168 / 222
XLVIII 飼いならされた猫-III
しおりを挟む「――ッ!」
ぬるりとした感覚と共に与えられる激しい快楽。脳が痺れる程のそれに恥じらう事も忘れ嬌声を上げた。
虐める様に、愛でる様に、時々動きを変えながら刺激される。果てた後だからか敏感になったそこは、指で弄られるだけで強烈な快楽を生み、ものの1、2分で果ててしまった。
「貴女がこんなにも素直に言う事を聞くとは思いませんでした。気持ちよかったですか?」
彼の問いに否定も肯定も出来ず、乱れた呼吸を整えながらもふいと顔を逸らす。
「ちゃんと言う事が聞けたので、約束通りお教えしましょう」
彼が事前に用意していた大きなタオルを私の身体に掛け、冷えた肩を温める様に優しく撫でた。
「貴女は気が強くて、素直じゃありませんね。可愛げ、というものは無いかもしれません。でも僕はそんな貴女が好きですよ。自分好みに調教して、可愛い可愛い猫に育てたくなる」
「……」
「野良猫を拾って育てた事はありますか? 僕は幼少期にあるんですが、最初は警戒心が強く引っ掻いたり噛んだり威嚇したりと、近づく事もままならなかった。ですが、愛情を注いで育てているうちにその猫は僕だけに懐き、僕だけの猫になった。何処へ行くにも僕について回り、まるで僕に依存しているかの様なその姿に酷く興奮したのを覚えています」
「……何、私も野良猫だって言いたいの」
「いえ、そう言う訳では無いんですがね。でも近しい何かがあるとは思っています。貴女は猫では無く人間です。“教育”をするのに時間がかかる上、決して簡単ではない。それでもいつか僕だけに心を開き、僕だけの猫になって僕に従順になる貴女を想像すると、苦しくなる程にそそられる」
彼の手が優しく、私の髪を撫でた。
「前にも、似た事を言いましたね。僕は貴女を、僕だけのものにしたい。身も心も、僕だけのものに。貴女の身体に、心に、貴女にとっての“先生”は僕だけだと刻み付けたい」
「……!」
――先生。
その言葉に、長らく存在を頭の隅に追い遣っていたエリオット先生の事を思い出した。心臓が早鐘を打つのを感じながらも、言葉が出てくる事は無く、大人しく口を噤む。
「僕はエリオット先生の様になりたかった。その気持ちは今でも変わりません。でも、貴女に対してはどうだと考えてみた時、先生の様になりたい、というのとは少し違っていた。貴女の居場所になりたい、その気持ちに嘘は無い。しかし、それと同じ位貴女を飼い慣らしたい。僕に依存させる事が、貴女への最大の拘束になると僕は思ってる。そんな僕は異常でしょうか?」
彼の言葉に、眉を顰める。異常か、異常では無いかの二択であれば、異常であろう。
しかし何故だか、今の彼を“異常”なんて言葉で括ってしまいたくはなかった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる