上 下
41 / 138
淫内感染

渋谷で過激なエロ体験談part②

しおりを挟む
 ……ん?上半身裸の男にハードなタイトルが飛び散っているぞ。

 裏を見ると男同士の激熱なキスと濡れ場がコマ撮り、見てはいけないと思いつつ吟味したくなるのは、嗜好ではなく職業柄だと正当化してみる。

 この男優、知ってる。

 NAGISA(渚)プライベートボックスだ。こっちはプラチナDX?

 指に引っかけて抜き取る先では、数年前から王子と呼ばれ人気を博しているGメン男優・渚の横で白いシャツをガン開きにしている男、どっかで見たことあるような…あ、梶さんに似ている。

 「俺やな。こんなん好き?」ご本人登場

 「本職なんですか」

 「引退してる。たまに仕事の話は来るけどなぁ…もう撮られへん」

 IT進化によりビデオが売れないご時世で…
 ゲイビデオ略してGVというジャンルで金字塔と呼ばれたアイドル軍団がいる。

 彼らはスカウト勢のイケメン渚と同期のヒカル、翔の3人。

 これまでの同性愛者を対象とした男臭さ溢れる肉弾戦から一新されたイケメン達が食事をしたり、おうちデートするプライベートビデオという新たなジャンルを展開。女性から圧倒的な支持を受け、会社の公式サイトから業界初のファンクラブを設立。
 握手会やイベントで順調に興行成績を伸ばし引退後もイベントや音楽活動を続けていると新宿二丁目でも噂の渚はブラッディーマリーの美穂は最推し。
 伝説のDVDを見たくもないのに強引に再生され「はぁはぁ…」する美穂を見せられる恐怖体験は忘れたい過去のひとつだ。他人の盛り場を見て受動的に興奮する脳内変換が俺にはできない。製品としてみたら顔の整ったモデルであれば眼福の出来栄えだろうけど、理解しがたい内容である。

 「青嵐さんは俺らの大先輩や」

 「お恥ずかしながら、俺のご主人様は伝説のヤリチンです」

 「あの人おらんかったら日本でAV流行らんかったんちゃう?」

 「偉業というか、異常…尊敬には値しませんね」

 「嘘やん」

 それはこっちの台詞だ。
 イケメン男優との同棲を強要したあのバカは、万死に値する。
 浮気の心配をしなくても相手が極上過ぎて直視できません。
 ヒカルと翔は引退して、残る現役は渚だけ。
 今はご隠居生活でたまに海外へ遊びに行くらしい。俺と大して年が変わらないのに豪遊できるだけ稼いだとは恐れ入った。

 「ごちそうさまでした。美味しかった」

 「俺、飯ひとりで行かれへんから昌ちゃんおると旨いもん食えるわ」

 音を立てながらストローを吸った後、グラスを離すとレイバンのサングラスをかける梶さん。言ってる側から通りすがりの女性客が戻って来て声を掛ける目立ち様。
 顔を伏せる俺はテンアゲ現場で地区目を貫くが、女の何気ない一言に顔を上げた。


 「彼氏ですか?」突如のゲイバレ


 セクシュアリティの詮索は失礼なのでは?梶さんノンケだろ。

 「彼氏やったらええのにな」

 冗談っぽく顔を寄せて腕を組まれる。そのまま足早に人並みを逆走して裏道に出ると後ろを気にしながら梶さんは煙草の先に火を点けた。
 肩で息をしながら煙たさなんか気にならないほど心拍数を上げ、手に汗握る何とやら。一方で梶さんは息を切らすことなく優雅に煙を吐いて、言葉を選んで切り出せない俺を気にかけてくれた。

 「すみません。俺…なんか変に意識してたかも」

 「嘘やん!ほんま可愛いこといいよるわ」

 「だって梶さんイケメン過ぎるから…」照れて口元を隠す

 「よう言うわ」

 この業界に足突っ込んでから
 すべての性愛において「恥じることはない」と教えられている。
 でも男が男を愛することの不安と興味本位は誇れることでもないと俺は思ってる。落ち着け、目の前の餌に食いついたら、負けだ。

 「昌ちゃんは青嵐さんの特別な人やろ。あかんよ」

 素っ気なさに優しさが混じる
 この言葉が迷ってる俺の心には充分過ぎるほど届き、解けるようにして情緒が広がった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

赤ちゃんプレイの趣味が後輩にバレました

海野
BL
 赤ちゃんプレイが性癖であるという秋月祐樹は周りには一切明かさないまま店でその欲求を晴らしていた。しかしある日、後輩に店から出る所を見られてしまう。泊まらせてくれたら誰にも言わないと言われ、渋々部屋に案内したがそこで赤ちゃんのように話しかけられ…?

或る実験の記録

フロイライン
BL
謎の誘拐事件が多発する中、新人警官の吉岡直紀は、犯人グループの車を発見したが、自身も捕まり拉致されてしまう。

おとなのための保育所

あーる
BL
逆トイレトレーニングをしながらそこの先生になるために学ぶところ。 見た目はおとな 排泄は赤ちゃん(お漏らししたら泣いちゃう)

処理中です...