脱していきます。続いて巡洋艦ヒラガ、ナスカ、アスカ。本宙域より離脱」

 報告を聞いたレイラは、行き場のない怒りに歯噛みしながら声を荒らげる。

「くっ我が艦隊の主力の三分の一ほどが、奴のたったの一撃で持っていかれたか!」

「艦長どうしますか?」

 艦隊の主戦力の三分の一以上持っていかれたとあっては、普通ならばこの場は撤退し、再起にかけるのが定石だ。しかし……このまま惑星イシュラに寄生した魔王を放置したまま、この宙域を離れれば、惑星イシュラの神器は魔王に奪われ、さらにこの銀河は近いうちに魔王に落とされるだろう。それだけは避けねばならん。ならばどうする? 戦力は少ないが魔王を倒すしかない。

 そう決断したレイラのその後の行動は素早かった。

「惑星イシュラの大半が今や魔王によって浸食されてしまった以上っ我が艦の主砲をもって、魔王を惑星イシュラごと破壊する!」

「惑星破壊!? しかし艦長っそれは宇宙法に違反します!」

 レイラの思いもよらぬ決断に、艦のブリッヂにいた乗組員全員が彼女のほうを振り向き驚愕の表情を浮かべる。

「緊急事態だ。それに」

「それに?」

「奴は、もう惑星イシュラではなく魔王だ。このまま魔王をこの銀河系で放置するわけにも、また魔王にむざむざ惑星イシュラの神器をくれてやるわけにもいかん」

 レイラの説明を聞き終えたブリッヂにいた乗組員たちは、自分たちの艦長である彼女の意見に皆納得せざるを得なかった。

 そして、ブリッヂにいた乗組員全員が納得したのを確認したレイラが支持を飛ばす。

「生き延びた地上部隊、および先ほどの攻撃によってこの宙域に投げ出された乗組員を我が艦及び各所属艦に強制転送! それと並行しつつ惑星破壊砲『レヴァティーン』にエネルギー充填! エネルギーが充填され兵士たちの収容が終わり次第、惑星爆発に備え全艦シールド展開っその後惑星イシュラに向けて我が艦の主砲。惑星破壊砲『レヴァティーン』を放つ!」

「はっ!」

 レイラの指示を受け、ブリッヂにいた全オペレーターが矢継ぎ早に動き始めた。
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