全てを無くした転生者は、スキルの力で成り上がる

蒼田 遼

文字の大きさ
上 下
8 / 18

7話 ロディの努力の結果

しおりを挟む
 自称女神との会話を思い出しながら、俺は起きて間もない頭を整理する。

 昨日は、夜遅くまで起きていたせいか、起きるのが遅かったようだ。

 ベルさんが食事を持って入ってきた。

 
 「おはようございます、ロディ坊ちゃん。」

 「おはよう、ベルさん。質問しても良いかな?」

 「……?はい、いいですよ。」

 
 ベルさんは朝食の用意をしながら、俺へ返答する。

 
 「そろそろ魔獣討伐をしてみたいんだけど、外に行く事って可能かな?」

 「んー。それはどうでしょうか?許可まで数日かかるかもしれないですが、当主様に聞いてみましょうか?」

 「……そっか。じゃあよろしく頼むよ。ちなみに属性ごとの魔導書って……」

 「分かりました、もし外に行かれるなら護身用にも魔法の一つや二つ必要ですもんね。そのかわり、無理はしないこと。分かりましたか?」

 「……はい。分かりました……。」

 「ふっ。じゃあ、分かりました。また持ってきますね。」

 「ベルさん、ありがとう。」

 ベルさんは、それだけ言うと部屋を後にした。
 そんな後ろ姿を見ながら、俺は心でガッツポーズをした。

 その日の昼、約束通りベルさんは各属性の初級魔導書を持ってきてくれた。

 属性には各々適性があるので、自分に見合った属性魔法が見つかるまで努力を怠ってはダメですよ、とベルさんから言われた。

 あと、これから俺の父に外出の許可を取りに行くとも言ってくれた、少し時間がかかるかもとのことだったので、俺は、剣術の本と、スキルの本、各属性の魔導書を読みながら魔獣討伐に向けて準備をしようと心に決めた。

◆◇

 数日後、父から許可が出たと、ベルさんが昼過ぎに部屋に知らせに来てくれた。

 ベルさんには感謝を伝え、余裕を持って出発は明日となった。
 明日は、ベルさんもついて来てくれるらしい。

 ただのメイド長なので戦闘は出来ないだろうから、俺が守らなくちゃ、という意味も込めて今日は、念入りに明日の最終確認を行なう事にした。

 まずはステータスからだ。

【ステータス】
名前:ロディ・アレクシス
年齢:3歳
性別:男
種族:人
レベル:1

▼能力
体力:60→150
攻撃:40→240
防御:35→120
魔力:1900
速度:30→160
素質:+1

▼スキル
気配感知(大)
魔力感知(大)
魔素吸収(大)
身体強化(中)
鑑定(中)
鑑定阻害(中)
隠密(大)
夜目(大)
魔力制御(小)
魔力節約(小)
速読(中)
棒術(中)
並列思考(小)
融合魔法(小)

▼称号
全スキル適性(中)
全魔法適性(中)

 能力は、全体的にかなりアップした。スキルの恩恵もあるだろうが、毎日、腕立て、スクワット、腹筋を2000回ずつ行なっている努力の賜物だろう。

 次にスキルは、色々増えた。
 スキルの本を読み学んだこともあるけども、魔法の特訓中に偶然手に入れた、魔力制御と魔力節約を覚えたのは嬉しい誤算だった。

 あと、並列思考。
 これがなぜ手に入ったのか分からないけど、気配感知と魔力感知をやりながら他の特訓していた努力が実ったのかもしれないと推測する。

 あと、剣術の本を読みながら、剣の練習をしていたのだけども、手に入れたのは棒術だった。

 心当たりはある。

 剣が部屋にないから、ベット枠に使われてた長い棒を剣に見立てて特訓していたのだ。

 まぁ、武器として使えると言う点では一緒だし良いだろう。
 うん、そういうことにしておこう。

 あと、魔法は全部問題なく扱えた。
 まだ初期魔法だけど、アレンジ次第でいくらでも強くなりそうだ。

 ちなみに、並列思考を手に入れてから、右手に火と左手に水を出して組み合わせると霧が発生する事、そしてそれは融合魔法という事を知った。

 試しになんでもやってみるもんだね。

 そんな感じで、ステータスの最終チェックは終わり、続いて荷物のチェックだが、荷物は特にない。

 替えの服もないし、棒でも持っていくか。

 よし。これで全てのチェックは完了だ。

 あとは寝て明日を待つだけ。
 ということで、今日は早めに就寝です。

 「おやすみなさい」

 俺は誰もいない空間にぽつりと一言、言葉を投げてベットに潜った。

◆◇

 ~ベルside~

 ロディ坊ちゃんが魔物討伐に行きたいと言い始めた。

 たしかに最近のロディ坊ちゃんの成長は凄まじい。
 3歳というのに喋り方は大人っぽいし、身体つきもガリガリだった身体から少しずつ筋力が付いているのか、正常な男児っぽい身体に変わっている。

 とは言ってもまだ3歳。子を持つ親としては外に行くなど不安でしかない。

 だからせめてもの護身用として各属性の魔導書を読む事を許可した。

 きっとあのグロース様デブの事だ。
 この機会に死んでくれれば良いと、外出許可は二つ返事でもらえるだろう。

 だからこそ、私はロディ坊ちゃんが少しでも強くなれるように適当な理由をつけて勉強の時間を稼ぐ事にしよう。

 私はご飯を届ける時に何となく進捗を聞きながら、ロディ坊ちゃんの外出タイミングを見計った。

 そして数日後。

 ロディ坊ちゃんの特訓も少し落ち着いて来たようだし、許可を取りに行く事に私は決心した。

 ………………

 …………

 ……

 やっぱりあのグロース様デブは、二つ返事で外出の許可を出した。

 「森で魔獣に襲われて不慮の事故もいいな」なんて呟いてた。
 あの野郎、いつか必ず……はっ!ダメ、ダメよ。私。


 そんなことがありつつ、明日は外出の日。
 私はついて行くことにしたけど、心が騒つく。

 ロディ坊ちゃんの成長が確認できれば、アレクシス家の汚点扱いも見直されるかも知れない。
 そうすれば、私もロディ坊ちゃんを暗殺なんてしなくて済む。

 どうか、ロディ坊ちゃんが急成長していますように。
 心の底から願うばかりである。

 あー、それよりもロディ坊ちゃんを早く鑑定したい。
 鑑定して安心したい。



 そんなことをベットの上で思いながら、なかなか寝付けないベルは、結局朝まで起きてしまっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...