専務、その溺愛はハラスメントです ~アルファのエリート専務が溺愛してくるけど、僕はマゾだからいじめられたい~

カミヤルイ

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特大エビフライ、のち、発情

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「ここ」
「ひやっ!」

 突然パジャマの上衣をめくられ、右胸が晒される。

(え、なに、ナニ、何)

 光也の顔と胸先を交互に見る。
 すると、胸の薄桃色の周りには歯型があるばかりか、先は赤く、その付け根には裂傷がある。

(……見られた! もう治ったとばかり思っていたのにぶり返した?……だから右胸が痛むのか)

 千尋は先週「CLUBマゾ」でプレイを受けてきた。
 胸をかわいがっていじめてもらうのが大好きな千尋は、社畜プレイに「いぢめて乳首♡ハードコース」を追加したのだが、バイブ付きのニップルちくびクリップで薄桃色ごと挟んでもらうだけじゃ物足りなくて、プレイ専用の紐で両方の先を結んで繋いでもらい、引っ張ってもらうのも続けてやった。
 きっと、そのときのごほうびだ。

「あの、これは、虫が。そう! 虫に噛まれてそれで」
「そんなわけないでしょう」

 さすが氷の貴公子!
 光也は千尋が取り繕った返答をぴしゃりと跳ね返す。
 そして言うことには。

「この傷を作ったのは私です」
「ひゃい……?」
「洗面室で、私は確かに君に手を貸しました。すると君が突然胸を開き、噛んでくれ、痛くしてくれと。……それで、つい嫉妬してしまい、私が噛んだら君はすぐに達して……気を失いました」

 えっ! とか嘘っ! とか、月並な言葉が出そうだったが、光也の発言に不可解な部分があり、ふと冷静になって言葉を反芻した。

「ええと、嫉妬、とは」
「これ、この噛み跡は私がつけた痕ではありません」

 光也は人指し指をとん、と歯型の下に置いた。

「それに、胸の先も……私が上書きする前に、明らかに先に他の誰かに傷つけられて、痂皮化している形跡があった。これは誰が?」

 書類のミスを指摘するかのようだ。言葉の最後の方には苛立ちが感じられ、咎めるような視線が向けられる。
 これが職場でなら最高においしいのだが、あいにく今は欲していない。

「誰って……。助けていただいて、胸まで噛ませてしまって、大変申しわけなく思っています。本当に失礼をいたしました。でも、この傷跡についてはプライベートなことです。専務のご質問とはいえ、そこまで報告する義務はないと存じます」

 めくられたパジャマを下げ、早口で言う。この話題から早く逃げたかった。
 専務に乳首を噛んでもらってイくなんて、それだけでも恥ずかしすぎるのにプレイの痕まで見られたのだ。最悪極まりない。

「いや、俺には言う権利がある」
「ひぇ。あ、あの……?」

 そらした顔が向き合うように頬を包まれた。

 どくどくどく……。

 性懲りもなく動機がするのは気分が悪くなり始める兆候か、それとも「俺」と素顔を剥き出しにする光也の威圧感が強いからか。

「藤村君は、俺の運命の番だから」
「……は?」

 予想もしなかった言葉に、頭が真っ白になった。
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