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kcarC 話41第
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ティミリアが公爵邸を出て実家に帰ってから、俺は毎日彼女の元を訪れていた。
彼女と話をしたい。
ちゃんと謝りたい、そして誤解を解きたい。
しかし、いつも彼女には「帰って下さい。」という一言しか貰えない。
彼女の言うことを聞かずに一方的に話すことも謝ることも出来る。
だが、それでは今までと何も変わらない。彼女の意思で対話をしないと意味がないのだ。
また、彼女の笑顔が見たい。
2人で散歩がしたい。
この気持ちが"愛情"なのかどうか、俺にはわからないけれど、だけど初めとは随分彼女に抱く気持ちが変わってきたように思える。
俺は深呼吸をしてから、コンコンとティミリアの部屋の戸を叩いた。
「ティミリア。」
呼びかけてはみるが、特に返事は返ってこない。
「どうか姿を見せてはくれないか? 君と話がしたい。」
「私は、話すことなどありません。」
ティミリアの冷たい声が扉の向こうから聞こえてきた。はっきりとした拒絶が伝わる。
いつもは諦めて帰るが、今日は少し粘ってみようかという気になって再び声をかけてみる。
「せめて、誤解だけでも解かせてはくれないだろうか。」
彼女はどうしてか、俺に愛人がいると思い込んでいる。
"バルコニーで会っていた女性"という点からランのことだと察することが出来た。勿論、キスだってしていない。
考え抜いた結果、もしかしたらティミリアはランのことを男性だと思っているのではないか、という予想に至った。
事実は彼女に聞いてみなければわからないけれど。
「帰って下さい!」
彼女から帰ってきたのは、かなり強い拒絶の声だった。俺は、一瞬固まってしまい静寂が流れる。
「……すまない。」
その謝罪の声は彼女に届いただろうか。
だけれど、あまり大きな声で言うような気にはなれなくてポツリとだけ呟いて俺は扉に背を向けた。
「毎日来て頂いているのに、ごめんなさいね。」
帰り際、ティミリアの母親が俺に申し訳なさそうに声をかけてくれた。
俺はそれに対して首を振った。
「いえ……俺が悪いんです。よければ、これをどうぞ。いつも同じようなもので申し訳ないですが。」
毎日持って来ている手土産をティミリアの母親に渡す。ティミリアが菓子を作るのが好きだということから、街の中の様々なお菓子を手土産に持っていくのが日課のようになっていた。
「あら、いつもありがとう。ただ……ティミリアは中々食べてくれなくて。」
「……当然のことです、また明日も来ます。」
俺のことを嫌っているのだから、俺が持って来たものに手をつけないのは当たり前のことだ。
そう頭の中では理解しているのにズキリと心が痛んだ。
それから、俺は家へ帰るために馬車へ乗り込む。
明日は、ティミリアと話せるだろうか。
そんなことを考えながら、俺は窓の外を見つめた。
彼女と話をしたい。
ちゃんと謝りたい、そして誤解を解きたい。
しかし、いつも彼女には「帰って下さい。」という一言しか貰えない。
彼女の言うことを聞かずに一方的に話すことも謝ることも出来る。
だが、それでは今までと何も変わらない。彼女の意思で対話をしないと意味がないのだ。
また、彼女の笑顔が見たい。
2人で散歩がしたい。
この気持ちが"愛情"なのかどうか、俺にはわからないけれど、だけど初めとは随分彼女に抱く気持ちが変わってきたように思える。
俺は深呼吸をしてから、コンコンとティミリアの部屋の戸を叩いた。
「ティミリア。」
呼びかけてはみるが、特に返事は返ってこない。
「どうか姿を見せてはくれないか? 君と話がしたい。」
「私は、話すことなどありません。」
ティミリアの冷たい声が扉の向こうから聞こえてきた。はっきりとした拒絶が伝わる。
いつもは諦めて帰るが、今日は少し粘ってみようかという気になって再び声をかけてみる。
「せめて、誤解だけでも解かせてはくれないだろうか。」
彼女はどうしてか、俺に愛人がいると思い込んでいる。
"バルコニーで会っていた女性"という点からランのことだと察することが出来た。勿論、キスだってしていない。
考え抜いた結果、もしかしたらティミリアはランのことを男性だと思っているのではないか、という予想に至った。
事実は彼女に聞いてみなければわからないけれど。
「帰って下さい!」
彼女から帰ってきたのは、かなり強い拒絶の声だった。俺は、一瞬固まってしまい静寂が流れる。
「……すまない。」
その謝罪の声は彼女に届いただろうか。
だけれど、あまり大きな声で言うような気にはなれなくてポツリとだけ呟いて俺は扉に背を向けた。
「毎日来て頂いているのに、ごめんなさいね。」
帰り際、ティミリアの母親が俺に申し訳なさそうに声をかけてくれた。
俺はそれに対して首を振った。
「いえ……俺が悪いんです。よければ、これをどうぞ。いつも同じようなもので申し訳ないですが。」
毎日持って来ている手土産をティミリアの母親に渡す。ティミリアが菓子を作るのが好きだということから、街の中の様々なお菓子を手土産に持っていくのが日課のようになっていた。
「あら、いつもありがとう。ただ……ティミリアは中々食べてくれなくて。」
「……当然のことです、また明日も来ます。」
俺のことを嫌っているのだから、俺が持って来たものに手をつけないのは当たり前のことだ。
そう頭の中では理解しているのにズキリと心が痛んだ。
それから、俺は家へ帰るために馬車へ乗り込む。
明日は、ティミリアと話せるだろうか。
そんなことを考えながら、俺は窓の外を見つめた。
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