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第一章 巻き戻された世界

12.嘘言うんじゃありません

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 運命だと、思った。自分はここで死ぬ定めだと、私はそういう終わりだと、感じそう心に思った瞬間だったというのに。

 その思いは、駆けつけてきた一人の少年によって妄想へと変わり果てて、

「呆けてんじゃねえ!なんで、来て早々死にかけてんだ!お前、強いんじゃねえのかよ」

「あ…いや、いきなりの展開についていけなくて…お姉さん呆然。」

 かけられた言葉に対し、リーネルはポカンとしながら思わず目をまん丸くする。
 しかし、悠然とそこに立ち、彼はこちらに剣のある目つきで見つめると、

「知るかっ!戦場に展開もクソもあるか!戦って生きるか死ぬかだろうが!」

「……」

 呆けた様子のリーネルにアルトは厳しく言葉を吐き捨てた。
 そんな彼の尖った口調を聞き、リーネルは呆けた面を止める。それから彼の目を見ては少しほくそ笑んだ。
 倒れながら「フウ」と肩をすくめて嘆息し、

「君、口悪いね。男の子としてもっと慎ましい言葉使えば?」

「口出しするほど余裕あんなら、足手纏いにはならねえな。あと子は余計だ!早く立てや!」

「ここは男性がお手を拝借して女性を立たせるのが通例な場面じゃない?」

「立てねえならすっこんでろ、後は俺が一人で片付ける」

「手厳しい子ね」

 アルトの厳言にフッと笑みながら、リーネルは伏していた体勢を起こす。
 そして、刀を握りしめ彼の横に佇むと、

「心外だね。どこの誰かもわからない子に怪物の相手をさせると思う?」

「はっ!頭から血ぃドバドバ流してるやつが無理してデカい口叩くなよ」

「慮ってくれてありがとう。でも、怪我の調子なら君も似たようなものだと思うけど」

 そう言うとリーネルは横目に彼の左眼を一瞥した。
 異様なまでに血に染まった濃く充血したその眼。明らかに大傷だと分かる損傷具合だ。

「…へっ」

 けれども、リーネルの言葉を聞き入れた彼は軽く笑いを上げると、

「これはもうなんともねえやつだ。怪我した枠には入らねえよ」

「それこそ、デカい口じゃない?」

「うるせえよお…!来るぞ!」

「分かってるよ!」

「グラアアアッッ!」

 アルトとリーネルの軽めの言い合い。そんな彼らが口を叩いていたところに牛悪鬼が猛攻し黒爪が勢いよくとんでくる。

 それを二人は同タイミングで危なげもなく素早く回避。
 地面すれすれで悪辣なる剛爪を躱し、手のひらを土で汚しながらリーネルは駆けつけた少年に問う。

「てか、君は誰なの?なんでここに?ここは危ないからお姉さんに任せて下がってなさい!」

「このタイミングで来た俺がなんで戦場から逃げんだよ!」

「それはあれだよ。君が飛んで火に入る虫的な?無謀にも駆けつけちゃった的な?」

「違うわっ!アホか!あんたの爺さんに救援に行けって言われたんだよ!」

「……虫じゃないのは分かってたけど、アホって言われたのはお姉さん心外。ていうか、そう…おじいちゃんが…」

「分かったか、女。」

「そもそもまず君強いの?…あ!てか、女って呼び方何?その呼ばれ方はなんかお姉さん癪なんだけど!」

「少なくともお前よりは強え!今、呼び方なんてどうでもいいだろ!」

「私より強い?ご冗談を!それに女性に対して呼び方は重要だと思います!私にはリーネルって名前があるの!」

「知ってるよ!」

「知ってたのに女呼ばわりだったの⁈」

 アルトの思いもしない言葉に動揺しながらもリーネルは牛悪鬼の攻撃を躱す。
 二人は何ともなしに会話をしているが、その場には牛悪鬼も滞在している戦局だ。当然、二体の怪物はそれぞれ人間を仕留めようと躍起になっていた。

 顔の部位を壊し半面を血塗られている小さな牛悪鬼は、アルトへ剛拳をくり出し。
 他のものよりも巨大な体躯の牛悪鬼はリーネルを惨殺しようと剛爪を振り回している。

 そんな切羽詰まった命のやりとりの最中で「ふーんだ、ふーんだ」と文句を垂れながらもリーネルは牛悪鬼の攻撃を掻いくぐる。
 さらに敵の隙を見ては太刀を横一文字に薙ぎ払い、黒き怪物に炎爆を放射。

「きついの一発!」

「グルアァァッ⁈」

 彼女の高威力の炎攻撃と凄絶な剣圧の一撃にさすがの牛悪鬼でも吹っ飛ばされた。赤く燃えゆる炎とともに黒き怪物が闇の森へと飛んで消え去る。

「………どうよ!」

 その様子を俯瞰しながらリーネルは少し距離をとり、

「お前、炎魔法を使えるのか?」

 すると、そんなリーネルの一撃を見ていたアルトが呆然と目を丸くしながらそう告げた。

「……ん?」

 急な驚きまじりの声を向けられリーネルは一瞬キョトンとした顔。
 けれども、そんな彼の目を見開いた表情を見たリーネルは得意げに「ふふん」と豊満な胸を張り、

「そうだぞう。すごいだろ?お姉さんの刀からは業火を生み出せるのだ!驚き呆れて言葉も出ないだろう!」

「どうりで、周りが炎ばっかな訳だ。荒療治にも程がある。雑すぎて呆れるわ。言葉も出ねえ。」

「ドヤったのになんか思ってたのと違う⁈」

 意想外なことを言われ、リーネルは眼を丸くしてはへなりと肩を落とす。
 一方、そんな彼女のへこたれた様などいざ知らずアルトは剛爪を躱しながらも軽く周りに眼をやって、

「見た感じ、牛悪鬼が炎を出すわけねえしな。こんだけ燃え盛ってるのはお前の魔法のせいってか。めんどくせぇ戦場にしてくれたもんだ。」

「仕方ないじゃん!みんなを逃すためにこの怪物たちを足止めする策だったんだから!……一頭、逃したけど」

 リーネルはプンスカと甲高い声音を上げながらそうアルトへと反発。けれども、憂慮に満ちた落ち気味の目を浮かべるや最後にポツリとそうこぼした。

 その彼女の様子を見たアルトは「フン」と軽く鼻息を立てた。それからリーネルの言葉に追随する様に紡いで、

「その一頭は俺が倒した。残ったのはこいつらだけだよ」

「…ああ。……ん?え?へ?は?倒した?君が?」

 動揺を顕にしリーネルは大きな目をパチパチと瞬かせた。
 急に現れた者のそんな都合の良い言葉。それは彼女にとってちょっと信じ難いものであり、

「…んん?いやいや、いやいやいや嘘おっしゃい!全く…そんなでたらめ言うもんじゃありません!」

「何でだよ!嘘言うか!こんなところでたらめ吐くわけねえだろ」

「自慢するのも大概にしなさい!強い私に嫉妬したからってそんな大口言っちゃいけません。お姉さんは分かってるんだからね!」

「分かってねえわ!なんも分かってねえわ!倒したのは本当だわ!聞く耳持てや!」

アルトが大きく口を開くも、リーネルはそれを知らんぷり。
それから彼女はややくぐもって手で顔を覆うと、

「まだ小さな男の子が戦地を懸けるだなんて、世の中は惨いぃ…」

「話聞け!つーか、何が小さな男の子だ!お前と俺!歳変わんねえだろ!」

「何を言ってるの!大袈裟なこと言って!お姉さんはちゃんと見る目あるんだから!君は年下!天地変わっても絶対そう!」

「見る目も聞く耳もねえよ!今あったばっかだってのにお前の性格が大体分かってびっくりだわ!」

「あ!後ろ!」

「見えてんよ!お前もな!」

「え?何が?あっ!もう帰ってきた⁈」

 リーネルが彼へ忠言すると同時に牛悪鬼の拳がアルトの頭蓋目掛けて放たれる。
 けれども、彼は後ろに眼があるかとでもいうように身体を傾け、相手の一振りを空に透かしその場から立ち退いた。
そしてリーネルも吹っ飛ばした牛悪鬼が帰来したため太刀を握りしめ再び巨躯と対峙する。
 しかし、

「…んん?」

 巨躯の牛悪鬼の猛攻に対処しながらも、チラチラとアルトの戦う様を静観するリーネル。けれども彼女は眉をひそめてはアルトヘ怪訝な眼を浮かべた。

「君、倒せるの?見た感じ、その刀一本だけ持ってるみたいだけど」

「ああ?気懸り向けてもそれは無駄だぞ。そもそも俺は一体牛悪鬼こいつを倒したって言ったろ?」

「私にとってはそれも信じがたいんだけど…。さすがにこの怪物相手だから魔法くらいは使えるよね?」

「魔法?知らねえ。使えねえ。うるせえ。」

「あ、じゃあその短剣が?ものすごい業物とか?」

「ここの集落で拾った刀だ」

「駄目じゃあぁん⁈」

 「ええ⁈」と顔を引きつらせながら、リーネルはアルトへ危惧の眼差しを向けた。
 あまりにも戦闘手段の枯渇さに彼女は驚きを顕著にする。

「ええ、嘘じゃん⁈絶対牛悪鬼倒したって嘘じゃん!」

「本当だっつってんだろ!なんで振り出しに戻ったんだよ!」

「魔法使えなくて、持ってる武具はそこら辺で拾った刀?それで小さな男の子が牛悪鬼を倒した?ありえないありえない!君っ!私に良いとこ見せたいからって嘘言うの止めなさぁい!」

「何が嘘言うの止めなさいだ!少しは俺の言うことに信憑性持てねえのか!魔法使えなくてもやり方があんだよやり方が!」

「今すぐ立ち去りなさぁぁい!」

「聞けやっ!」

 巨躯の牛悪鬼の無造作にくり出される猛攻に対し刀と俊敏な動きで対処しながら、リーネルは指を炎の向こう側へピーンと向けてアルトへ退却せよの命令。

 が、もちろんその彼女の発言にアルトは良い顔はしない。「だー!」と文句を垂れ、頭をガシガシと掻いては、

「あぁ、もう、分かったわ!お前はそのでけえ方と戦ってろ!俺はこいつを速攻で倒してすぐそっち行くからよ!」

「絶対そのセリフは私が言う側だよ⁈私今、君の方に加勢しなきゃっていう焦りと不安でいっぱいなんだけど⁈」

「黙って手前の相手に集中しろ!」

「むう!…全然、全く腑に落ちない!」

「グルルララァァッ!」

「むむう!邪魔ぁっ!」

 大声で釈然としないのを晴らすように、リーネルは剛爪を掻き立て薙ぎ払ってきた牛悪鬼に刀を振り上げ豪炎を爆裂させる。

「くっそー。こっちの方だって手ェつけられない相手なのに。これじゃ、助勢に行けないじゃん」

 豪炎をおみまいするも炎自体にそこまでダメージを受けた兆しのない巨躯の牛悪鬼。やはりこの一際大きい怪物は強靭さもひとまわり違う。これと対峙するとなると、助けに行く余裕なんてつくり出せない。

 状況的に一対一の状況が戦局としてはっきり成り立っていた。アルトは顔面の壊れた牛悪鬼と、リーネルは巨躯の牛悪鬼とそれぞれ対峙する。

 手にする短刀を握り、アルトは目前の黒き怪物にガンを飛ばし、

「口うるせえ女はもういねえ。さっさと倒してやるよ。」

「そっちに加勢できないけど、声は聞こえるからね!口うるさいだなんて失礼ね!」

「やかましい!いちいち言うことにつっこんでくるな。……っとおぉいや!」

「ガラアッ!」

 リーネルの言に言い返した刹那、牛悪鬼の拳が飛んでくる。それをアルトは一瞬で避けきり、躱して体勢を立て直す。

「速攻で倒してやるよ。」

 牛悪鬼から間合いを取り、アルトは一言そう呟いた。

 リーネルが言った通り、アルトには戦闘手段が乏しいのは否定できない。
魔法も使えず知れ渡る業物の刀を持ってもいないという現状である。
 
 しかし、そんな彼にはある一つの秘策があった。

 いや、秘策と言うにはそれは単純に軽い賭けにも当たる戦術。
 それは一体の牛悪鬼を倒した時に顕現された力だ。

「倒せるならこれしかねえんだろ」

 己の左眼に意識を向けながらアルトは一人そう告げる。
 この眼に宿った新たな力を彼はもう一度行使しようと、スッと左眼の目蓋を閉じた。


 



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