140字小説集

藤崎 柚葉

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シリアス系 全21話

作り手が消化できなかった思い出

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「今日はね、あなたの好きなオムライスを作る予定だったの。でも、卵を買い忘れちゃったわ。私ったらドジよね。……笑ってよ」
「母さん」

 次男が私をじっと見つめる。

「兄貴は交通事故で死んだんだ。だから明日こそ、オムライスは俺のために作ってよ」

 長男の幻影と好物は、共に次男のお腹の中へ消えた。
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