20 / 38
枯れおじ42歳と若き建築士兼大工の話
枯れおじ42歳と若き建築士兼大工の話
しおりを挟む
ゲイを隠し真面目に生きてきただけの、田舎住まい枯れ受けオジ42歳。
ノーマルならあるだろう恋愛や結婚のイベントもなかったが、家だけは都会に移り住む親から譲り受けた。
古いが良い材料で作られた家だ。管理しやすくするため、工務店に依頼すると、建築士兼大工がやってきた。
訪れたのは、若く、たくましい筋肉質のイケメン。もろ好みだ。ここまで理想の男は見たことがない。
受けは大工を長く雇いたくなり、中身のリフォームを相談すると、親身になって応えてくれた。
大工が来る日が楽しみで、お茶やお菓子を用意し、慣れないお洒落をして縁側で攻めを見つめる受け。
──あの逞しい腕で抱きしめられたら。
──あの張った太ももで脚を割られたら。
めくるめく妄想が頭を掛け巡る。
「……そんなに見つめられては緊張します」
「ち、違う。仕事ぶりを確認していただけだ」
焦って目をそらすと、年下の大工が近づき顎クイをされた。
「視線でわかります。熱く俺を見ているでしょう?」
「そんなわけ…!」
形のいい唇を押し付けられ、歯列を割られた。
「は、ぁ…んんっ」
そのまま縁側の廊下に押し付けられ、体を重ねられる。大工のゴリッとした熱い茎が太ももに当たった。
「駄目、駄目だ、こんなこと…!」
突然の甘い疼きに耐えられず、目をぎゅっと閉じて首を振る。
「え…駄目ですか? 図案、変えますか?」
「──へ?」
我にかえり目を開く。
と、攻めは奥の棚を外しかけて仕事をしていた。
「あっ!いや、予定通りに!」
カァァァ!
顔が赤くなる。
俺はなんて妄想をしているんだ。
落ち着け俺。落ち着……駄目だ、昂っている!
「ちょっと席を外す」
受けは丸腰になりトイレを目指した。処理せねばやばい。
「っと、と、と、と」
なんてことだ。
お茶を入れたソーサーに足をひっかけた。
よろけて体が傾く。
「受けさん、危ない!」
大工が走ってくる。
ドラマのように、大工が受け身姿勢になり、抱きかかえてくれた。
しかし互いの体がぴったりと重なり、受けの昂りが大工の太ももの間に挟まっている。
「あ…受け、さん…?」
気づかれた!
「あ、ぁぁ…んんっ」
しかも、起き上がらなければと体を動かしたせいで、昂りが大工の股間にこすれ、切ない声が漏れてしまう。
もう一貫の終わりだ。今までずっとゲイを隠してきたのに……せめて静かに人生の後半を過ごしたかったのに……明日には隣保中、いや、町中の蔑み者になってしまう。きっともう、大工にも二度と会えない。
「うっ…」
42のオジなのに涙が浮かぶ。それでも昂りは収まらないから情けない。
俺はただの変態だ。
「悪い…これは、ただの生理反応で…」
言い訳じみていても、そう言うしかない。
「……気づいていました」
「へっ? あっ、ちょ、ちょっと!」
昂りを男らしい手のひらに包まれた。
「あなたが、私と同じだって……なんとなくわかるんです」
「えっ」
「そして私を熱い目で見ていることも」
「えええっ」
──そんな。俺はまだ妄想の中にいるのか?
「小さ田舎で同じ嗜好の方に出会えるとは思っていませんでした……あなた、ネコですよね?私で良ければお相手します」
「いや、でもそんな、あ、ぁっ」
未経験の受けだ。優しく揉まれて高い声が出て、流されてしまった。
だが、筋肉の感触は最高だったし、大工はとても優しく、上手かった。
「ありがとう。いい思い出になったよ」
ふ、と笑み、乱れた衣服を正そうとすると、筋肉が張った腕に抱きしめられた。
「受けさん、俺はね、使われてこなかった良い素材に手をかけて、生まれ変わらせるのが得意なんです」
耳朶に唇を付けて囁かれ、首がぞくぞくと震えた。
「あなたの体、手のかけがいあります。これからも私に任せてもらえませんか」
これはやはり夢か妄想だろうか。
いや、体の中に入ってくる杭は、いぶされた柱のように硬く太く、存在感がある。
そして、使われてこなかった受けの体は大工により丁寧に手をかけられ、開発されて生まれ変わっていくのだった。
そんな枯れオジと、若き建築士兼大工攻めの話。
ノーマルならあるだろう恋愛や結婚のイベントもなかったが、家だけは都会に移り住む親から譲り受けた。
古いが良い材料で作られた家だ。管理しやすくするため、工務店に依頼すると、建築士兼大工がやってきた。
訪れたのは、若く、たくましい筋肉質のイケメン。もろ好みだ。ここまで理想の男は見たことがない。
受けは大工を長く雇いたくなり、中身のリフォームを相談すると、親身になって応えてくれた。
大工が来る日が楽しみで、お茶やお菓子を用意し、慣れないお洒落をして縁側で攻めを見つめる受け。
──あの逞しい腕で抱きしめられたら。
──あの張った太ももで脚を割られたら。
めくるめく妄想が頭を掛け巡る。
「……そんなに見つめられては緊張します」
「ち、違う。仕事ぶりを確認していただけだ」
焦って目をそらすと、年下の大工が近づき顎クイをされた。
「視線でわかります。熱く俺を見ているでしょう?」
「そんなわけ…!」
形のいい唇を押し付けられ、歯列を割られた。
「は、ぁ…んんっ」
そのまま縁側の廊下に押し付けられ、体を重ねられる。大工のゴリッとした熱い茎が太ももに当たった。
「駄目、駄目だ、こんなこと…!」
突然の甘い疼きに耐えられず、目をぎゅっと閉じて首を振る。
「え…駄目ですか? 図案、変えますか?」
「──へ?」
我にかえり目を開く。
と、攻めは奥の棚を外しかけて仕事をしていた。
「あっ!いや、予定通りに!」
カァァァ!
顔が赤くなる。
俺はなんて妄想をしているんだ。
落ち着け俺。落ち着……駄目だ、昂っている!
「ちょっと席を外す」
受けは丸腰になりトイレを目指した。処理せねばやばい。
「っと、と、と、と」
なんてことだ。
お茶を入れたソーサーに足をひっかけた。
よろけて体が傾く。
「受けさん、危ない!」
大工が走ってくる。
ドラマのように、大工が受け身姿勢になり、抱きかかえてくれた。
しかし互いの体がぴったりと重なり、受けの昂りが大工の太ももの間に挟まっている。
「あ…受け、さん…?」
気づかれた!
「あ、ぁぁ…んんっ」
しかも、起き上がらなければと体を動かしたせいで、昂りが大工の股間にこすれ、切ない声が漏れてしまう。
もう一貫の終わりだ。今までずっとゲイを隠してきたのに……せめて静かに人生の後半を過ごしたかったのに……明日には隣保中、いや、町中の蔑み者になってしまう。きっともう、大工にも二度と会えない。
「うっ…」
42のオジなのに涙が浮かぶ。それでも昂りは収まらないから情けない。
俺はただの変態だ。
「悪い…これは、ただの生理反応で…」
言い訳じみていても、そう言うしかない。
「……気づいていました」
「へっ? あっ、ちょ、ちょっと!」
昂りを男らしい手のひらに包まれた。
「あなたが、私と同じだって……なんとなくわかるんです」
「えっ」
「そして私を熱い目で見ていることも」
「えええっ」
──そんな。俺はまだ妄想の中にいるのか?
「小さ田舎で同じ嗜好の方に出会えるとは思っていませんでした……あなた、ネコですよね?私で良ければお相手します」
「いや、でもそんな、あ、ぁっ」
未経験の受けだ。優しく揉まれて高い声が出て、流されてしまった。
だが、筋肉の感触は最高だったし、大工はとても優しく、上手かった。
「ありがとう。いい思い出になったよ」
ふ、と笑み、乱れた衣服を正そうとすると、筋肉が張った腕に抱きしめられた。
「受けさん、俺はね、使われてこなかった良い素材に手をかけて、生まれ変わらせるのが得意なんです」
耳朶に唇を付けて囁かれ、首がぞくぞくと震えた。
「あなたの体、手のかけがいあります。これからも私に任せてもらえませんか」
これはやはり夢か妄想だろうか。
いや、体の中に入ってくる杭は、いぶされた柱のように硬く太く、存在感がある。
そして、使われてこなかった受けの体は大工により丁寧に手をかけられ、開発されて生まれ変わっていくのだった。
そんな枯れオジと、若き建築士兼大工攻めの話。
応援ありがとうございます!
20
お気に入りに追加
197
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる