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第四話
温度差のある居場所
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笹山恭平は、廉斗と佐奈の共通の友人だ。高校では三年間も同じクラスだった彼らは、いつの頃からか気の置けない仲になっていた。きっかけが何だったのかは誰もあまり覚えていない。そういう細かいところを気にしない点が、彼らを結びつけたのだろう。
そんな三人の友情が試されたのが、高校二年生の時に起きた、廉斗の母親の死だった。
忌引きで学校を一週間も休んだ廉斗は、当時、登校するのが憂鬱だった。自分が原因で母親を亡くしたこともあるが、同級生から腫れ物に触るような扱いを受けるのではないかと恐れていたのだ。
相手が悪いわけではないが、下手な気遣いをされたところで何の慰めにもならない。あえて廉斗が希望を言うなら、何もなかったかのように接してくれるか、いっそのこと「お前のせいだろ」と責任を糾弾されたほうがマシだ。
恐らく、みんな気を遣ってくるに違いない。クラスメイトに嫌な性格の人物が一人もいないのは、幸か不幸か。今の廉斗にとって、他人からの優しさは罪の意識を色濃くさせるだけだ。
せめて、この場所だけでも平穏に過ごしたい。でないと、全てが暗い感情に飲み込まれてしまう。だからこそ、学校まで居心地が悪くなっては堪らないのだ。
そんな廉斗の懸念を、佐奈と恭平のふたりはすぐに払拭させた。
「おはよう。廉斗くん」
「よお。来るの待ってたぜ」
教室に入って真っ先に反応してくれたのは、廉斗を見つけて柔らかく微笑んだ佐奈と、手を振りながら緩く口角を上げた恭平のふたりだけだった。まるで通常の長期休み明けのような挨拶に廉斗は予想を裏切られ、拍子抜けしてしまう。
ふたりの他にも視線を感じて廉斗が横目で教室を見ると、周りの同級生は久しぶりに現れた廉斗に困惑した表情を浮かべていた。やはりと言うか、同情しているような眼差しを向けられ、家族への罪悪感を抱えていた廉斗の胸がチリチリと痛みだす。
「廉斗! いつまで出入り口に突っ立ってるんだ? ほら、早く来いよ。待ち遠しくて、お前の席は俺が温めておいたぞ」
「それどういう理屈? 恭ちゃんがそこに座ってるのは、単に廉斗くんの席がストーブに一番近いからだったりして」
「ノンノン。それが違うんだな。これはストーブじゃなくて、スチーム暖房機という名前なのだよ」
「自分が寒がってたのは否定しないんだね」
追及してくる佐奈に反論できず、恭平は次第にどもっていく。そんな恭平の様子に周りからはクスクス笑う声が聞こえてきた。それを皮切りに、教室に散らばっていた各グループの会話が少しずつ再開されていく。
久しく味わっていなかった明るい賑やかさに、廉斗は心の痛みが徐々に引いていくのが分かった。
「あ、そうだ。私ね、廉斗くんのために、いつもよりノートを綺麗に書いたんだ。良かったらあとで使って。分からないところがあったら私に教えてね」
「聞いてくれよ。佐奈のやつ、ずっとお前のことを心配してたんだぜ。おまけに、よく居眠りしていた世界史の授業だって、急に真面目に受けたりなんかしてさ」
「ちょっと! 告げ口しないでよ。かっこ悪いじゃん」
ふと思い出したように佐奈が廉斗に話しかけると、すかさず恭平が口を挟む。こんなやり取りが、彼らの日常だ。
昨日まで日常の外にいた廉斗は、そのスピード感についていけなくなっていた。普段ならふたりの間に立ち、場を収める役割を果たす廉斗だが、今回ばかりは見守ることに徹していた。
佐奈と恭平の応酬は続く。
「かっこ悪くなんかないって。佐奈はクラスの副委員長でありながら、教師の真ん前の席で堂々と居眠りできるんだ。俺より立派だよ」
「それ貶してない? ていうか、何で私が隙を見て寝てること知ってんのよ。恭ちゃんの席って、だいぶ後ろじゃんか」
「俺は視力がいいからな。不審者はすぐに発見できるのさ」
「余計なことしなくていいから。私じゃなくて黒板を見なさいよ」
ここまで来るとじゃれ合いというより、軽い口喧嘩になっていないだろうか。そう思った廉斗はこのタイミングで初めて声を出した。
「ふたりとも、僕の席で争うのはやめてくれ」
「いやいや! ここは譲れないって!」
「恭平、それって席のことか? それとも佐奈との口論のことか?」
「ほら、恭ちゃんが邪魔だってさ。私は廉斗くんに休んでいた時の授業内容を話すから、恭ちゃんは自分の席に戻りなさい」
「寂しいこと言うなよ。俺だってもっと廉斗と話したいんだ。廉斗も俺に話したいことがあるはずさ。そうだろ?」
廉斗には分かっていた。これは、ふたりなりの優しさだ。
廉斗は葬儀を終えた今日まで、親友であるふたりには一切連絡をしていなかった。忙しかったのもあるが、母親や家族への後ろめたさが強すぎて、連絡が来ていても返信する気にはなれなかったのだ。
恭平と佐奈は、廉斗と直接顔を合わせても不躾な質問はしてこない。大丈夫かどうかも聞いてこない。それは、どうしたって廉斗が落ち込んでいる事実は変わらないことを察していたからだろう。
ふたりは気休めの言葉をかけるよりも、喪失したばかりの廉斗のかけがえのない日常を守っていた。
「……そうだな。どうしようもなくなったら、僕の話をふたりに聞いてほしい。それまでは、今まで通りに接してくれたら助かるよ」
「もちろんだよ」
「話ならいつでもいいぜ。無理すんなよ」
自分にはまだ、笑顔で迎え入れてくれる人がいる。それがどんなに心強くて、安心できることか。
これまで当たり前のように過ごしていた家が、急に居心地が悪くなってしまった廉斗にとって、佐奈と恭平の存在は救い以外の何物でもなかった。
廉斗の居場所は何も変わらず残っている。この場所だけは、憎悪や悔恨の思いで汚したくなかった。
「廉斗くん」
もうすぐ朝のホームルームが始まる。恭平や、クラスメイトたちもそれぞれ自分の席に座ろうと移動を始めたところで、先に着席していた廉斗を呼び止めたのは佐奈だった。
「私は人の気持ちに鈍感だから、苦しい時は言葉にしてほしい。私じゃ何もできないかもしれないけど、少しでもあなたの力になりたいの」
一瞬で引き込まれるくらい、佐奈の微笑みはふんわりと柔らかなものだった。そんな表情とは対象的に、頼もしささえ感じるような言葉の数々が、廉斗に届けられる。佐奈のひたむきな思いに、ここ一週間で小さな喜びにすら反応しなくなっていた廉斗の心が揺れ動く。
「こんなにも誰かの役に立ちたいなんて思ったことない。忘れないでね。私が動くのは、廉斗くんだからだよ」
佐奈は頬を染めながら、一生懸命に気持ちを自分に伝えてくれている。廉斗は佐奈の話に息を呑んで聞き入っていたが、チャイムが鳴って我に返った時にはそこに佐奈はいなかった。
まもなく担任が来て朝のホームルームを始めても、廉斗はどこか上の空だった。
久しぶりに登校してみれば、佐奈には驚かされるばかりだ。心の棘が佐奈の言葉や表情、行動で消えていく。佐奈のことを考えると知らない感情が湧き上がってくる。苦しいのに、どこか心地良い……。そんな矛盾した思いに、廉斗は戸惑う。
身体が内側から熱くなる。それが、暖房機のせいではないことを廉斗は気付いていた。
しばらくの間、穏やかな日々が続いていた。恭平は変わらず廉斗に明るく接してくれたし、佐奈は主に遅れた勉強のサポートをしてくれた。三人揃えば、クラスメイトの注目を浴びるような悪ふざけの小競り合いもした。そうやって、廉斗は少しずつ元の暮らしに戻っていった。
ただし、それは学校生活だけに言えたことだ。
──許さないから。
廉斗がふとした時に思い出すのは、痛みで叫びそうなほどの傷を負っておきながら静かに眠る母親の姿と、涙を浮かべて突き刺すような鋭い視線を自分に浴びせる美香の表情だった。
美香の恨みを買った廉斗に、自宅での居場所はない。
父親は「廉斗に非はない」と、できる限り美香との仲を取り持ったが、ふたりの関係は改善しなかった。以前はそれなりに仲の良かった兄妹の関係は、母親の死をきっかけに拗れ、廉斗の家庭からは賑やかな声が消えてしまったのだ。
さらに廉斗が自宅に居づらくなった出来事がある。それは、美香が努力してレギュラーを勝ち取ったバレーボール部を退部したことだ。退部した理由は父親の負担を減らすためだったらしい。その理由だけでも心苦しいが、自分を恨む美香が自宅に居ることで、廉斗は気まずさで息が詰まりそうだった。
この頃から、廉斗は帰りが遅くなっていく。部活に所属していなかった廉斗は放課後の教室や図書館で勉強をしていたが、父親は仕事や慣れない家事でさらに忙しくなり、美香は一人きりの家で母親の寝室に籠もっては時より泣いていた。
家族で一緒に過ごす時間が極端に減ったことで、悲しいくらいの静けさが川瀬家の時間を止めていた。
日が経てば経つほど、廉斗はそんな冷たい家庭と、賑やかな学校の温度差で気が狂ってしまいそうだった。
そして、川瀬家を襲う悲劇は数珠つなぎになっていく。
そんな三人の友情が試されたのが、高校二年生の時に起きた、廉斗の母親の死だった。
忌引きで学校を一週間も休んだ廉斗は、当時、登校するのが憂鬱だった。自分が原因で母親を亡くしたこともあるが、同級生から腫れ物に触るような扱いを受けるのではないかと恐れていたのだ。
相手が悪いわけではないが、下手な気遣いをされたところで何の慰めにもならない。あえて廉斗が希望を言うなら、何もなかったかのように接してくれるか、いっそのこと「お前のせいだろ」と責任を糾弾されたほうがマシだ。
恐らく、みんな気を遣ってくるに違いない。クラスメイトに嫌な性格の人物が一人もいないのは、幸か不幸か。今の廉斗にとって、他人からの優しさは罪の意識を色濃くさせるだけだ。
せめて、この場所だけでも平穏に過ごしたい。でないと、全てが暗い感情に飲み込まれてしまう。だからこそ、学校まで居心地が悪くなっては堪らないのだ。
そんな廉斗の懸念を、佐奈と恭平のふたりはすぐに払拭させた。
「おはよう。廉斗くん」
「よお。来るの待ってたぜ」
教室に入って真っ先に反応してくれたのは、廉斗を見つけて柔らかく微笑んだ佐奈と、手を振りながら緩く口角を上げた恭平のふたりだけだった。まるで通常の長期休み明けのような挨拶に廉斗は予想を裏切られ、拍子抜けしてしまう。
ふたりの他にも視線を感じて廉斗が横目で教室を見ると、周りの同級生は久しぶりに現れた廉斗に困惑した表情を浮かべていた。やはりと言うか、同情しているような眼差しを向けられ、家族への罪悪感を抱えていた廉斗の胸がチリチリと痛みだす。
「廉斗! いつまで出入り口に突っ立ってるんだ? ほら、早く来いよ。待ち遠しくて、お前の席は俺が温めておいたぞ」
「それどういう理屈? 恭ちゃんがそこに座ってるのは、単に廉斗くんの席がストーブに一番近いからだったりして」
「ノンノン。それが違うんだな。これはストーブじゃなくて、スチーム暖房機という名前なのだよ」
「自分が寒がってたのは否定しないんだね」
追及してくる佐奈に反論できず、恭平は次第にどもっていく。そんな恭平の様子に周りからはクスクス笑う声が聞こえてきた。それを皮切りに、教室に散らばっていた各グループの会話が少しずつ再開されていく。
久しく味わっていなかった明るい賑やかさに、廉斗は心の痛みが徐々に引いていくのが分かった。
「あ、そうだ。私ね、廉斗くんのために、いつもよりノートを綺麗に書いたんだ。良かったらあとで使って。分からないところがあったら私に教えてね」
「聞いてくれよ。佐奈のやつ、ずっとお前のことを心配してたんだぜ。おまけに、よく居眠りしていた世界史の授業だって、急に真面目に受けたりなんかしてさ」
「ちょっと! 告げ口しないでよ。かっこ悪いじゃん」
ふと思い出したように佐奈が廉斗に話しかけると、すかさず恭平が口を挟む。こんなやり取りが、彼らの日常だ。
昨日まで日常の外にいた廉斗は、そのスピード感についていけなくなっていた。普段ならふたりの間に立ち、場を収める役割を果たす廉斗だが、今回ばかりは見守ることに徹していた。
佐奈と恭平の応酬は続く。
「かっこ悪くなんかないって。佐奈はクラスの副委員長でありながら、教師の真ん前の席で堂々と居眠りできるんだ。俺より立派だよ」
「それ貶してない? ていうか、何で私が隙を見て寝てること知ってんのよ。恭ちゃんの席って、だいぶ後ろじゃんか」
「俺は視力がいいからな。不審者はすぐに発見できるのさ」
「余計なことしなくていいから。私じゃなくて黒板を見なさいよ」
ここまで来るとじゃれ合いというより、軽い口喧嘩になっていないだろうか。そう思った廉斗はこのタイミングで初めて声を出した。
「ふたりとも、僕の席で争うのはやめてくれ」
「いやいや! ここは譲れないって!」
「恭平、それって席のことか? それとも佐奈との口論のことか?」
「ほら、恭ちゃんが邪魔だってさ。私は廉斗くんに休んでいた時の授業内容を話すから、恭ちゃんは自分の席に戻りなさい」
「寂しいこと言うなよ。俺だってもっと廉斗と話したいんだ。廉斗も俺に話したいことがあるはずさ。そうだろ?」
廉斗には分かっていた。これは、ふたりなりの優しさだ。
廉斗は葬儀を終えた今日まで、親友であるふたりには一切連絡をしていなかった。忙しかったのもあるが、母親や家族への後ろめたさが強すぎて、連絡が来ていても返信する気にはなれなかったのだ。
恭平と佐奈は、廉斗と直接顔を合わせても不躾な質問はしてこない。大丈夫かどうかも聞いてこない。それは、どうしたって廉斗が落ち込んでいる事実は変わらないことを察していたからだろう。
ふたりは気休めの言葉をかけるよりも、喪失したばかりの廉斗のかけがえのない日常を守っていた。
「……そうだな。どうしようもなくなったら、僕の話をふたりに聞いてほしい。それまでは、今まで通りに接してくれたら助かるよ」
「もちろんだよ」
「話ならいつでもいいぜ。無理すんなよ」
自分にはまだ、笑顔で迎え入れてくれる人がいる。それがどんなに心強くて、安心できることか。
これまで当たり前のように過ごしていた家が、急に居心地が悪くなってしまった廉斗にとって、佐奈と恭平の存在は救い以外の何物でもなかった。
廉斗の居場所は何も変わらず残っている。この場所だけは、憎悪や悔恨の思いで汚したくなかった。
「廉斗くん」
もうすぐ朝のホームルームが始まる。恭平や、クラスメイトたちもそれぞれ自分の席に座ろうと移動を始めたところで、先に着席していた廉斗を呼び止めたのは佐奈だった。
「私は人の気持ちに鈍感だから、苦しい時は言葉にしてほしい。私じゃ何もできないかもしれないけど、少しでもあなたの力になりたいの」
一瞬で引き込まれるくらい、佐奈の微笑みはふんわりと柔らかなものだった。そんな表情とは対象的に、頼もしささえ感じるような言葉の数々が、廉斗に届けられる。佐奈のひたむきな思いに、ここ一週間で小さな喜びにすら反応しなくなっていた廉斗の心が揺れ動く。
「こんなにも誰かの役に立ちたいなんて思ったことない。忘れないでね。私が動くのは、廉斗くんだからだよ」
佐奈は頬を染めながら、一生懸命に気持ちを自分に伝えてくれている。廉斗は佐奈の話に息を呑んで聞き入っていたが、チャイムが鳴って我に返った時にはそこに佐奈はいなかった。
まもなく担任が来て朝のホームルームを始めても、廉斗はどこか上の空だった。
久しぶりに登校してみれば、佐奈には驚かされるばかりだ。心の棘が佐奈の言葉や表情、行動で消えていく。佐奈のことを考えると知らない感情が湧き上がってくる。苦しいのに、どこか心地良い……。そんな矛盾した思いに、廉斗は戸惑う。
身体が内側から熱くなる。それが、暖房機のせいではないことを廉斗は気付いていた。
しばらくの間、穏やかな日々が続いていた。恭平は変わらず廉斗に明るく接してくれたし、佐奈は主に遅れた勉強のサポートをしてくれた。三人揃えば、クラスメイトの注目を浴びるような悪ふざけの小競り合いもした。そうやって、廉斗は少しずつ元の暮らしに戻っていった。
ただし、それは学校生活だけに言えたことだ。
──許さないから。
廉斗がふとした時に思い出すのは、痛みで叫びそうなほどの傷を負っておきながら静かに眠る母親の姿と、涙を浮かべて突き刺すような鋭い視線を自分に浴びせる美香の表情だった。
美香の恨みを買った廉斗に、自宅での居場所はない。
父親は「廉斗に非はない」と、できる限り美香との仲を取り持ったが、ふたりの関係は改善しなかった。以前はそれなりに仲の良かった兄妹の関係は、母親の死をきっかけに拗れ、廉斗の家庭からは賑やかな声が消えてしまったのだ。
さらに廉斗が自宅に居づらくなった出来事がある。それは、美香が努力してレギュラーを勝ち取ったバレーボール部を退部したことだ。退部した理由は父親の負担を減らすためだったらしい。その理由だけでも心苦しいが、自分を恨む美香が自宅に居ることで、廉斗は気まずさで息が詰まりそうだった。
この頃から、廉斗は帰りが遅くなっていく。部活に所属していなかった廉斗は放課後の教室や図書館で勉強をしていたが、父親は仕事や慣れない家事でさらに忙しくなり、美香は一人きりの家で母親の寝室に籠もっては時より泣いていた。
家族で一緒に過ごす時間が極端に減ったことで、悲しいくらいの静けさが川瀬家の時間を止めていた。
日が経てば経つほど、廉斗はそんな冷たい家庭と、賑やかな学校の温度差で気が狂ってしまいそうだった。
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