魔女の露店

秋鮭の哀しみ。

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魔女、異世界にて能力をもつ。

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「・・・ここどこ?」

私、サチこと、野崎のざき幸子さちこは突然の状況に頭で理解ができなかった。

まて、状況を整理しよう。
私はたしか、小さな会社の事務の仕事をしてたはずだ。ブラック会社も真っ青の真っ黒な会社ではあったけど。
18の時に入社してから、3年。半年に一度、3日間しかない休日。待ちわびたその休日でやっとゆっくりできると思い、私は趣味の読書に明け暮れていた。
16の時に両親が他界したとき、私は一人で生きていかなくちゃいけない、と思ったのだ。今の会社をやめたら、親もいない私はホームレスになってしまう。だから、やめたくてもやめられないのだ。

本が読み終わり、私はまだ読んでない本がもうないことに気づいた。それで、本を買いに行こうと玄関を出てーー森に出た。

「いやいや、おかしいでしょ」

ドア開けたら森って・・・。どこの異世界トリップ系ファンタジー小説なの!?

「まさか・・・ね」

でも、本当に異世界に来ていたら・・・?

そんな考えが頭を過り、顔がひきつる。

まあ、私としてはあっちの世界に未練はないし、別にいいんだけど・・・。問題は、野生の動物が出てきたら戦ったりできないことだ。武器なんて持ってるわけないし、今はTシャツに短パンのラフな部屋着だ。他には、腕につけてあったヘアゴムと、一万ちょっと入った財布と、スマホ・・は、充電のために部屋においてきたんだった。あと、ハンカチと、銀の指輪と・・・ん?

「指輪??」

私、指輪なんて持ってた覚えないんだけど。

「・・・なにこれ、外れないんだけど!」

しかもこの指輪、外そうとしても外れない。
どうなってんの?私の指よりちょっとゆるいくらいだから外れる筈なのに・・。

「ん?なんか、光ってる!?」

やばい、指輪が光りはじめた。どうしよう、普通の指輪が光るわけないよね!?絶対これ異世界来ちゃったやつだ!!

《チュートリアルを開始します。》

「危ないやつ・・って、は?チュートリアル?」

なにそのゲームみたいな設定は。
でも、見知らぬ世界は怖いから何かしらチートを貰えると嬉しい。

《まず、指輪の作り方を説明します。なお、チュートリアルが終わりましたら、この銀の指輪は消滅致します。》

「使い方じゃなくて、作り方??」

なにそれ、指輪作って売れってこと?あんまり嬉しくないな・・。

《作り方は簡単です。指輪に込める能力や使用効果などと、見た目や装飾品を想像するだけです。》

ってことは、アイテムボックスとかも作れるってこと??
・・・それって、凄いチートじゃない?

《想像したものが欲しいと願えば具現化します。なお、複数の能力をつけることも可能です。》

なるほど。じゃあ、知識が入った指輪とかも作れるってことか!

《これでチュートリアルを終了致します。》

「え、これだけ?・・・って、消えちゃった。」

指輪は光となって消滅した。

「うぅーん、とりあえず、指輪作らなくちゃ!いつ野生の動物とか来るかわからないしね。」




ーー自分が異世界召喚に巻き込まれたなんて疑うこともなく、サチは指輪作りを始めようと楽しそうにしていた。
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