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幽韻之志
25/篤く三宝を敬へ
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子供を預かる三ヵ条
・有効期限3年
・青輝丸指導の下、経過観察を定期的に行う。
・死亡時の身柄は行政を通さない
赤ちゃんをお世話するアイテムを持ち帰り、残りは後日買い出しに出ることになったが玲音の車はツーシートの左ハンドル。
チャイルドシートを付けないと違反になることから別便で帰宅。
オムツを取り換えた後、ベビーベッドを組み立て新しい布団を敷いておもちゃを飾る頃には、ミルクの時間…
1日5~6回の授乳量や排泄などのチェック項目を記入する他、着替えやオムツの交換、お風呂の時間など子育ては想像以上の過密スケジュール。
「新生児だと授乳は3時間置きだけど、まぁこのくらいなら」
「そんなに!青輝丸よくやってたな」
「ミルクを今の半分しか飲めないので。成長に合わせて離乳食や間食も始めないと…あ、乳首の向きが逆。舌の上に乗せてあげないと吸えないよ」
「うわ、また溢れて来た」
「飲む量が多いからスリーカットかも?もう少し上体を起こして…」
玲音にアシストされて順調に飲み始める。
ガーゼに吸い込まれたミルクの香り、ぽかぽか温かい赤ちゃんの柔らかい体に玩具ではなく生き物という認識から緊張が奔り、ほほえむ余裕も無い。
「ふええ……っ」
「ごめんごめん!泣かないで…ああ、どうしよう」
「飲み終わった?」
「まだ、半分も飲んでくれない」
「ふえええっ!!」本腰を入れて泣き出す前に赤ちゃんを玲音に渡すとミルクを凄い勢いで飲み始める。
礼音と俺では体格差がある。胸厚で張りのある筋肉は弾力に優れた最高級に肉枕、太い腕は安定感があり頭の高さをキープ。もやし相当な俺の抱かれ心地は最悪で、顔も怖い(後発的な伴性劣性遺伝で毛が真っ白、眼は灰青の一重瞼)そりゃ泣くだろう。
心配で様子を見に来た木欒子があやすと声を出して笑うのに俺が近づくと玲音にしがみついて化物を見るような目で怯える。
「小さくてもオ・ン・ナ・だねぇ…」
クスッと笑う月兔が茶化す。
「姫のイケメン判定は厳しいよ。昌宗様は男性として未熟…なのかも?」
「姫ちゃん、ていうの?」」
玲音から赤ちゃんを受け取る木欒子が続ける。
「愛称です。この子は名前が無いので…」
「キャバ嬢じゃないんだから」
「では昌宗様が名付け親になってください」
突然の出来事に赤ちゃんと目が合う。
光の加減で瞳の色が違って見える、これは青嵐と同じ虹彩異色症。
左右の瞳の色が異なるのではなく海の浅瀬のような碧色に中心が蜂蜜のような透き通ったオレンジ色の虹色の瞳。直系の遺伝子にみられる現象で、この子が青嵐の孫であることに間違いない。
―――― あお(青) そうだ、あおちゃんにしよう。
将来、青の一文字が授けられる。その時の為に…
俺が出来なかったことを、この子に託そう。
「ふぁ…あ…うぅ」
「あ、お、だよ?」
顔を寄せると寸分狂いないタイミングで蹴る。
あどけない乳飲み子だが、女王様の素質を既に兼ね備えているあおちゃんは自分に従う大人の男を見分けていると玲音も推測していた。
これは知能指数が高い子供に見られる特徴で、例えば母親の捉え方が「自分にとって便利な人間」また利用する傾向があり、子育てに違和感を覚える事例が多く育てにくいことから虐待を受けたり、将来的に福祉枠に入る事を余儀なくされる。
神様から貰った特別な贈り物を、周囲が認めて、本人の成長に合わせることがあおちゃんの幸せをみつけてあげられる近道…というが。
「えんえんえんえんっ!ぎゃぴーっ」
えん=玲音の姿が見えなくなった途端、これだ。
バウンサーが壊れるほど仰け反って暴れるので放って置けず、抱いてバスルームに向かう。
「ふええええっ」
「玲音、呼んでるよ。ちょっと顔見せてあげて」
ガラス張りのシャワールームで頭を泡立てる玲音の後姿はまるで彫刻のよう。
ほら、見て?立派な上腕二頭筋でしょう。あおちゃんが抱っこして貰いたい気持ちは俺が一番よくわかるよと鼻をくすぐると玲音は険しい顔でドアに手を付く。
「抱いて欲しいの?」
「俺は遠慮しておくよ」
あおちゃんが両手を伸ばして玲音の温かい肌を求める。
安心できる相手が玲音ならそれでいい。ただ、自分が育てるつもりで預かったのにミルクを全然飲んでくれないから体調が整わず、機嫌が悪くて一日中泣いてるあおちゃんのストレスを悲観して消極的な意見が増えてしまう。一昼夜あおちゃんに付きっ切りで寝不足な俺に対して、ついに玲音が本音をぶつけてきた。
・有効期限3年
・青輝丸指導の下、経過観察を定期的に行う。
・死亡時の身柄は行政を通さない
赤ちゃんをお世話するアイテムを持ち帰り、残りは後日買い出しに出ることになったが玲音の車はツーシートの左ハンドル。
チャイルドシートを付けないと違反になることから別便で帰宅。
オムツを取り換えた後、ベビーベッドを組み立て新しい布団を敷いておもちゃを飾る頃には、ミルクの時間…
1日5~6回の授乳量や排泄などのチェック項目を記入する他、着替えやオムツの交換、お風呂の時間など子育ては想像以上の過密スケジュール。
「新生児だと授乳は3時間置きだけど、まぁこのくらいなら」
「そんなに!青輝丸よくやってたな」
「ミルクを今の半分しか飲めないので。成長に合わせて離乳食や間食も始めないと…あ、乳首の向きが逆。舌の上に乗せてあげないと吸えないよ」
「うわ、また溢れて来た」
「飲む量が多いからスリーカットかも?もう少し上体を起こして…」
玲音にアシストされて順調に飲み始める。
ガーゼに吸い込まれたミルクの香り、ぽかぽか温かい赤ちゃんの柔らかい体に玩具ではなく生き物という認識から緊張が奔り、ほほえむ余裕も無い。
「ふええ……っ」
「ごめんごめん!泣かないで…ああ、どうしよう」
「飲み終わった?」
「まだ、半分も飲んでくれない」
「ふえええっ!!」本腰を入れて泣き出す前に赤ちゃんを玲音に渡すとミルクを凄い勢いで飲み始める。
礼音と俺では体格差がある。胸厚で張りのある筋肉は弾力に優れた最高級に肉枕、太い腕は安定感があり頭の高さをキープ。もやし相当な俺の抱かれ心地は最悪で、顔も怖い(後発的な伴性劣性遺伝で毛が真っ白、眼は灰青の一重瞼)そりゃ泣くだろう。
心配で様子を見に来た木欒子があやすと声を出して笑うのに俺が近づくと玲音にしがみついて化物を見るような目で怯える。
「小さくてもオ・ン・ナ・だねぇ…」
クスッと笑う月兔が茶化す。
「姫のイケメン判定は厳しいよ。昌宗様は男性として未熟…なのかも?」
「姫ちゃん、ていうの?」」
玲音から赤ちゃんを受け取る木欒子が続ける。
「愛称です。この子は名前が無いので…」
「キャバ嬢じゃないんだから」
「では昌宗様が名付け親になってください」
突然の出来事に赤ちゃんと目が合う。
光の加減で瞳の色が違って見える、これは青嵐と同じ虹彩異色症。
左右の瞳の色が異なるのではなく海の浅瀬のような碧色に中心が蜂蜜のような透き通ったオレンジ色の虹色の瞳。直系の遺伝子にみられる現象で、この子が青嵐の孫であることに間違いない。
―――― あお(青) そうだ、あおちゃんにしよう。
将来、青の一文字が授けられる。その時の為に…
俺が出来なかったことを、この子に託そう。
「ふぁ…あ…うぅ」
「あ、お、だよ?」
顔を寄せると寸分狂いないタイミングで蹴る。
あどけない乳飲み子だが、女王様の素質を既に兼ね備えているあおちゃんは自分に従う大人の男を見分けていると玲音も推測していた。
これは知能指数が高い子供に見られる特徴で、例えば母親の捉え方が「自分にとって便利な人間」また利用する傾向があり、子育てに違和感を覚える事例が多く育てにくいことから虐待を受けたり、将来的に福祉枠に入る事を余儀なくされる。
神様から貰った特別な贈り物を、周囲が認めて、本人の成長に合わせることがあおちゃんの幸せをみつけてあげられる近道…というが。
「えんえんえんえんっ!ぎゃぴーっ」
えん=玲音の姿が見えなくなった途端、これだ。
バウンサーが壊れるほど仰け反って暴れるので放って置けず、抱いてバスルームに向かう。
「ふええええっ」
「玲音、呼んでるよ。ちょっと顔見せてあげて」
ガラス張りのシャワールームで頭を泡立てる玲音の後姿はまるで彫刻のよう。
ほら、見て?立派な上腕二頭筋でしょう。あおちゃんが抱っこして貰いたい気持ちは俺が一番よくわかるよと鼻をくすぐると玲音は険しい顔でドアに手を付く。
「抱いて欲しいの?」
「俺は遠慮しておくよ」
あおちゃんが両手を伸ばして玲音の温かい肌を求める。
安心できる相手が玲音ならそれでいい。ただ、自分が育てるつもりで預かったのにミルクを全然飲んでくれないから体調が整わず、機嫌が悪くて一日中泣いてるあおちゃんのストレスを悲観して消極的な意見が増えてしまう。一昼夜あおちゃんに付きっ切りで寝不足な俺に対して、ついに玲音が本音をぶつけてきた。
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