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名のない星は暁から出流る
第8話 貴之の秘密
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性が入り乱れる私の高校生活は、至って普通。
過去の出来事を知る人は多かったけど私自身、どこにでもいる典型的な顔面良好エロいイケボの末っ子長男特有の甘え上手でとにかく先輩に可愛がられるし、部活の後輩は私の所属する吹部パートに入るために受験したと意気込み、ああ、確かこの子入試で会った?かな。女の子はどうでもいい。
モテる事に関して無頓着。
質問、なぜ私のことを好きになるのか?
回答「バカか変態のどっちか」くらいにしか受け止めておらず、彼氏も取り替えてはスペアを最低2本立てオールセックスを目標にしないと自分の発情を抑制することができないほどの淫乱、年中発情期の卸売りセール。
「病気じゃない、それ」
寒くもないのにホットコーヒーを飲む、貴之は眼鏡を外して足を組み替え、いつものように視線が合わない。
「貴之は僕を好きになーる好きになぁーる」
「また始まった。くだらない」
「不公平だよ! 僕はこんなに貴之のこと好きなのに」
「あっそ」
「本当は僕のこと好きにくせに」
「さぁ、秘密主義なんで」
苦くて嫌いなコーヒーをかぶ飲み。
おくちイーッ! しながら勉強道具を片付けると頭撫でて、飯を食って行けと散々いじられる。
だったら最初から優しくしろよ。
何なんだ、コイツ。
笑うと可愛い、童顔なんだ。
文系の部活ばかりで体の発育も「男子」っぽくない私比較で春は登山、夏はテニスと水泳、冬はメインのウィンタースポーツを大卒まで続ける文武両道な貴之のわがままボディは市販の規格スーツが入らない。全てオーダーメイド。
首と肩回りの筋肉が発達しており腕なんか丸太みたい、腹斜筋が目に見える板チョコみたいな上半身はウエスト細めの小尻に対して太腿バァーン!
特筆すべきは毛の生え方が、エロい。
確実に体でモテるタイプ。
健康維持を目的とした毎日のトレーニングに加え自炊で栄養管理も完璧。部屋の掃除からタートルコーディネイト、私服もお洒落でロレックス限定ダイヤ基盤の腕時計を下品に見せない貫禄と、冷静な判断で私の攻撃を交わす愛想の無さ。
また放置プレイ、寧ろ……
「最初から居ないものだと認識している」
ギャンカワ愛猫の腹見せポーズに関心を示さないどころか、屈強な精神で塩対応。
やはり男だし、好みでは無いのか?
尋ねるとある一冊の本を顔面めがけてブン投げて寄こす(謝りもせず「手が滑った」そうです)
表紙は、全裸に不動一本縛り。
──開けた着物で緊縛される黒髪の女
──ビザールに身を包んだ外国人モデルの男
アブノーマルと呼ばれる世界だ。
知らないカテゴリじゃないけどハードボイルド過ぎて、異世界から総攻撃を食らう高校生の私を想像してね。地獄よ?
なんじゃこりゃ。
頁めくればえげつない性描写が続き、拷問や装身具を付けているモデルの妖艶さに目を凝らす。最初は怖かったけど、癖になる。これはもう出会うべくして出会った世界だと運命の鐘が鳴り響く私は興奮冷めやらず、貴之に迫った。
「ボンテージを着てセックスするの?」
「いいや、専門店がある」
「貴之はもちろんご主人様でしょう、じゃあ僕が…」
「お前には選ぶ権利がある。強制はしない、これは俺の趣味だ。性的興奮は人それぞれ俺はSMが好き。まゆは男が好き。互いに恋愛感情は無くて伴侶が欲しいわけでは無いだろう。違うか?」
「じゃあ何でこれ見せたの」
貴之はため息をついて腕組みを解く。
「自分の性癖を人に明かすのはとても勇気がいる事なんだよ。まゆは何でもオープンにする、けど相手が自分と同じ感覚だと思わない方がいい。俺は……まゆの個性が嫌いじゃないが」
そこまで話して、息をつき唇を結んだ。
貴之は性格が悪い。
でも、この時は知らなかったんだ。
彼の思考と理想、誰も信じられない、何でも金で買える「世の中は金」だと思い込みで生きてる男が一定数いることを。
過去の出来事を知る人は多かったけど私自身、どこにでもいる典型的な顔面良好エロいイケボの末っ子長男特有の甘え上手でとにかく先輩に可愛がられるし、部活の後輩は私の所属する吹部パートに入るために受験したと意気込み、ああ、確かこの子入試で会った?かな。女の子はどうでもいい。
モテる事に関して無頓着。
質問、なぜ私のことを好きになるのか?
回答「バカか変態のどっちか」くらいにしか受け止めておらず、彼氏も取り替えてはスペアを最低2本立てオールセックスを目標にしないと自分の発情を抑制することができないほどの淫乱、年中発情期の卸売りセール。
「病気じゃない、それ」
寒くもないのにホットコーヒーを飲む、貴之は眼鏡を外して足を組み替え、いつものように視線が合わない。
「貴之は僕を好きになーる好きになぁーる」
「また始まった。くだらない」
「不公平だよ! 僕はこんなに貴之のこと好きなのに」
「あっそ」
「本当は僕のこと好きにくせに」
「さぁ、秘密主義なんで」
苦くて嫌いなコーヒーをかぶ飲み。
おくちイーッ! しながら勉強道具を片付けると頭撫でて、飯を食って行けと散々いじられる。
だったら最初から優しくしろよ。
何なんだ、コイツ。
笑うと可愛い、童顔なんだ。
文系の部活ばかりで体の発育も「男子」っぽくない私比較で春は登山、夏はテニスと水泳、冬はメインのウィンタースポーツを大卒まで続ける文武両道な貴之のわがままボディは市販の規格スーツが入らない。全てオーダーメイド。
首と肩回りの筋肉が発達しており腕なんか丸太みたい、腹斜筋が目に見える板チョコみたいな上半身はウエスト細めの小尻に対して太腿バァーン!
特筆すべきは毛の生え方が、エロい。
確実に体でモテるタイプ。
健康維持を目的とした毎日のトレーニングに加え自炊で栄養管理も完璧。部屋の掃除からタートルコーディネイト、私服もお洒落でロレックス限定ダイヤ基盤の腕時計を下品に見せない貫禄と、冷静な判断で私の攻撃を交わす愛想の無さ。
また放置プレイ、寧ろ……
「最初から居ないものだと認識している」
ギャンカワ愛猫の腹見せポーズに関心を示さないどころか、屈強な精神で塩対応。
やはり男だし、好みでは無いのか?
尋ねるとある一冊の本を顔面めがけてブン投げて寄こす(謝りもせず「手が滑った」そうです)
表紙は、全裸に不動一本縛り。
──開けた着物で緊縛される黒髪の女
──ビザールに身を包んだ外国人モデルの男
アブノーマルと呼ばれる世界だ。
知らないカテゴリじゃないけどハードボイルド過ぎて、異世界から総攻撃を食らう高校生の私を想像してね。地獄よ?
なんじゃこりゃ。
頁めくればえげつない性描写が続き、拷問や装身具を付けているモデルの妖艶さに目を凝らす。最初は怖かったけど、癖になる。これはもう出会うべくして出会った世界だと運命の鐘が鳴り響く私は興奮冷めやらず、貴之に迫った。
「ボンテージを着てセックスするの?」
「いいや、専門店がある」
「貴之はもちろんご主人様でしょう、じゃあ僕が…」
「お前には選ぶ権利がある。強制はしない、これは俺の趣味だ。性的興奮は人それぞれ俺はSMが好き。まゆは男が好き。互いに恋愛感情は無くて伴侶が欲しいわけでは無いだろう。違うか?」
「じゃあ何でこれ見せたの」
貴之はため息をついて腕組みを解く。
「自分の性癖を人に明かすのはとても勇気がいる事なんだよ。まゆは何でもオープンにする、けど相手が自分と同じ感覚だと思わない方がいい。俺は……まゆの個性が嫌いじゃないが」
そこまで話して、息をつき唇を結んだ。
貴之は性格が悪い。
でも、この時は知らなかったんだ。
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