上 下
29 / 71
事故つがいの夫は僕を愛してる

初デート side天音⑤

しおりを挟む

「天音、可愛い」

 胸から口を離して、涙で濡れた目の縁や下瞼、頬にキスしてくれた。
 白濁で濡れた手はお尻に回して、割れ目から孔にかけてをゆっくりと撫でてくれる。

「好きだよ。天音、愛してる」

 仲直りしてから、理人はたくさん愛情を教えてくれる。五年分セックスしようね、って僕をからかう理人だけど、五年分以上の言葉もくれて、僕は心も身体も歓喜に震えてしまう。

「僕も、好き。愛してる」

 同じ言葉しか返せないけれど、何度言われても、何度言っても幸せになる魔法の言葉。
 僕も理人も「好き」「愛してる」を繰り返しながら身体を重ねた。

 理人の胸が僕の胸を撫でる。
 理人の腹筋が吐精したばかりの僕のものをこする。

 それだけでどんどん体が熱くなり、部屋の中はふたりのフェロモンが充満した。

「ふ……あ、んんっ……」

 体への快感だけでなく、愛しいつがいのフェロモンに酩酊して、僕のものは再び淫らに形を変える。
 
「俺のお腹にこすりつけてくるの、可愛いね。もっと腰を振ってごらん?」
「ん、理人、理人」

 優しく言われるのが嬉しくて、理人をもっと感じたくて、僕は理人にしっかりと抱きついて、引き締まった腰に足を絡めた。
 お尻を浮かしながら懸命に腰を動かして、理人の腹筋の段差に自分の熱をこすり付ける。

「とっても上手だね。……こっちは俺が気持ち良くするからね」
「ああっ……」

 家具のお店にいるときからずっと欲しがっていた孔に、長い指が入ってくる。背中がぞくぞく震えるのと同時に、お腹の中も震えたみたい。

「うわ……ナカ、すごいよ。天音。発情期のときみたいに熱くて、うねうねうねってる」
「気持ちいいんだもん、理人の指、すごく気持ちいいいよぅ……」
「ああ……すごく締まるのに、中から蜜が溢れてくる。天音の香り、酔いそうだよ」

 泣きそうな声で言われて、胸が切なくなる。
 好きとか愛してる、って言われてるんじゃないのに、そう言われてるみたいな気がしてくる。

「欲しい、欲しいよ、理人の、早く入れて……」
「うん。わかってる。俺も、天音が欲しいよ。ひとつになろうね」

 子供に言うみたいに目を細めてから、キスしてくれた。
 それから、いつの間にか増えていた指を全部抜いて、代わりに大きくて熱いものを僕に当てがう。
 
 先端がつるつるしているそれで、孔の皺を伸ばすみたいに撫でられるの、好き。
 今から入ってくるんだって、期待と嬉しさでドキドキする。

「は……あぁあっ」

 ぐちゅりと音がして、濡れきった僕のナカをずぶずぶと進んでくる熱の塊。
 熱くて熱くて、お腹の中が溶けてしまいそう。

「理人の、きもちいいっ……」
「ん……俺も気持ちいいよ……もっと奥も、気持ち良くするね」
「あぁ……あっあっ……」

 ふくらはぎを持たれて、足の裏が天井に向くくらい身体を折り曲げられる。その姿勢でキスをされれば、奥に理人の熱を感じて、身体がぶるっと震えた。

「奥にきてる、理人の、僕のお腹のここにきてる……!」
「うん、気持ちいいね、ここ、好きだね」

 そう言って、お店のベッドでしたように僕のお腹をしてから、動きを激しくし出す理人。

「あ、あっ、あん!」

 何度も何度も穿たれて、体を揺さぶられる。大きな波のような気持ち良さに意識を流されてしまいそうで、僕は再び、しっかりと理人に抱きついた。
 理人は首に回った僕の腕をしっかりと持ち、いっそう抽挿を激しくする。

「理人、好き。好き、理人っ!」
「天音、好きだよ、ん、くっ……締まる……! っつ……!」
「ああぁぁっ……!」

 お腹の中に熱さが広がるのと同時に、僕の頭の中で光がはじけた。いつもまぶしい理人の顔にたくさん星がちらついて、目の前が暗くなっていく。

 そして……。
 気がついたらまた「可愛いね」ってまぶしい笑顔で見つめられて、顔を真っ赤にしてる間に唇を奪われて、乳首をクニクニされて……。

「理人、明日月曜だよ……? もう寝ようよ……」

 四回連続のセックスに、僕も僕のベッドもギシギシ言って、音を上げ始めた。

「うん、あと一回ね。そしたら寝よ? ね?」
「もう……あ、あぁっ、そこ、や、やあぁん」

 結局今日も朝まで五回。これが理人の標準みたい。アルファの性欲って、絶倫という言葉を遥かに凌いでいると僕は思う。
 次の僕の発情期は来月。今以上にフェロモンを出す僕を、理人はどんなふうに抱くんだろう。もしラット化したら、理人……凄いだろうな……。

「ねぇ、理人。やっぱり、あのベッド買っておいた方がいいかもしれないね……」
「ん? でしょ? さっき天音が寝てる間にさっと調べたら、別のお店で割引きがあったから、もう注文しておいたよ」

 ────そんなわけで翌週の日曜日には、僕たちのアパートに新しいベッドが到着したのだった。

 次のは長持ちするといいなあ……。


<初デート・おしまい>

しおりを挟む
感想 302

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…? タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。 歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

処理中です...