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三話
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私の名はダルド・アン。
森人と呼ばれる民族の一人だ。
「森の神よ、愛しき娘に御加護を……」
森人とは、自然と供に生き、自然を愛する者の事を指す。
森人には、自然の王と呼ばれる存在を崇め信行して居て、自然の王の下には二つの神の存在が居る。そして其れらの神から、マナの力を借りて居る。
植物に携わる森の神。此の神を信行とする者は、植物との対話を可能としたり、植物にマナの力を与えて様々な事を可能とする。芽を急速な成長を遂げたり、果実を実らせたりできる。
「花の神よ、愛しき娘に御加護を……」
私の横で共に両手を組んで拝む女性。
私の妻、ミルタナ・アンだ。
彼女が信行として居るのは、花に携わる花の神だ。花の神を信行としている者は、花にもたらす言葉。花言葉にマナの力を与える事で、一つだけ花言葉を実現させる事を可能とする。他にも香りを引き出す、蜜蜂と対話等できる。
「其れでは、双方持って来た物を聖杯に……」
そして拝む我らの前に立つのは、森人の伝統儀式の仕切る、村長と村長が抱えている我等の親に子を付ける大切な一人娘。ミカルス・アンだ。
名前は、妻に似ているから近い名前を付けたのだが、妻は此れを意味ある言葉と受け取り、承認してしまった。
ダルドとミルタナは、足元に置かれた植物を前に突き出す。
「私。ダルドからは、精霊の苗を……」
「私。ミルタナからは、カモミール、リンドウ、モクレンを……」
此の儀式は、生まれた赤子をどの様に育って欲しいかを決める式。そして我々がお出しした物にも意味がある。
精霊の苗は、森の神の種子から生まれた物。其れを精霊が好み、すくすくと育つまで顕ゆる障害から身を守ったという説がある。つまり、この子が大人になるまで精霊よ、見守って下さい。との意味がある。
ミルタナがお出しした花。
カモミールは「逆境で生まれる力」此れはどんな時でも負けるなと言う意味で、リンドウからは「正義」、そしてモクレンは「自然への愛」だ。
過保護な二人は、それ程にも生まれた赤子を大切にしているのだ。
苗と花を一杯の銀の聖杯に乗せ、村長が受け取る。
「自然の王よ。子を慈しむ親子に、感涙の一滴を与え給え………」
そして村長だけが許される、自然の王への信行。
自然の王については、我々も詳しくは知らない。
村長は聖杯を挙げて唱える。
すると何もない天井から、一滴の雫が落ちて来る。其れが聖杯の中に入ると、苗と花は雫に呑まれて存在を消してしまう。
「お飲みなさい、小さな生命よ」
聖杯をそっとミカルスの口まで運び、聖杯の水を飲ませる。
そして儀式が終了する。
ミカルスを抱えたミルタナと私は一度家に帰宅し、子供を目一杯可愛いがる。
次の日。
悪魔の声に吊られてやって来たのか、其奴は現れた。
「熊が来たぞ!!!」
村の見張りが怪訝な顔をして疾走と叫ぶ。
鷹が熊。
其れだけでは怯えはしない我等、森人。だったのだが、其奴は異常だった。
「此奴はやばい! 病熊じゃ!!」
村長の言葉、辺りは一変して慌てだす。
テントを崩してまで、すかさず走る村の皆んな。
ミルタナもミカルスを抱えて、村の人達と供に何処かへ走り去る。
病熊。その名前を聞くだけでゾッとする。
瀕死の動物に寄生した虫が、寄生した者を操っては血肉を求めて森を彷徨う操り人形。
体毛には病原菌を付着し、触れれば感染して息を絶つ。勿論近くだけでも、かなりの毒だ。此奴は森人達にとって、天敵に他ない。
「うわぁぁぁ! お家帰りたいよ!!」
「はぁ。最悪だ、なんで奴が近くに居るんだよ」
「あぁ、森の神よ。彼を追い払い給え……」
「おい! 森の神を争いに巻き込むな! 祟られるぞ!」
夜も吹けた時刻。
森の奥深く、木々に囲まれた苔だらけの岩山に、沢山の森人達が集まる。
森人といっても、人と然程変わらない。
家を無くして涙を流す人も居れば、神に頼って奴を消そうとする者もいる。
然し、王や神を争いに出す事は禁じられている。それ故、何があっても自然の摂理。弱肉強食による食物連鎖を断ち切るには、自分の身は自分で守らなければいけない。
そしてミカルス。
我が親子の大切な宝を汚す者は、誰一人として許さない。
「私が彼と闘おう!!」
村の皆んなが唖然として此方を見る。
その間、私は荷物の支度をする。
鋭利な長剣にボルト式のライフル銃。分厚い革の鎧に身軽で丈夫なブーツ。そして感染を防ぐ為にも顔には布を巻く。
闘いのフル装備姿だった。
そして病熊が居るところ迄向かおうとすると、村長が仁王立ちして通せんぼうする。
「奴と闘う? 正気か?」
「私には闘う義務がある。村を救う為にも、娘の為にもだ」
「勝った所でお前は感染して居るかも知れんぞ? そしたら娘さんの顔は、一生近くでは見れんし触る事すら出来ん。それでもか?」
「決心を揺るがさないでくれ。私は涙を呑んででも闘いきる!」
その時の私は、どんな表情をしていたのか。
村長は汗を流して退いてくれた。
「ダルド・アン!」
村の皆んなが声を張って叫ぶ。
「絶対に勝てよ!!」
彼等の声に押されて、影の中に私は消えた。
森人と呼ばれる民族の一人だ。
「森の神よ、愛しき娘に御加護を……」
森人とは、自然と供に生き、自然を愛する者の事を指す。
森人には、自然の王と呼ばれる存在を崇め信行して居て、自然の王の下には二つの神の存在が居る。そして其れらの神から、マナの力を借りて居る。
植物に携わる森の神。此の神を信行とする者は、植物との対話を可能としたり、植物にマナの力を与えて様々な事を可能とする。芽を急速な成長を遂げたり、果実を実らせたりできる。
「花の神よ、愛しき娘に御加護を……」
私の横で共に両手を組んで拝む女性。
私の妻、ミルタナ・アンだ。
彼女が信行として居るのは、花に携わる花の神だ。花の神を信行としている者は、花にもたらす言葉。花言葉にマナの力を与える事で、一つだけ花言葉を実現させる事を可能とする。他にも香りを引き出す、蜜蜂と対話等できる。
「其れでは、双方持って来た物を聖杯に……」
そして拝む我らの前に立つのは、森人の伝統儀式の仕切る、村長と村長が抱えている我等の親に子を付ける大切な一人娘。ミカルス・アンだ。
名前は、妻に似ているから近い名前を付けたのだが、妻は此れを意味ある言葉と受け取り、承認してしまった。
ダルドとミルタナは、足元に置かれた植物を前に突き出す。
「私。ダルドからは、精霊の苗を……」
「私。ミルタナからは、カモミール、リンドウ、モクレンを……」
此の儀式は、生まれた赤子をどの様に育って欲しいかを決める式。そして我々がお出しした物にも意味がある。
精霊の苗は、森の神の種子から生まれた物。其れを精霊が好み、すくすくと育つまで顕ゆる障害から身を守ったという説がある。つまり、この子が大人になるまで精霊よ、見守って下さい。との意味がある。
ミルタナがお出しした花。
カモミールは「逆境で生まれる力」此れはどんな時でも負けるなと言う意味で、リンドウからは「正義」、そしてモクレンは「自然への愛」だ。
過保護な二人は、それ程にも生まれた赤子を大切にしているのだ。
苗と花を一杯の銀の聖杯に乗せ、村長が受け取る。
「自然の王よ。子を慈しむ親子に、感涙の一滴を与え給え………」
そして村長だけが許される、自然の王への信行。
自然の王については、我々も詳しくは知らない。
村長は聖杯を挙げて唱える。
すると何もない天井から、一滴の雫が落ちて来る。其れが聖杯の中に入ると、苗と花は雫に呑まれて存在を消してしまう。
「お飲みなさい、小さな生命よ」
聖杯をそっとミカルスの口まで運び、聖杯の水を飲ませる。
そして儀式が終了する。
ミカルスを抱えたミルタナと私は一度家に帰宅し、子供を目一杯可愛いがる。
次の日。
悪魔の声に吊られてやって来たのか、其奴は現れた。
「熊が来たぞ!!!」
村の見張りが怪訝な顔をして疾走と叫ぶ。
鷹が熊。
其れだけでは怯えはしない我等、森人。だったのだが、其奴は異常だった。
「此奴はやばい! 病熊じゃ!!」
村長の言葉、辺りは一変して慌てだす。
テントを崩してまで、すかさず走る村の皆んな。
ミルタナもミカルスを抱えて、村の人達と供に何処かへ走り去る。
病熊。その名前を聞くだけでゾッとする。
瀕死の動物に寄生した虫が、寄生した者を操っては血肉を求めて森を彷徨う操り人形。
体毛には病原菌を付着し、触れれば感染して息を絶つ。勿論近くだけでも、かなりの毒だ。此奴は森人達にとって、天敵に他ない。
「うわぁぁぁ! お家帰りたいよ!!」
「はぁ。最悪だ、なんで奴が近くに居るんだよ」
「あぁ、森の神よ。彼を追い払い給え……」
「おい! 森の神を争いに巻き込むな! 祟られるぞ!」
夜も吹けた時刻。
森の奥深く、木々に囲まれた苔だらけの岩山に、沢山の森人達が集まる。
森人といっても、人と然程変わらない。
家を無くして涙を流す人も居れば、神に頼って奴を消そうとする者もいる。
然し、王や神を争いに出す事は禁じられている。それ故、何があっても自然の摂理。弱肉強食による食物連鎖を断ち切るには、自分の身は自分で守らなければいけない。
そしてミカルス。
我が親子の大切な宝を汚す者は、誰一人として許さない。
「私が彼と闘おう!!」
村の皆んなが唖然として此方を見る。
その間、私は荷物の支度をする。
鋭利な長剣にボルト式のライフル銃。分厚い革の鎧に身軽で丈夫なブーツ。そして感染を防ぐ為にも顔には布を巻く。
闘いのフル装備姿だった。
そして病熊が居るところ迄向かおうとすると、村長が仁王立ちして通せんぼうする。
「奴と闘う? 正気か?」
「私には闘う義務がある。村を救う為にも、娘の為にもだ」
「勝った所でお前は感染して居るかも知れんぞ? そしたら娘さんの顔は、一生近くでは見れんし触る事すら出来ん。それでもか?」
「決心を揺るがさないでくれ。私は涙を呑んででも闘いきる!」
その時の私は、どんな表情をしていたのか。
村長は汗を流して退いてくれた。
「ダルド・アン!」
村の皆んなが声を張って叫ぶ。
「絶対に勝てよ!!」
彼等の声に押されて、影の中に私は消えた。
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