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其の三の三
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ナナ太郎さんがどんなおまじないを使おうと、私は絶対忘れない!
何が理由であってもとにかく忘れないでいたいと思ったお可奈は、心の中でそう固く決心をした。
傍にいたナナ太郎が無言で何かうなずいたような気がした。お可奈はナナ太郎の返事を言葉で聞くのが怖かったので、それ以上は聞かなかった。
しばらくするとナナ太郎の足が止まった。
また、首を傾げ少し考えたかと思うと先程おみつの部屋に入った時のように片腕を前に真っ直ぐに伸ばす。
空間にあるはずの腕は半分消えている。
そのまま腕を引き抜くことなくナナ太郎が空間に足を踏み入れようとした時だった。
「待てい!」
ナナ太郎を引き留める大声が暗闇の中で響き渡る。
お可奈とナナ太郎が同時に振り返ると、そこには闇にぽっかりと浮かぶように立っている桐三郎がいた。
「ナナ太郎さん! 桐三郎が追ってきた」
「お可奈さん、そこから一歩も動かないでください」
ナナ太郎はお可奈の手にそっと触れ、握っているナナ太郎袖を離すように促した。
そしてナナ太郎は桐三郎の立っているところに向き直ると、黙って桐三郎を睨みつけた。
「ほう、ずいぶんと力のある眼だ」
「何の用でしょう」
「まったく、どいつもこいつもマヌケな奴らだ。逃げ道を印すように縄を落としておくとは、お前らといい水虎といい、あきれるわ」
「ひとりで来たのですか? 」
「ふん。雷獣の又衛門の事か? それとも狸どものことか。お前ごときにぞろぞろと引き連れてやってくる事もあるまい。又衛門などはあとあと分け前がどうのと言われたらうるさくて仕方ないわ」
桐三郎は、その美しいと言われたお役者の顔とは思えない妖怪の形相に代わり始めていた。
「雷獣? やはり、あの水虎と出合った時に聞いた雷は雷獣が地上に降りた時の……」
「ふん、お前に用があるんじゃない。用があるのはそのお前の肝の中にあるものだ。空から見てもとても大きな力のある美しい光を放つその珠に用があるんだ」
桐三郎のその顔に加え爪もだんだん変化していく。
終いには鎌のような鋭く大きな爪と変わっり、腕を動かすとその鋭く大きな爪が シュウ と音を鳴らしながら風を切る。
「お前の肝に手を突っ込む事は簡単な事なのだが、その後が問題だ。怪我をせずにその珠を手に入れるのはなかなか難しい話のようだしな。水虎の二の舞はしたくはない」
「じゃあ、どうしようもないですね」
ナナ太郎は動じる事も凄む事も、表情一つも変わることなくさらりと言う。それがまた桐三郎をイラつかせ、むやみに大きな爪で空を切り切り裂くような風を起こしていた。
風は静かな闇に シュウ、シュウ と音を立てる。
「お前を殺してしまおうとも思ったのだが。その前に、お前が人なのか妖怪なのかと言うのも興味があるところだ」
そう言うとにやりと桐三郎は笑った。
「私の方はお前の事を知っています。お前の正体はかまいたち」
ナナ太郎は何事もないように常に淡々と話す。
形相を替え脅そうが、鋭い風をナナ太郎に向って吹かせようがナナ太郎は表情一つ変えずしゃらりとそこに立っていた。
ナナ太郎の振る舞いは桐三郎を更にイラつかせる。
「かまいたち様だ!言葉に気をつけな!! 」
お可奈は、桐三郎に気が付かれないように息をひそめてその様子を見ていた。
かまいたち……って妖怪じゃない。あいつ、ナナ太郎さんの事も妖怪って言ったような。ナナ太郎さんも妖怪なの? まさか……。
お可奈は自分の置かれている状況がとんでもない危ない状況であると知りつつも、どこかわくわくするような湧き上がる気持ちを抑える事ができななかった。
「問題はだ、お前にその珠を操る力があるのか、それともその珠が自らを操ってお前の中にいるのかと言う事だ。もしお前がその珠を操っている妖怪なのならば、お前を殺めるか、もしくはお前に勝てばそれですむ事。そしてその珠を手に入れて私がその珠を操ればいい」
にじり寄るようにナナ太郎の周りをじりじりと隙をうかがいながら動いている桐三郎である。ナナ太郎の方は動かずそれを何か風景でも見るように桐三郎を見ていた。
「もしお前が人間で、その力はその珠自体が持つものだとすれば、お前を殺しても珠の力は自由にならないのかもしれない……珠が宿り主を選んでいるというのならば、私がお前のように珠に選ばれれば良いと言う話しなのかもしれない。その珠に選ばれるにはどうしたら良いのかとは言っても…」
桐三郎は その爪でシュウ と風を切る。
その風ははナナ太郎の着物の裾に当たり、着物の裾は鋭い刃物で切られたように敗れた。それでもナナ太郎は動かず、その顔は無表情だった。
「だがどっちにしろ、お前を殺してしまえばよい事! 後の成り行きは、賭けという事だ! 」
また シュウ と風を切った桐三郎に、ナナ太郎は今度はひらりと身をかわした。
「この勾玉は私の父であり母でもあるのです。私が生きていくうえでの指針となる大事な珠。そして珠は私の一部です」
ナナ太郎は自分の口からすらりと出た思いもかけない言葉に驚いた。
自分がどこから来たのかと言う思いで両親の事が気になってはいたが、それ以外に普段あまり考えたことのない父と母と言う自分の言葉に動揺したのだった。
「一部? 一部とはどういうことだ? 俺様に教えてみろや! 」
桐三郎は、ナナ太郎のほんの少しの動揺に気づいて、話を続けようとしていた。
「そうです。血や肉や、この私の心と同じように……」
心と言ったナナ太郎はまた一瞬、戸惑いを感じた。
なぜ戸惑いを感じたのかその理由は分からなかった。
ナナ太郎に顔の一瞬の表情が出た時、その隙を桐三郎は見逃す事はなかった。
「ではお前がそれを操っているとみたー!!」
桐三郎はすばやく風を切るようにナナ太郎の肝めがけて飛び掛った。
桐三郎の手がずぶずぶと肝めがけて入っていったかと思う瞬間のことだった。ナナ太郎の肝から四方八方に光の帯が散ったかと思うと、ナナ太郎と桐三郎は光の渦の中にいた。
そこまではお可奈にもはっきりと見ることが出来た。
「ナナ太郎さん!」
思わず声を出してしまったお可奈であったが、しかし辺り一面おびただしい光に包まれて、どこもかしこもすべてが白く、お可奈の目には何も見えなくなった。
何が理由であってもとにかく忘れないでいたいと思ったお可奈は、心の中でそう固く決心をした。
傍にいたナナ太郎が無言で何かうなずいたような気がした。お可奈はナナ太郎の返事を言葉で聞くのが怖かったので、それ以上は聞かなかった。
しばらくするとナナ太郎の足が止まった。
また、首を傾げ少し考えたかと思うと先程おみつの部屋に入った時のように片腕を前に真っ直ぐに伸ばす。
空間にあるはずの腕は半分消えている。
そのまま腕を引き抜くことなくナナ太郎が空間に足を踏み入れようとした時だった。
「待てい!」
ナナ太郎を引き留める大声が暗闇の中で響き渡る。
お可奈とナナ太郎が同時に振り返ると、そこには闇にぽっかりと浮かぶように立っている桐三郎がいた。
「ナナ太郎さん! 桐三郎が追ってきた」
「お可奈さん、そこから一歩も動かないでください」
ナナ太郎はお可奈の手にそっと触れ、握っているナナ太郎袖を離すように促した。
そしてナナ太郎は桐三郎の立っているところに向き直ると、黙って桐三郎を睨みつけた。
「ほう、ずいぶんと力のある眼だ」
「何の用でしょう」
「まったく、どいつもこいつもマヌケな奴らだ。逃げ道を印すように縄を落としておくとは、お前らといい水虎といい、あきれるわ」
「ひとりで来たのですか? 」
「ふん。雷獣の又衛門の事か? それとも狸どものことか。お前ごときにぞろぞろと引き連れてやってくる事もあるまい。又衛門などはあとあと分け前がどうのと言われたらうるさくて仕方ないわ」
桐三郎は、その美しいと言われたお役者の顔とは思えない妖怪の形相に代わり始めていた。
「雷獣? やはり、あの水虎と出合った時に聞いた雷は雷獣が地上に降りた時の……」
「ふん、お前に用があるんじゃない。用があるのはそのお前の肝の中にあるものだ。空から見てもとても大きな力のある美しい光を放つその珠に用があるんだ」
桐三郎のその顔に加え爪もだんだん変化していく。
終いには鎌のような鋭く大きな爪と変わっり、腕を動かすとその鋭く大きな爪が シュウ と音を鳴らしながら風を切る。
「お前の肝に手を突っ込む事は簡単な事なのだが、その後が問題だ。怪我をせずにその珠を手に入れるのはなかなか難しい話のようだしな。水虎の二の舞はしたくはない」
「じゃあ、どうしようもないですね」
ナナ太郎は動じる事も凄む事も、表情一つも変わることなくさらりと言う。それがまた桐三郎をイラつかせ、むやみに大きな爪で空を切り切り裂くような風を起こしていた。
風は静かな闇に シュウ、シュウ と音を立てる。
「お前を殺してしまおうとも思ったのだが。その前に、お前が人なのか妖怪なのかと言うのも興味があるところだ」
そう言うとにやりと桐三郎は笑った。
「私の方はお前の事を知っています。お前の正体はかまいたち」
ナナ太郎は何事もないように常に淡々と話す。
形相を替え脅そうが、鋭い風をナナ太郎に向って吹かせようがナナ太郎は表情一つ変えずしゃらりとそこに立っていた。
ナナ太郎の振る舞いは桐三郎を更にイラつかせる。
「かまいたち様だ!言葉に気をつけな!! 」
お可奈は、桐三郎に気が付かれないように息をひそめてその様子を見ていた。
かまいたち……って妖怪じゃない。あいつ、ナナ太郎さんの事も妖怪って言ったような。ナナ太郎さんも妖怪なの? まさか……。
お可奈は自分の置かれている状況がとんでもない危ない状況であると知りつつも、どこかわくわくするような湧き上がる気持ちを抑える事ができななかった。
「問題はだ、お前にその珠を操る力があるのか、それともその珠が自らを操ってお前の中にいるのかと言う事だ。もしお前がその珠を操っている妖怪なのならば、お前を殺めるか、もしくはお前に勝てばそれですむ事。そしてその珠を手に入れて私がその珠を操ればいい」
にじり寄るようにナナ太郎の周りをじりじりと隙をうかがいながら動いている桐三郎である。ナナ太郎の方は動かずそれを何か風景でも見るように桐三郎を見ていた。
「もしお前が人間で、その力はその珠自体が持つものだとすれば、お前を殺しても珠の力は自由にならないのかもしれない……珠が宿り主を選んでいるというのならば、私がお前のように珠に選ばれれば良いと言う話しなのかもしれない。その珠に選ばれるにはどうしたら良いのかとは言っても…」
桐三郎は その爪でシュウ と風を切る。
その風ははナナ太郎の着物の裾に当たり、着物の裾は鋭い刃物で切られたように敗れた。それでもナナ太郎は動かず、その顔は無表情だった。
「だがどっちにしろ、お前を殺してしまえばよい事! 後の成り行きは、賭けという事だ! 」
また シュウ と風を切った桐三郎に、ナナ太郎は今度はひらりと身をかわした。
「この勾玉は私の父であり母でもあるのです。私が生きていくうえでの指針となる大事な珠。そして珠は私の一部です」
ナナ太郎は自分の口からすらりと出た思いもかけない言葉に驚いた。
自分がどこから来たのかと言う思いで両親の事が気になってはいたが、それ以外に普段あまり考えたことのない父と母と言う自分の言葉に動揺したのだった。
「一部? 一部とはどういうことだ? 俺様に教えてみろや! 」
桐三郎は、ナナ太郎のほんの少しの動揺に気づいて、話を続けようとしていた。
「そうです。血や肉や、この私の心と同じように……」
心と言ったナナ太郎はまた一瞬、戸惑いを感じた。
なぜ戸惑いを感じたのかその理由は分からなかった。
ナナ太郎に顔の一瞬の表情が出た時、その隙を桐三郎は見逃す事はなかった。
「ではお前がそれを操っているとみたー!!」
桐三郎はすばやく風を切るようにナナ太郎の肝めがけて飛び掛った。
桐三郎の手がずぶずぶと肝めがけて入っていったかと思う瞬間のことだった。ナナ太郎の肝から四方八方に光の帯が散ったかと思うと、ナナ太郎と桐三郎は光の渦の中にいた。
そこまではお可奈にもはっきりと見ることが出来た。
「ナナ太郎さん!」
思わず声を出してしまったお可奈であったが、しかし辺り一面おびただしい光に包まれて、どこもかしこもすべてが白く、お可奈の目には何も見えなくなった。
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