俺のご主人様がこんなに優しいわけがない

及川まゆら

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調教師

奴隷わんこ攻め

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 「ふぅーん…青嵐様どんまーい」

 学校帰りのたすくがストローを吸いながら退屈そうな顔つきで言った。
 「エクレアとシュークリームどっちが好き?」
 「甘いものが嫌いなので、早急にお引き取り願いたい」
 「僕のこと食べちゃう気?」
 上目遣いで唇を寄せる妖精みたいに可愛い丞の顔面にケーキの皿をぶつけてやりたいが、中国武術と剣の達人で処理班の異名を持つ青輝丸直属の隷属チャーム
 左右の瞳の色が違う仔猫のようにじゃれる姿からは想像もできない殺しのプロは、指についたチョコレートを舐めて俺の膝に寝転がる。

 それは今を遡ること1時間前

 「僕のキラ様を盗らないで」俺に、泣きついてきたことから始まる。

 誤解だといっても、俺と青輝丸は師弟関係。
 丞は管轄外で青輝丸の部下。
 基本的に警備を任されているだけで、体で繋ぎ止めようにも青輝丸の性癖は「生きてる人間は対象外」それは適わず思い悩んでる様子。突然の俺(恋敵?)出現による動揺から意地悪をしてしまったとキュン泣き。終いには泣き顔を横倒し、制服のボタンを指で押しながら…
 「ごめんなさい。気が済むまでお仕置きして」はらり素肌を晒す。
 「まだ、子供なのに…間に合肌を見せるな」
 「僕ってそんなに魅力ない?」
 「いや、興味ない」
 徹底的に否定してるのに俺の服を引っ張り、悪戯っぽく気を惹こうとする幼気な子供らしさを俺以外の奴が見たらショタ萌え大興奮で脳が溶ける。
 正直、自分が可愛い生き物であることを確信している節が明かなのが腹立たしい。
 当然のことなんかこの世には何ひとつ無いのに、先天的に秀でた才能を揮うことで大抵は無難にクリアできる特質。俺には無いものを丞は持ってる。

 それが眩しくて、疎ましい。

 俺が隷属として、
 一人前の調教師として、
 師弟なりを設けるとしたら…こんなガキに頼らずとも、独立したい。
 理想のボディは玲音。アイツ本当にウマそうな身体してた。
 ああいう形が好みなんだろうな。鍛えすぎの肉厚マッチョは抵抗あるけど(ただのデブに見える)程よく育てられた筋肉わんこを見つけると縛りたくなる。縄イキされたらこっちの方が危い…
 俺を除く界隈、厳つい美麗デカわんこがノーマルだが俺の丞は小型犬サイズ。成長過程にある少年と同じ体形というのも恥ずかしい話だが、成人男性にみられない俺に付いたあだ名は「18禁わんこ」22…なんだが。
 
 「はい、わんチュール」
 「何それ、美味しいの?ああ…ん、青嵐様のエッチ」
 「可愛い顔して胸がこんなに育ってるじゃないか」
 「そ、そこは…ぁあ…だめぇキラ様に叱られちゃうよぉ」
 腹見せキュン鳴きする丞に悪戯をするセクハラ上司、青嵐はネクタイで両手を縛りどんどん脱がせる。
 「余所んちの犬に手ぇ出すなって」
 「うちの犬はすぐ吠える」
 「犬じゃねぇ…」
 「受けネコ?」逆にお前に突っ込んで種付けしてやりたい気分だよ。

 ご主人様には忠実
 だから可愛いし、大事にしたいと思われるような飼い犬になってこそ。
 でも一匹くらい懐かない奴はどこの犬舎にもいるだろ、俺はそれでいい…ぽんっ、と青嵐に撫でられて吠える垂れ耳の俺は膝に顎を乗せて背中を預けた。
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