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調教師
借金返済
しおりを挟む今年も残すところあと僅か
なんて挨拶がお似合いな年の瀬も差し迫る、ある日の出来事。
◇
消えた花形の噂は、絶えず、俺について回る。
将来を約束された花形の一生を台無しにした手癖の悪い愚図と呼ばれる俺は叱責を受けていた。
これが許されざる恋の代償。
他人に咎められるほど紡いだ幸せの軌跡は曖昧になり、留めようにも「本当にあった出来事なのか?」他人の呪いに塗り替えられる恐怖。人としての権利を剥奪される耐えがたい苦しみが胸の奥底に沈み見えなくなる深淵だ。
悪戯に拳を振る舞われる絶望の往路に心から怯え暮らす俺は行き場を失い、佐川に頼み込んで赤羽の警ら事務所に小さくなって身を寄せていた。
かつての花形と暮らしていた千駄ヶ谷の貸しビルは、もぬけの殻。
施工後の貸し出しは既に決まっており、自分の未来が絶たれたことを思い知る。
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