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第九話 ブタっぽい俺のポテチ・邂逅
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「かい~な~」
一晩たち、腹に妙なむず痒さを覚えた俺は、ボリボリと腹をかきながら目を覚ました。
「ふぁ~あ、いったいなんだってんだよ? 朝からよ~」
俺は大きなあくびを噛み殺しながら、未だにかゆみが治まらない腹に視線を向けながら文句を言った。
まぁ普通こういった場合。蚊かなにか血を吸うタイプの虫が腹にたかっていると思うだろう。
俺もそう思った。
が、違っていた。
そう違っていたのだ。
なぜなら俺の腹に噛みつき血を貪ろうとしていたのは、蚊や虫の類いではなかったからだ。
そう、朝起きた俺の腹に噛みついていたのは、昨日から俺のあとを執念深く執拗に追いかけ回し、オークを手に入れた俺がすっかりその存在ごと忘れていた灰色狼だったからだ。
しかも一頭や二頭ではない。よく見ると、五、六頭の灰色狼が、俺の腹や首筋や手足に束になって噛みついていたのだ!
「ざけんなっまずいスジ肉のぶんざいで!」
俺は俺に噛みついてきていた灰色狼を、その場で立ち上がりながら力任せに振り回し、弾き飛ばした。
俺に弾き飛ばされた灰色狼たちは、「キャインキャイン」と、情けない悲鳴を上げながら、地面や木。岩などに叩きつけられて、その場で蹲るが、いかに温厚な俺とて我慢の限界というものがあった。
それに、朝飯がまだだったために、少し苛立っていたのもあった。
「覚悟しやがれ! てめえらがいくらまずかろうと食い尽してやるからな!」
俺は、昨夜最後のポテチが底をつき、悲しみにくれて眠った俺の眠りを中途半端に妨げ、今は俺に弾き飛ばされて情けない悲鳴を上げている灰色狼たちに近づいていくと、一体一体に情け容赦なく時に落ちていた岩を頭から落とし、時に足の裏に全体重をかけて踏み潰していった。
時間にして一分もかからないうちに、俺は俺の体に噛みついていた灰色狼たちの息の根を止めたのだった。
「あ~かゆかった」
俺は灰色狼たちに噛まれた首筋や腹。手足などをかきながら文句を口にした。
「けどまあいいか、労せずして朝飯もGETしたことだし」
俺は今しがた倒した灰色狼の死体を集めると、昨日からやっているように森に入り焚き木となる枯れ枝と、灰色狼を串刺しにできる適当な大きさの森の木の枝を拾ってから、すでに俺専用の草原ベースキャンプと化している場所で、焚き火を起こして、川魚のように灰色狼を串刺しにして焚き火の回りに並べて焼いたのだった。
灰色狼が、焼けるまで手持ちぶさただった俺は、ついついないとわかっていながらも、後生大事にリュックの中にしまっていた空のポテチ袋へと手を伸ばしていた。
しかしポテチ袋の中に入れた俺の指先には、ガサリと、俺すらまったく予想していなかった感触があった。
そう、ポテチ袋に入れた俺の指先に、あの懐かしい油もの独特の油っぽい感触があったからだ。
「へ?」
俺は、指先に感じたポテチ特有の感触を感じつつも、そんなことあるわけない。
と思いながらも、恐る恐る指先に触れたポテチを摘まんで、ポテチ袋から引っ張り出した。
「これは……夢か、幻か?」
俺はプルプルと型枠から出した煮こごりのように自分の震える指先にあるポテチを見つめながら涙を流していた。
それはもう何年も、いや何十年も会っていなかった生き別れになった恋人に出会った時のようにである。
「ポテーチッ!」
俺はえもいわれぬ感動を感じて、心の底から喜びの声をあげたのだった。
そうして俺とポテチは、感動の再会を果たしたのだった。
一晩たち、腹に妙なむず痒さを覚えた俺は、ボリボリと腹をかきながら目を覚ました。
「ふぁ~あ、いったいなんだってんだよ? 朝からよ~」
俺は大きなあくびを噛み殺しながら、未だにかゆみが治まらない腹に視線を向けながら文句を言った。
まぁ普通こういった場合。蚊かなにか血を吸うタイプの虫が腹にたかっていると思うだろう。
俺もそう思った。
が、違っていた。
そう違っていたのだ。
なぜなら俺の腹に噛みつき血を貪ろうとしていたのは、蚊や虫の類いではなかったからだ。
そう、朝起きた俺の腹に噛みついていたのは、昨日から俺のあとを執念深く執拗に追いかけ回し、オークを手に入れた俺がすっかりその存在ごと忘れていた灰色狼だったからだ。
しかも一頭や二頭ではない。よく見ると、五、六頭の灰色狼が、俺の腹や首筋や手足に束になって噛みついていたのだ!
「ざけんなっまずいスジ肉のぶんざいで!」
俺は俺に噛みついてきていた灰色狼を、その場で立ち上がりながら力任せに振り回し、弾き飛ばした。
俺に弾き飛ばされた灰色狼たちは、「キャインキャイン」と、情けない悲鳴を上げながら、地面や木。岩などに叩きつけられて、その場で蹲るが、いかに温厚な俺とて我慢の限界というものがあった。
それに、朝飯がまだだったために、少し苛立っていたのもあった。
「覚悟しやがれ! てめえらがいくらまずかろうと食い尽してやるからな!」
俺は、昨夜最後のポテチが底をつき、悲しみにくれて眠った俺の眠りを中途半端に妨げ、今は俺に弾き飛ばされて情けない悲鳴を上げている灰色狼たちに近づいていくと、一体一体に情け容赦なく時に落ちていた岩を頭から落とし、時に足の裏に全体重をかけて踏み潰していった。
時間にして一分もかからないうちに、俺は俺の体に噛みついていた灰色狼たちの息の根を止めたのだった。
「あ~かゆかった」
俺は灰色狼たちに噛まれた首筋や腹。手足などをかきながら文句を口にした。
「けどまあいいか、労せずして朝飯もGETしたことだし」
俺は今しがた倒した灰色狼の死体を集めると、昨日からやっているように森に入り焚き木となる枯れ枝と、灰色狼を串刺しにできる適当な大きさの森の木の枝を拾ってから、すでに俺専用の草原ベースキャンプと化している場所で、焚き火を起こして、川魚のように灰色狼を串刺しにして焚き火の回りに並べて焼いたのだった。
灰色狼が、焼けるまで手持ちぶさただった俺は、ついついないとわかっていながらも、後生大事にリュックの中にしまっていた空のポテチ袋へと手を伸ばしていた。
しかしポテチ袋の中に入れた俺の指先には、ガサリと、俺すらまったく予想していなかった感触があった。
そう、ポテチ袋に入れた俺の指先に、あの懐かしい油もの独特の油っぽい感触があったからだ。
「へ?」
俺は、指先に感じたポテチ特有の感触を感じつつも、そんなことあるわけない。
と思いながらも、恐る恐る指先に触れたポテチを摘まんで、ポテチ袋から引っ張り出した。
「これは……夢か、幻か?」
俺はプルプルと型枠から出した煮こごりのように自分の震える指先にあるポテチを見つめながら涙を流していた。
それはもう何年も、いや何十年も会っていなかった生き別れになった恋人に出会った時のようにである。
「ポテーチッ!」
俺はえもいわれぬ感動を感じて、心の底から喜びの声をあげたのだった。
そうして俺とポテチは、感動の再会を果たしたのだった。
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