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双子の秘密♡生まれた時から運命のふたり

双子の秘密♡生まれたときから運命のふたり

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「波瑠がそんなにBLが書きたいなら、俺が実際に指導してやるよ」
「僕ももちろん参加するよ」
「……へ?」


 小説投稿サイトでファンタジー小説を書いていたオレ、二ノ宮波瑠。でもブクマ2とかビュー数10とかで、全然見られない。そんなわけでいろんなジャンルを試した結果、BLに行きついた。

 オレはBにLする人間じゃないけど、男目線でアッチのネタも書けるし、なんといっても近くにイイ男が2人いる。
 こいつらで妄想したらいいんだと「双子の秘密★生まれたときから運命のふたり」というタイトルでオメガバースBLの連載を始めた。
 するとアレヨアレヨとブクマがついて、今では三個のサイトで人気ランキング上位に入っている。

 腐女子のおまえら! 双子とか兄弟とか大好きだよなぁ! 愛してるぜ! 読んでくれてありがとう!

***

『っつ、兄貴、今は駄目だ。父さんと母さんがまだ起きて……んっ』
『こんなに甘い匂いをさせて僕を誘ってるのに? 大丈夫、声を出さなきゃバレないよ』
『そんなの無理だってわかってるくせに、ん、んん~~あ、ああっ』
αの兄、祥多はΩの弟、慶多の口に指を三本突っ込みながら、うなじに強く吸い付いた。もう片方の手は胸をまさぐり、すでに反応した蕾をきつく摘まんで……

***

「さっきから、俺らといるのになにスマホばっか触ってんの?」

 放課後に寄ったファーストフード店で、思いついた濡れ場をスマホのドキュメントアプリに打ち込んでいると、幼馴染の慶多にスマホを奪われた。

「あっ! 返せよ!」

 急いで回収する。
 だが別の手が伸びてきて、また奪われた。

「だーめ。そうでなくても最近スマホばっかり触ってるでしょ。また目が悪くなるよ」

 もう一人の幼馴染、祥多はオレの眼鏡も奪い、至近距離で顔を覗き込んでくる。
 でも顔面は国宝級だし、スマホを見られるよりは顔を見られた方がマシだから、良しとする。
 だって俺が書いてるのはBLだし、濡れ場だし、それに……。

「はい、もーらい」
「あっ!」

 安心したのも束の間、慶多が祥多からスマホをさらに奪って操作した。

 ああっ、もう終わりだ。
 オレが書いているBLのモデルが、この双子の幼馴染ふたりなんだって、バレてしまう!

「なんだ、これ……双子の兄弟でやり合って……。はあ? 名前、これ、俺らの名前じゃん!」

 案の定、慶多は眉をしかめた。

「え? ほんとに? へぇ……ってことは、僕がこのαの兄ってやつ?」

 苦笑いするのは祥多。

 それから、ふたりは「どういうことだ?」と、スマホ画面を俺の顔の前に差し出した。
 観念した俺は、かくかくしかじか、理由を話したわけだけど、そのまま名前を使ったことを慶多にこっぴどく怒られ、小説を消せと要求された。

「それだけは許してくれ! 3500人の読者さんが更新を待ってるんだ!」
「はあ? 知るかよ。なんで祥多とこんなこと妄想されなきゃなんないんだよ、どうせ妄想するなら……」
「まあまあ、慶多。ほら、ちゃんと読んでみなよ。まさに全部が妄想じゃないか」

 祥多が慶多の発言を遮り、くすっと笑うと、慶多は眉を寄せたが少し読み進めてから「確かに」と頷く。

 全部妄想? 当たり前だろ、創作BLなんだから。こいつらはいったいなんのことを言ってるんだ?

「……こんな体勢で入るわけないでしょ。それにこんな触り方じゃ、絶対気持ち良くないよ」
「だな。書き手の童貞さが現れてて笑っちゃうぜ。読んでる人もわかってるだろうけど、生あたたかく読んでくれてんだろ」
「な、な……」

 好き勝手言いやがって! 毎日コメントとスタンプがたくさん来るんだぞ! キュンキュンしますって書かれるんだぞ!
 それにそれにそれに、そうだよ、オレは未経験だよ。でも。

「童貞って言うな~! ならお前らは経験あるのかよ!」

 口を尖らせて言うと、慶多に頬を挟まれておちょぼ口にされた。痛い。

「そんなにBLが書きたいなら、実際に指導してやるよ。そしたら俺に経験があるかどうかもわかんだろ」

 双子だから祥多とそっくりだけど、どちらかというとやんちゃ系アイドルみたいな顔に凄まれた。

「へ?」
「あ、僕ももちろん参加するよ」

 どちらかといえばモデル系の顔で微笑む祥多。

「へ?」

 ふたりはオレを自分達の家に連れて行き、祥多の部屋に入った。

「な、なにをする気だ! 指導って……わっ」

 なんとなく危機感を感じて逃げようとすると、後ろから祥多に羽交い絞めにされる。

「書き手が経験するのが一番でしょ」

 その間にも慶多がオレのシャツのボタンを開け、ジーンズのボタンとジッパーを下ろした。

「そうそう。ほら、ここ、どうだ?」
「あ、や、あぁっ…」

 どうしてこんなことになってるのかわからないけど、実際に濡れ場を「受け」の立場で体験させられて、気持ちが良くてなにも考えられなくなった。
 オレはあっさりと果ててしまい、その後も朦朧とした意識の中でふたりに本当の濡れ場を教えられていた。

 ──でも聞こえていた。

「僕達ずっと、波留が好きだったんだよ? 気づかなかったでしょ?」
「僕達? 兄貴より俺の方が波留を好きだ。おい、あんま触んなよ」
「なに言ってるの。僕の方が波留を大事にしてるよ。慶多みたいに欲をぶつける触り方はしないからね」
「うっせ。こんな蕩けた顔見て、我慢できるかよ」
「確かにね。でも、波留が俺達のどっちがいいか選ぶまでは共有だよ?」
「わかってる。けどきっかけができてラッキーだったな。まさか波留も男が好きとは思わなかった」

 ……ふたりがずっと俺を…?
 ……どっちかを選ぶ?
 ……共有?
 ……俺も男が好き?

「ちが……ちがう、オレは……ぁ、あぁんっ」

 BLを書いてはいるが、オレの恋愛対象は女だって反論しようと思ったけど、何度も与えられる快感に気を失ってしまった。


 ────その後オレは、ふたりから与えられる愛情と快楽に溺れ、実体験に基づいて書いた作品がヒットして書籍化して、この関係から抜け出せなくなってしまった。

 ちなみに三年経った今でもどちらにするかなんて決められず、どっちにも愛情を感じてしまっているオレである。

 このままずっと三人でいられないかなぁ……。
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