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第1章
ヒロインに会いたくないです!
しおりを挟む「え、これを届けろって?」
あれから12年が経ち、私は19歳となった。
4年前には華麗に社交会デビューを果たし、現在は次期魔王候補として知名度上昇中。
一応、長女であり次期魔王として教育されてきた私と唯一の男系であり長男として育てられたルーザの2人が次期魔王の候補となっている。
ルーザがそれなりに成長してから、今後の経過を見て次期魔王を選定するという方向性に変わった。
しかしながら、次期魔王になるのは私ではなくルーザだ。それは、彼の魔法の才能や魔王が基本的に男系であることなどから予測出来る。
8歳の頃にはしっかりと決意を固め、現在は選定よりもルーザを魔王にすべくサポートに徹している。
現在、お父様にラスターナ王国へ親書を届けろと言われているところだ。
「あぁ、大切な親書だ。」
なんでよりによって、今?
私は転移魔法が使えるのでラスターナ王国まですぐ行くことは出来る。
でも、今は・・・。
「今じゃなきゃダメですか?」
「今じゃなきゃダメだ。」
今が嫌な理由。それは・・・
乙女ゲームのヒロインが城内にいるからだ。
それを思い出したのはつい最近。
きっとヒロインとの接触までの日にちが近くなったからだと思う。
「あ、あいたたたた。急にお腹が・・・」
「はいはい、お前の演技には飽きましたよ。」
「ちぇ・・・わかったわよ、行けばいいんでしょー!」
仮病も効かなくなってしまった・・・。
いざという時に使えなくなるとは・・・毎回のように使うんじゃなかった!!!
行って、それからどうすればいいんだろう。
乙女ゲームでは、ライバルとの遭遇は中庭でディズと話をしている時だ。
そうだ、言い忘れていた。
ディズは去年から王の仕事の補佐を始めていた。その実、補佐というよりもディズ自身が政務を行なっているわけだが。
ディズの父の具合が悪くなってきてしまったのだ。
ディズは私の3つ上の22歳で小さい頃から王としての勉強をしていたので、王様の仕事を補佐するには十分な歳ではあった。
1年前は、王の仕事をこなすには若すぎるとの声が少なくなかったのは確かだった。
しかし、ディズはそんな声とは裏腹に素晴らしすぎる功績をあげていた。
今では将来有望な王子であり、その妻になりたいと考えている人は多い。
「よいしょっと。」
お父様から親書をもらい、私は転移魔法を使う。
そして、ラスターナ王国へ入っていく。
いつ来ても活気のあるところだ。
だが、魔王国だって負けてはいない!
そんなことを思っているうちにラスターナ城につく。
「あー、もう。会ったらどうすんのよ。」
私は、そう呟きながら王の部屋に入っていく。
「王様ー。お父様から親書を預かってきました。」
ちゃんと信頼はあるので、待ちなさいと止められることはない。
これが12年間私が築きあげてきたものだ。
「ありがとう、アルフちゃん。良かったらディズに会ってくれるかい?最近仕事詰めでね。」
「わ、わかりました」
どうやらフラグは回避できないようです。
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