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満点の星空の下で
⑥*
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「みっくん、お願い。これ、まずいから」
両手も両足も自由にならない。まるで縛りプレイだ。クラブでは革素材のベルトで拘束してもらっていたが、風呂だとこんなプレイができるのか、と実は被虐心が疼いていたりもする。
(このままじゃ、発情しちゃう)
泡で覆われた湯の下、千尋のペニスは熱を持ち、つん! と上を向いている。
千尋の身体を撫で回している光也には気づかれているはずだ。
「どうしようかな。千尋は忘れんぼさんだし、デートの意味もわからないわからず屋さんだから、お仕置きが必要だと思ってるんだけど」
「お、お仕置きっ!」
千尋の前では春風王子とでも呼ぶべき優しさを見せていた光也だが、やはり怒っていたのか。いや、拗ねていたのか?
それならば是非お仕置きしてほしい。春風王子の仮面は剥いで、氷の貴公子の冷たさで酷く叱りつけて、指の型が残るくらいに尻を揉みしだいて……。
「あ、でも痛いことはしないよ?」
「ふぇ……?」
妄想だけでとろんとしかけていた目を光也に向けると、頬にちゅぷ、と吸いつかれた。
「千尋は痛いと感じちゃうんでしょう? 俺的にはそれは不本意なんだよね。前にも言ったけど、これでもかってくらいに甘やかして、えっちな顔をさせたいんだよ」
「な……」
なんということでしょう。KANOUの皆さん、氷の貴公子は、実はむっつりスケベですよ!
心の中で緊急アナウンスをする。が、そんな余裕もここまでだった。
長い指が胸に降り、一番に感じる先端部分をわざと避けて、くるくると円を描く。反対の手は太ももを割り、足の付け根や会陰部、柔らかい双珠の裏をかすかに撫でる。
「あっ……あっ……」
ほしい刺激がきそうでこない。もどかしくて、自由にならない千尋の手足の指はぴくぴくと動いた。
「さあ、身体を洗おうね」
光也は楽しそうに言って、手にたくさんのボディーソープを取った。その手で千尋の全身を回し撫でていく。けれど撫でられるのを待って凝っている三点は、痛みどころかわずかな刺激も与えてもらえず、千尋は泣きたい気持ちで膝をすり合わせた。
「みっくぅん……」
「千尋、脚を閉じたら洗えないでしょ?」
内ももに片手がかかり、脚を大きく割られる。そのまま広げた手のひらを滑らせた光也は、太ももを万遍なく巡ったあと、千尋の薄い下生えを撫でた。
「んっ……」
小ぶりなペニスの付け根をかすられる。それだけで身体はひくつき、千尋の肌と光也の肌が摩擦した。
なめらかな質感に官能を引き起こされ、千尋は腰を揺すった。
「あ……」
自分の双丘と光也の腹の間に、熱く硬いものを感じた。
(みっくん、大きくなって……?)
気づいてしまえば、光也の唇から漏れる息も荒く熱いことに気づく。
初めて無自覚なヒートを起こした日、社のトイレでも光也のベッドの上でも光也の発情は伝わってきた。だが、光也のものが変化したかどうかまではわからなかった。
光也は理性を保ち、荒ぶった姿を千尋に見せなかったから。
でも今は、薄衣一枚の隔たりもなしに、光也の欲情を感じられる。
「みっくん……」
つぶやいたと同時に心臓が大きく跳ね、全身へと血流が巡る。防波堤を破る濁流のようなこの変化が何かを、千尋はもう知っている。
苦しい。心臓を直接鷲掴みにされるように苦しい。息がしにくくて口をはかはかと開けるせいか、バスルームにいるのに喉が乾く。
(ほしい、この熱いの)
渇望しているのは上の口だけじゃない。
千尋は無自覚に腰を上げた。だが手と足が自由にならないから、すぐにへたりと降りてしまう。そうすると光也の熱塊が窄まりの表面をこすり、つるりと尾てい骨を撫で上げる。
千尋は仔猫が喉を鳴らすような甘えた声を漏らした。
「うぅん………」
「千尋、ほしいの? 俺のが」
「ん、んぅっ」
返事の代わりに何度も腰を揺すり、熱くて大きいものをひくついた窄まりにこすりつける。
気持ちがよくて切なくて、千尋は感じるたびに喉を鳴らした。
「気持ちいいね。ねぇ、想像して。千尋のここに当たってるこれを千尋の中に入れて、奥まで突いたらどうなるかな?」
「ふぁっ……」
光也も腰を動かし、熱塊をすりつけてくる。
「ぐっしょり濡れた千尋の中を何度も何度も行き来して、感じる部分をトントン、ってノックして、それから、当たってないところがないようにぐちゃぐちゃにかき回して……」
「ん、やぁ」
低く甘い声で、淫らな言葉を耳の中に注がれる。柔らかい唇が時々耳朶に触れ、千尋は全身をわななかせた。
泡風呂で隠れていて見えないが、熱芯となった千尋のペニスの先からも、淫路になった後孔からも、透明の蜜が溢れ出ている。
「千尋、すごく濡れてる」
「あっ……! だめっ……!」
ぱくぱくと先端の口を開き、湯の中で怯えるように震えていた熱芯の露頭を圧された。
瞬間で、後孔からうなじに向かって興奮が競り上がる。
指一本。たったそれだけの刺激で、千尋のうなじから大量のホルモンが萌出した。
「ん……凄いね、千尋。今までで一番濃いよ。上質のバニラリキュールみたいだ」
反応するように光也の熱塊の先も粘りをまとう。二人が出したフェロモンで、バスルームはむせ返るようなバニラの匂いに包まれた。
両手も両足も自由にならない。まるで縛りプレイだ。クラブでは革素材のベルトで拘束してもらっていたが、風呂だとこんなプレイができるのか、と実は被虐心が疼いていたりもする。
(このままじゃ、発情しちゃう)
泡で覆われた湯の下、千尋のペニスは熱を持ち、つん! と上を向いている。
千尋の身体を撫で回している光也には気づかれているはずだ。
「どうしようかな。千尋は忘れんぼさんだし、デートの意味もわからないわからず屋さんだから、お仕置きが必要だと思ってるんだけど」
「お、お仕置きっ!」
千尋の前では春風王子とでも呼ぶべき優しさを見せていた光也だが、やはり怒っていたのか。いや、拗ねていたのか?
それならば是非お仕置きしてほしい。春風王子の仮面は剥いで、氷の貴公子の冷たさで酷く叱りつけて、指の型が残るくらいに尻を揉みしだいて……。
「あ、でも痛いことはしないよ?」
「ふぇ……?」
妄想だけでとろんとしかけていた目を光也に向けると、頬にちゅぷ、と吸いつかれた。
「千尋は痛いと感じちゃうんでしょう? 俺的にはそれは不本意なんだよね。前にも言ったけど、これでもかってくらいに甘やかして、えっちな顔をさせたいんだよ」
「な……」
なんということでしょう。KANOUの皆さん、氷の貴公子は、実はむっつりスケベですよ!
心の中で緊急アナウンスをする。が、そんな余裕もここまでだった。
長い指が胸に降り、一番に感じる先端部分をわざと避けて、くるくると円を描く。反対の手は太ももを割り、足の付け根や会陰部、柔らかい双珠の裏をかすかに撫でる。
「あっ……あっ……」
ほしい刺激がきそうでこない。もどかしくて、自由にならない千尋の手足の指はぴくぴくと動いた。
「さあ、身体を洗おうね」
光也は楽しそうに言って、手にたくさんのボディーソープを取った。その手で千尋の全身を回し撫でていく。けれど撫でられるのを待って凝っている三点は、痛みどころかわずかな刺激も与えてもらえず、千尋は泣きたい気持ちで膝をすり合わせた。
「みっくぅん……」
「千尋、脚を閉じたら洗えないでしょ?」
内ももに片手がかかり、脚を大きく割られる。そのまま広げた手のひらを滑らせた光也は、太ももを万遍なく巡ったあと、千尋の薄い下生えを撫でた。
「んっ……」
小ぶりなペニスの付け根をかすられる。それだけで身体はひくつき、千尋の肌と光也の肌が摩擦した。
なめらかな質感に官能を引き起こされ、千尋は腰を揺すった。
「あ……」
自分の双丘と光也の腹の間に、熱く硬いものを感じた。
(みっくん、大きくなって……?)
気づいてしまえば、光也の唇から漏れる息も荒く熱いことに気づく。
初めて無自覚なヒートを起こした日、社のトイレでも光也のベッドの上でも光也の発情は伝わってきた。だが、光也のものが変化したかどうかまではわからなかった。
光也は理性を保ち、荒ぶった姿を千尋に見せなかったから。
でも今は、薄衣一枚の隔たりもなしに、光也の欲情を感じられる。
「みっくん……」
つぶやいたと同時に心臓が大きく跳ね、全身へと血流が巡る。防波堤を破る濁流のようなこの変化が何かを、千尋はもう知っている。
苦しい。心臓を直接鷲掴みにされるように苦しい。息がしにくくて口をはかはかと開けるせいか、バスルームにいるのに喉が乾く。
(ほしい、この熱いの)
渇望しているのは上の口だけじゃない。
千尋は無自覚に腰を上げた。だが手と足が自由にならないから、すぐにへたりと降りてしまう。そうすると光也の熱塊が窄まりの表面をこすり、つるりと尾てい骨を撫で上げる。
千尋は仔猫が喉を鳴らすような甘えた声を漏らした。
「うぅん………」
「千尋、ほしいの? 俺のが」
「ん、んぅっ」
返事の代わりに何度も腰を揺すり、熱くて大きいものをひくついた窄まりにこすりつける。
気持ちがよくて切なくて、千尋は感じるたびに喉を鳴らした。
「気持ちいいね。ねぇ、想像して。千尋のここに当たってるこれを千尋の中に入れて、奥まで突いたらどうなるかな?」
「ふぁっ……」
光也も腰を動かし、熱塊をすりつけてくる。
「ぐっしょり濡れた千尋の中を何度も何度も行き来して、感じる部分をトントン、ってノックして、それから、当たってないところがないようにぐちゃぐちゃにかき回して……」
「ん、やぁ」
低く甘い声で、淫らな言葉を耳の中に注がれる。柔らかい唇が時々耳朶に触れ、千尋は全身をわななかせた。
泡風呂で隠れていて見えないが、熱芯となった千尋のペニスの先からも、淫路になった後孔からも、透明の蜜が溢れ出ている。
「千尋、すごく濡れてる」
「あっ……! だめっ……!」
ぱくぱくと先端の口を開き、湯の中で怯えるように震えていた熱芯の露頭を圧された。
瞬間で、後孔からうなじに向かって興奮が競り上がる。
指一本。たったそれだけの刺激で、千尋のうなじから大量のホルモンが萌出した。
「ん……凄いね、千尋。今までで一番濃いよ。上質のバニラリキュールみたいだ」
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