上 下
2 / 48
第1章

ヒロインに会いたくないです!

しおりを挟む

「え、これを届けろって?」

あれから12年が経ち、私は19歳となった。
4年前には華麗に社交会デビューを果たし、現在は次期魔王候補として知名度上昇中。

一応、長女であり次期魔王として教育されてきた私と唯一の男系であり長男として育てられたルーザの2人が次期魔王の候補となっている。

ルーザがそれなりに成長してから、今後の経過を見て次期魔王を選定するという方向性に変わった。

しかしながら、次期魔王になるのは私ではなくルーザだ。それは、彼の魔法の才能や魔王が基本的に男系であることなどから予測出来る。
8歳の頃にはしっかりと決意を固め、現在は選定よりもルーザを魔王にすべくサポートに徹している。

現在、お父様にラスターナ王国へ親書を届けろと言われているところだ。

「あぁ、大切な親書だ。」

なんでよりによって、今?

私は転移魔法テレポートが使えるのでラスターナ王国まですぐ行くことは出来る。

でも、今は・・・。

「今じゃなきゃダメですか?」
「今じゃなきゃダメだ。」

今が嫌な理由。それは・・・


乙女ゲームのヒロインが城内にいるからだ。


それを思い出したのはつい最近。
きっとヒロインとの接触までの日にちが近くなったからだと思う。

「あ、あいたたたた。急にお腹が・・・」
「はいはい、お前の演技には飽きましたよ。」
「ちぇ・・・わかったわよ、行けばいいんでしょー!」

仮病も効かなくなってしまった・・・。
いざという時に使えなくなるとは・・・毎回のように使うんじゃなかった!!!

行って、それからどうすればいいんだろう。
乙女ゲームでは、ライバルとの遭遇は中庭でディズと話をしている時だ。

そうだ、言い忘れていた。
ディズは去年から王の仕事の補佐を始めていた。その実、補佐というよりもディズ自身が政務を行なっているわけだが。

ディズの父の具合が悪くなってきてしまったのだ。

ディズは私の3つ上の22歳で小さい頃から王としての勉強をしていたので、王様の仕事を補佐するには十分な歳ではあった。

1年前は、王の仕事をこなすには若すぎるとの声が少なくなかったのは確かだった。
しかし、ディズはそんな声とは裏腹に素晴らしすぎる功績をあげていた。

今では将来有望な王子であり、その妻になりたいと考えている人は多い。

「よいしょっと。」

お父様から親書をもらい、私は転移魔法を使う。
そして、ラスターナ王国へ入っていく。

いつ来ても活気のあるところだ。
だが、魔王国だって負けてはいない!

そんなことを思っているうちにラスターナ城につく。

「あー、もう。会ったらどうすんのよ。」

私は、そう呟きながら王の部屋に入っていく。

「王様ー。お父様から親書を預かってきました。」

ちゃんと信頼はあるので、待ちなさいと止められることはない。
これが12年間私が築きあげてきたものだ。

「ありがとう、アルフちゃん。良かったらディズに会ってくれるかい?最近仕事詰めでね。」
「わ、わかりました」

どうやらフラグは回避できないようです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

全ては望んだ結末の為に

皐月乃 彩月
恋愛
ループする世界で、何度も何度も悲惨な目に遭う悪役令嬢。 愛しの婚約者や仲の良かった弟や友人達に裏切られ、彼女は絶望して壊れてしまった。 何故、自分がこんな目に遇わなければならないのか。 「貴方が私を殺し続けるなら、私も貴方を殺し続ける事にするわ」 壊れてしまったが故に、悪役令嬢はヒロインを殺し続ける事にした。 全ては望んだ結末を迎える為に── ※主人公が闇落ち?してます。 ※カクヨムやなろうでも連載しています作:皐月乃 彩月 

乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン
恋愛
 前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。  すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?  私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!  そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。 ⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎ ⚠︎誤字多発です⚠︎ ⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎ ⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎

婚約破棄の特等席はこちらですか?

A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。 将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。 何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。 カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………

そして乙女ゲームは始まらなかった

お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。 一体私は何をしたらいいのでしょうか?

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

処理中です...