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第2章
ディズとロジェ
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「僕がアルを守ってあげるから、こいつはやめて。」
ロジェが私の専属騎士になることを許可してから一日がたった。
あの後来た魔導士はリュリエスで、ロジェの傷を半日かけて直してくれた。
流石、リュリエス様々だ。
勿論、私はリュリエスに叱られた。
『ちょっと、怪我人だってわかってるよねぇ?ただでさえ、僕忙しいんだからさ。
これ以上仕事増やさないでくれるかなぁ?』
怒っているハズなのに、可愛く見えて仕方がない。
でも、申し訳ないとは思いましたよ?いや、ホントに。
「一国の王子で、更に王になるような人にそんなことさせられる訳が無いでしょ?」
そういうと、ベッドに腰をかけているロジェが「うんうん」と力強く頷く。
それを見て、ディズはムッと顔をしかめた。
「アルが僕の妃になれば良い。
そしたら、ずっと一緒にいれるから問題無い。」
あぁ、もう、すぐにそっちに持っていく。
何度断れば良いのだろうか?
しつこい男は嫌われるぞ。
っていうか、そろそろうざ・・・あ、凄い睨んでる。
どうしよう、鳥肌が!
勝手に身体が恐怖を感じた、だと!?
いや、待て、それ以前に
何故私の考えていることがわかった!?
「ってか、あんたは俺が気に食わないだけだよな?」
色々考えていると、ずっと黙っていたロジェが口を開き言った。
ディズは私から視線を外し、自分の後ろにいるロジェを見るためにグルリと後ろを向いた。
そして、いつもの愛想笑いを浮かべる。
いや、もしかしたらこれは本心で笑っているのかもしれない。
楽しさではなく、また別の意味で。
「そうだけど、だから何?何か問題でもあるの?」
ディズの言葉を聞き、ロジェはニタッと不気味に笑う。
そして、
「あるね。」
と一言だけ言葉を吐いた。
ディズは眉を釣り上げ何ともいえない顔をしている。
まさか『ある』なんて返ってくると思っていなかったのだろう。
ロジェは一息だけ間を空けて、また言葉を吐いていく。
「第一に、俺たちはあんたに許可なんか求めて無いってことだ。俺と姫さんの間の契約であって、あんたが何を言おうと関係ない。
第二に、反対する理由が理不尽。『騎士』という存在では無く『俺』が嫌ならそれはただの個人の感情だ。
もし、暗殺の件なのだとしたら俺は十分に反省しているしそれでも足りないと言うならば罰は受ける。そのくらいの覚悟はしてる。」
ロジェの言葉を聞き、ディズは嬉しげに笑みを浮かべる。
「なら、裁判所かどっかに行く?別に、ここで死んでも良いんだけど?」
言葉の中に嬉しさや喜びの感情があるとすぐにわかる。
そんな声のトーンだった。
「残念ながら、あんたの指図は受けない。俺が殺そうとしたのは姫さんであってあんたじゃない。
だから、俺は姫さんの罰だけを受ける。死ねと言われれば死んでやる。」
ディズは小さく舌打ちをして、先ほどの笑みを消す。
しかしながら、姫さんって呼び方やめない?
確かに魔王の娘であるから、魔国の姫なのだけれど、そんな呼び方随分されてないし?
まぁ、今それを言う状況では無いか・・・。
「私は別にそんな罰しようなんて思って無いし・・・。」
少し弱弱しく、しかしハッキリとした口調で私は言った。
そう言うとディズは苛立ちを含んだ顔をする。眉間にギュッと皺を寄せ、今にも泣きそうな目つきで私を見る。
「何でよりにもよってこいつな訳?
何で簡単にアルのテリトリーこころにいれちゃうの?僕だって、まだ、入れてないのに・・・。」
後半につれ、声が小さくなり
最終的にボソボソと呟いているようにしか聞こえなくなった。
何だか良くわからないけど、そんなこと言われても・・・と思った。
何故ロジェかと言われれば、私に似ているからだと答える。
しかし、それをディズに言っても仕方が無いのだ。
ディズはわかってくれる訳も無いし
まず、前世?はい?ってなると思われる。
「別に俺は姫さんに何しようって訳じゃないし、安心してくれ。」
「当たり前だろーが!アルに手ぇ出したらぶっ殺す!!!」
さっきの弱弱しさは、どこへ消えたの・・・?
ディズはロジェの言葉に間髪入れずに怒鳴った。
目で殺せるくらいに鋭い目つきをするディズに、ロジェは顔を引き攣らせ身体を若干後ろに引く。
「一日三食で魔王城の魔族幹部クラスの部屋を与えるつもりよ。勿論、給料もね。」
その言葉に、ディズはカッと目を見開かせて私を見る。
「ちょっと待って!こいつを魔族幹部にでもする気!?」
「そんなことしないわよ。まぁ、教官的なのはして貰うけど。最近の若いのはダラダラしてて弱くて使いモノになんないのよね?」
せめて、自分の仕事くらい完遂して頂きたいものだ。
なんだ、と静まったディズの代わりに次はロジェがカッと目を開く。
「お前を守るだけじゃないのか!?」
「それだけだ、なんて誰も言ってないでしょうが。まぁ、そんなに難しく無いことだし、魔族幹部だって良い人ばかりだから問題無いわよ。」
はぁ、とため息とついて、まぁいいやと呟く。
なんでそんな妥協されてんの?
え、なんで向こうが主導権握ってるの?
ちょっと、主従関係がおかしいんですけど。
「もう良い。でも、ちゃんとアル守らなかったら殺す!!!」
「自分の仕事はちゃんとやりますぅ。
暗殺者は仕事にはきっちりしてますぅ。」
ぶーっと唇を尖らせてロジェはディズに言う。
ディズはイラッとしたようで顔を引き攣らせるが、拉致があかない、とそこでやめる。
「ディズ様、レヴ国の姫が来ています。
至急応接室へ。」
聞き覚えのある声の方を見ると、そこにはヴィンがいた。
バチっと目があって、私は静かに一礼をする。礼儀くらい私だってわかっているつもりだ。
挨拶をしないのは、流石に悪いだろう。
彼も小さく会釈を返してきて、少しだけ安心する。
あぁ、彼も礼儀はわかっているのだ、と。
そして、ドアから離れ廊下を歩いていく。
「はぁ、めんどくさいな・・・。
じゃあ、僕は行くよ。またね、アル。」
ディズは、ぶつぶつと何か文句を言いながら去って行った。
私はロジェの方を向いて、手を差し出す。
ロジェは『え?』と小さく呟いて困惑の表情を浮かべる。
「帰りましょう、魔王城へ。」
「え、あぁ、うん。」
そう、返事をするも私の手を握らない。
・・・あ、転移魔法を使うってわかってないからか?
「転移魔法を使うとき、使う人の身体に触れていれば一緒に転移できるの。
だから、私の手を握れば魔王城へすぐに行けるわ。」
「あ、あぁ、そういうことな。」
そして、ロジェは私の手を握った。
転移魔法を使って瞬時に魔王城の中庭へ移動する。
そうすると、花束を抱えたエルミナにばったりと出会った。
「う、うわ!?」
エルミナが驚いて倒れそうになるところをロジェが支える。
母様に備 供えるのであろう花は、地面にバラバラと散らばった。
「あ、あ、あ、あなたは!?」
「あー、あはは。」
エルミナがロジェの顔を見て頬を赤く染め声を上げる。
それをロジェは笑って誤魔化す。
なんだ、お前ら知り合いか?
いや、それ以前にこの反応、もしや・・・まだ様子見にしておこう。
「ロジェ、あなたの部屋を案内するわ。」
「あ、あぁ。」
エルミナは、硬直して放心状態になっている。
私はエルミナの目の前で手を振ってエルミナの意識を戻させる。
「ね、姉様、あの・・・。」
「ごめんね、驚かせちゃって。
今日から私の専属騎士になった、ロジェ・グレイネスよ。城内を案内するからそれまでにご飯を作っておいて頂戴。」
エルミナはコクコクと頷いて、花を急いで拾い母の墓の方へ向かう。
私はロジェに声をかけ、城の中へ入った。
あぁ、とりあえずこれで一息つけるのかしら?
ロジェが私の専属騎士になることを許可してから一日がたった。
あの後来た魔導士はリュリエスで、ロジェの傷を半日かけて直してくれた。
流石、リュリエス様々だ。
勿論、私はリュリエスに叱られた。
『ちょっと、怪我人だってわかってるよねぇ?ただでさえ、僕忙しいんだからさ。
これ以上仕事増やさないでくれるかなぁ?』
怒っているハズなのに、可愛く見えて仕方がない。
でも、申し訳ないとは思いましたよ?いや、ホントに。
「一国の王子で、更に王になるような人にそんなことさせられる訳が無いでしょ?」
そういうと、ベッドに腰をかけているロジェが「うんうん」と力強く頷く。
それを見て、ディズはムッと顔をしかめた。
「アルが僕の妃になれば良い。
そしたら、ずっと一緒にいれるから問題無い。」
あぁ、もう、すぐにそっちに持っていく。
何度断れば良いのだろうか?
しつこい男は嫌われるぞ。
っていうか、そろそろうざ・・・あ、凄い睨んでる。
どうしよう、鳥肌が!
勝手に身体が恐怖を感じた、だと!?
いや、待て、それ以前に
何故私の考えていることがわかった!?
「ってか、あんたは俺が気に食わないだけだよな?」
色々考えていると、ずっと黙っていたロジェが口を開き言った。
ディズは私から視線を外し、自分の後ろにいるロジェを見るためにグルリと後ろを向いた。
そして、いつもの愛想笑いを浮かべる。
いや、もしかしたらこれは本心で笑っているのかもしれない。
楽しさではなく、また別の意味で。
「そうだけど、だから何?何か問題でもあるの?」
ディズの言葉を聞き、ロジェはニタッと不気味に笑う。
そして、
「あるね。」
と一言だけ言葉を吐いた。
ディズは眉を釣り上げ何ともいえない顔をしている。
まさか『ある』なんて返ってくると思っていなかったのだろう。
ロジェは一息だけ間を空けて、また言葉を吐いていく。
「第一に、俺たちはあんたに許可なんか求めて無いってことだ。俺と姫さんの間の契約であって、あんたが何を言おうと関係ない。
第二に、反対する理由が理不尽。『騎士』という存在では無く『俺』が嫌ならそれはただの個人の感情だ。
もし、暗殺の件なのだとしたら俺は十分に反省しているしそれでも足りないと言うならば罰は受ける。そのくらいの覚悟はしてる。」
ロジェの言葉を聞き、ディズは嬉しげに笑みを浮かべる。
「なら、裁判所かどっかに行く?別に、ここで死んでも良いんだけど?」
言葉の中に嬉しさや喜びの感情があるとすぐにわかる。
そんな声のトーンだった。
「残念ながら、あんたの指図は受けない。俺が殺そうとしたのは姫さんであってあんたじゃない。
だから、俺は姫さんの罰だけを受ける。死ねと言われれば死んでやる。」
ディズは小さく舌打ちをして、先ほどの笑みを消す。
しかしながら、姫さんって呼び方やめない?
確かに魔王の娘であるから、魔国の姫なのだけれど、そんな呼び方随分されてないし?
まぁ、今それを言う状況では無いか・・・。
「私は別にそんな罰しようなんて思って無いし・・・。」
少し弱弱しく、しかしハッキリとした口調で私は言った。
そう言うとディズは苛立ちを含んだ顔をする。眉間にギュッと皺を寄せ、今にも泣きそうな目つきで私を見る。
「何でよりにもよってこいつな訳?
何で簡単にアルのテリトリーこころにいれちゃうの?僕だって、まだ、入れてないのに・・・。」
後半につれ、声が小さくなり
最終的にボソボソと呟いているようにしか聞こえなくなった。
何だか良くわからないけど、そんなこと言われても・・・と思った。
何故ロジェかと言われれば、私に似ているからだと答える。
しかし、それをディズに言っても仕方が無いのだ。
ディズはわかってくれる訳も無いし
まず、前世?はい?ってなると思われる。
「別に俺は姫さんに何しようって訳じゃないし、安心してくれ。」
「当たり前だろーが!アルに手ぇ出したらぶっ殺す!!!」
さっきの弱弱しさは、どこへ消えたの・・・?
ディズはロジェの言葉に間髪入れずに怒鳴った。
目で殺せるくらいに鋭い目つきをするディズに、ロジェは顔を引き攣らせ身体を若干後ろに引く。
「一日三食で魔王城の魔族幹部クラスの部屋を与えるつもりよ。勿論、給料もね。」
その言葉に、ディズはカッと目を見開かせて私を見る。
「ちょっと待って!こいつを魔族幹部にでもする気!?」
「そんなことしないわよ。まぁ、教官的なのはして貰うけど。最近の若いのはダラダラしてて弱くて使いモノになんないのよね?」
せめて、自分の仕事くらい完遂して頂きたいものだ。
なんだ、と静まったディズの代わりに次はロジェがカッと目を開く。
「お前を守るだけじゃないのか!?」
「それだけだ、なんて誰も言ってないでしょうが。まぁ、そんなに難しく無いことだし、魔族幹部だって良い人ばかりだから問題無いわよ。」
はぁ、とため息とついて、まぁいいやと呟く。
なんでそんな妥協されてんの?
え、なんで向こうが主導権握ってるの?
ちょっと、主従関係がおかしいんですけど。
「もう良い。でも、ちゃんとアル守らなかったら殺す!!!」
「自分の仕事はちゃんとやりますぅ。
暗殺者は仕事にはきっちりしてますぅ。」
ぶーっと唇を尖らせてロジェはディズに言う。
ディズはイラッとしたようで顔を引き攣らせるが、拉致があかない、とそこでやめる。
「ディズ様、レヴ国の姫が来ています。
至急応接室へ。」
聞き覚えのある声の方を見ると、そこにはヴィンがいた。
バチっと目があって、私は静かに一礼をする。礼儀くらい私だってわかっているつもりだ。
挨拶をしないのは、流石に悪いだろう。
彼も小さく会釈を返してきて、少しだけ安心する。
あぁ、彼も礼儀はわかっているのだ、と。
そして、ドアから離れ廊下を歩いていく。
「はぁ、めんどくさいな・・・。
じゃあ、僕は行くよ。またね、アル。」
ディズは、ぶつぶつと何か文句を言いながら去って行った。
私はロジェの方を向いて、手を差し出す。
ロジェは『え?』と小さく呟いて困惑の表情を浮かべる。
「帰りましょう、魔王城へ。」
「え、あぁ、うん。」
そう、返事をするも私の手を握らない。
・・・あ、転移魔法を使うってわかってないからか?
「転移魔法を使うとき、使う人の身体に触れていれば一緒に転移できるの。
だから、私の手を握れば魔王城へすぐに行けるわ。」
「あ、あぁ、そういうことな。」
そして、ロジェは私の手を握った。
転移魔法を使って瞬時に魔王城の中庭へ移動する。
そうすると、花束を抱えたエルミナにばったりと出会った。
「う、うわ!?」
エルミナが驚いて倒れそうになるところをロジェが支える。
母様に備 供えるのであろう花は、地面にバラバラと散らばった。
「あ、あ、あ、あなたは!?」
「あー、あはは。」
エルミナがロジェの顔を見て頬を赤く染め声を上げる。
それをロジェは笑って誤魔化す。
なんだ、お前ら知り合いか?
いや、それ以前にこの反応、もしや・・・まだ様子見にしておこう。
「ロジェ、あなたの部屋を案内するわ。」
「あ、あぁ。」
エルミナは、硬直して放心状態になっている。
私はエルミナの目の前で手を振ってエルミナの意識を戻させる。
「ね、姉様、あの・・・。」
「ごめんね、驚かせちゃって。
今日から私の専属騎士になった、ロジェ・グレイネスよ。城内を案内するからそれまでにご飯を作っておいて頂戴。」
エルミナはコクコクと頷いて、花を急いで拾い母の墓の方へ向かう。
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