俺のご主人様がこんなに優しいわけがない

及川まゆら

文字の大きさ
上 下
51 / 138
淫内感染

淫虐の女神降臨!恥辱まみれの盗撮プレイ

しおりを挟む
 「おはようございます」

 顔を合わせたその時が決まって朝の挨拶。
 これは夜職共通、業界用語。大輪の巻き毛を揺らす真っ赤な口紅の女…


 明神麗子みょうじんれいこ 青嵐の女隷属が出勤。


 厚い唇に水晶のアトマイザーをくわえ、甘い爆煙を吹くなまめかしさ。
 背中が大きく開いた金のドレサージュが太陽より眩しい。
 この女にたまにしか会わない理由は…
 客層がほぼ世界中の富豪勢。こぞって愛人の名を連ねる王族からのラブコールに応えるべく自家用戦闘機を操縦する腕前の持ち主。コンコルドが商業用に失敗したのを期にジェットを遅漏クソ呼ばわりする。
 リアル版、峰不二子。
 それは表向きの顔で隷属である限り、何かしら特別な能力アビリティを持つ。

 麗子の場合
 世の危急ききゅうに目覚める霊言れいごんを詠う
 『夜巫女よいちこ』の異名を持つ、スピリチュアル界では有名な予知能力者リーディングマスター

 よく当たる占い師
 狙った獲物は必ず殺される。

 背後から声を掛けられ振り返ると、ドレサージュが床に落ちて黒光りするボンテージ姿という出で立ち。長い睫を瞬かせ、鋭い眼光で見つめていた。
 厚い唇はしとどに濡れ艶輝き、黒いエナメル素材のボンテージから豊満な乳房が今にもこぼれ落ちそうだ。
 巨乳だが二の腕も腰も細い。
 奴隷が泣いて悦ぶ絶景の美脚には億単位の保険金…ではなく爪先だけで重心を支える20センチのピンヒールを穿き慣れた様子でフレアを返す。鏡でスタイルの確認をした後、お得意の威憾を放ちパーソナルエリアに誰も踏み込ませない一貫した態度で接してくる。

 「やっぱりオールドスタイルが一番いいわ。流行りのモデルは品が無いのよ」

 ひとり掛けの椅子に腰かけスツールにかかとを乗せる。

 「昔から孫にも衣裳といいます」
 「私、娘なんですけど」

 顎を引いて睨み付ける仕草は父親譲り。
 アナスタシア最高峰の女王様にして青嵐の愛娘である麗子は身内「それが御職の家業だ」と話に聞いていたが、他にどれだけ隷属を携えているのか、定かではない。
 なぜ俺が一般選考から気質を頼りに選び抜かれたのか?
 麗子からご教示頂ければ信じられるというもの。

 「昨日の客…家に棺があって。酔狂な変態プレイを幽霊に見られました」
 「ああ、それで死臭をさせていたのね」
 「焚香ふんこうじゃなくて?」
 「ええ…きっと寂しかったのね。とめきに寝取られて…直に安らぐわ」
 「どういう意味ですか」

 麗子は何も言わず、甘い煙を吹きかけ
 「とめき、お前…」言いかけて眉間に皺を寄せる。

 「今度は何ですか。やめてくださいよ、憑いてる…とか」
 「頭が真っ白だけど…鏡、見た?」

 バスルームに駆け込む俺の頭は…
 闇医者さながらの白髪頭。心なしか睫毛も白いんですけど。
 「キモチわるっ」老化よる白髪と違って柔らかい猫毛のまま、ほぼ真っ白だ。
 ストレスか?
 それ以外に考えられないけどこんな頭じゃ仕事にならねぇだろ。
 いつから?晃汰も人が悪い、教えてくれよ。

 「気持ち悪いついでに写真撮っておこう」
 「やめて…SNSに絶対投稿しないで!」
 「隷属のツーショットなんて滅多に見れないわよ、ほら(投稿済)」
 「俺の顔半分しか写ってなくて心霊写真…て、もう炎上してる!」
 「地毛だったのか」

 青輝丸…アンタばかぁ?
 
 オシャレ染めでもなければコスプレイでもない。
 ため息というより魂ぼんやり出そうな勢いだが早急に予約なしで行ける美容室を検索。今まで美容室で髪切ったことないから初仕事より緊張する。
 黒染めって床屋じゃできないんだな、知らなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

無防備な恥部は痒みと快楽で嬲られる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

処理中です...