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24.突然何言い出すのこの子?
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テトナとコラルが窓ガラスの修復を完了させ、その場がひと段落する。
とりあえず部屋の内装は元通りになった。
ぶちまけられた物騒な部屋から綺麗な部屋に還元され、俺はその場でほっと一息。
「リスケ…」
と、そんな落ち着いた様子の俺に対しふいに声をかけられた。
そのままでもたるんだ目を半開きにした子がこちらを向いていて、
「ん?」
俺はその声の主テトナの方へ顔を向ける。
なんだ?いきなり俺に目を向けて、なんかようでもあるのかな?この子。
ハテナとともに俺は首を傾げるが相変わらずテトナはぬぼーっとした面持ちだ。割と結構マジでこの表情からこの幼女の心意が読み取れない。ポーカーフェイスさまさまな子だ。
あ、てか名前で呼ばれたの初めてじゃない?この世界に転生してからというもの、にいちゃんだのお兄さんだのあんただのそんな感じでしか俺は呼ばれてなかったからな。まあ、俺の自己紹介が遅れたってのもあるけども。
いやあ、でもなんか感慨深いものですね。下の名前で呼ばれるのって少し距離が縮まった気がしませんか。俺はしますね。うん。
そして、その相手がなおさら幼女ならばもうもうもう、
「…違う、このキャラを染めらせちゃダメよ。俺」
「…?」
ガシッと顔に手を当てては自分を省みて思い止まる。
落ち着け我が強靭なる精神。しっかりと自身の心に問い質すのだ。
そう、ちゃんと俺はロリコンではない。ロリコンではないのだ。
そりゃちっさな子を見てはほんーのちょっぴり可愛いとは思ってはいるが、そんなもの所詮ただの子供だ。誰でも思う気持ちであり俺もその中の一人に過ぎない。
せいぜい心の中で幼女を想像しては抱きついて舐めまわしたくなるくらいだ。実行に移さないだけ立派な志と言えよう。俺は純粋な男の子。
「何やってるの?」
なんてぐおおぉぉと頭の中で考えを巡らしている中、テトナが不機嫌プラス怪訝そうにこちらへ眉根を寄せてそう告げた。
「あ、いや違う。何でもない。気にしなくていいから。えーっとテトナ…って名前でいいんだよな。どしたの?俺になんかようか?心配しなくてもお兄さんは何もしないぞー?」
「何…その嫌らしさの含まれたような言葉。」
「気にしなくていいんだよ。言葉のあや的なあれだ。己の中の戦い的なあれだ」
「己の中の戦い?」
「忘れてくれ」
「?」と怪訝そうにテトナは首を傾げる。
そんな幼女の傍で俺はフウと深呼吸。
危ない危ない俺、控えて控えて。高2が幼女に手を出したなんて警察沙汰になりかねない。あ、この世界では警察いねえのか。かわりに衛兵さんがそのポジにいんのか。
あれ?もしかしてこの場所って日本で言う警察署的な立ち位置の建物?悪さしたら一発お陀仏?
「まあ、いいや…ねえ、リスケ。ちょっとついてきてよ。」
「んあ?」
と、一人無意味な黙考をしている俺をそっちのけでテトナがポツリとそう呟いた。
当然、いきなりそんなことを言われた俺はポカンとした表情をしてしまい、
「何?ついてきてってどこに?どゆこと?」
「ちょっと遠い場所」
淡々とした同じ声音でテトナは俺にそう告げる。
いや、遠い場所と言われてもそんな曖昧な説明じゃさすがの俺でもさっぱりよ?(さすがとは?)
「テトナ?どういうことにゃ?」
すると、その様子を見ていたコラルがキョトンと首を傾げながらテトナに呟いた。さすがのコラルさんでもテトナの言うことは理解できなかったみたいだ。
けれども、テトナは相変わらずのたるんだ口調で言葉を紡ぎ、
「リスケは、別にコラルの所有物でもないんだよね?」
突然、テトナは確認するようにコラルへとそんなことを聞いた。
急な質問にコラルは「?」と首を捻り、
「んにゃ?所有物?…いや、まあ、そりゃ…所有物とかそういうものじゃ、…お兄さんは違うのにゃあ。そもそもお兄さんとは今日、なんならついさっき会ったばっかの人だから親しい間柄でもない人だしにゃ」
わお!唐突なノット友達宣言!
そりゃ、たった今会ったばっかの仲だけれども!昔っからの知人て訳でも無いけれど!
でもね。そんなにはっきり言われたら俺の心は深いところまで抉られるよ!不意打ちすぎて流石に今のはガラスのハートにヒビ入った!コラルさん無垢な表情でそんなことを言わないでぇ~。
「そか、だったらリスケを連れてっていいよね?」
「?…まあ、別にテトナがそうしたいなら、わちは止めることしにゃいけど、」
「そう。んじゃ、リスケは私の所有物で」
テトナはコラルヘ笑みを含ませながらそう言うと、チラリとこちらに顔を向けた。
そんな幼女の面持ちは「ふふん」と少し笑みを浮かべている満足そうな表情だった。心なしか彼女のたるんだ目つきが少し生気を帯びた気がする。
え、何、この子?所有物?何考えてるの?
「リスケ、んじゃ、ちょっと一緒にきてよ」
「いやいや、いやいやいやいや訳わかんないけど?え、何するの?何しに行くの?何ぞ何ぞ?私はこれからどこに行く?」
「まあまあ、いいから、何も考えずについてきて」
「何その言葉⁈ちょっとそのセリフは危険さが増し増しなんだけど⁈なんかいけない流れだと俺の中では察し始めてるんだけど⁈せめて説明して頂戴!未知イコール恐怖!」
「うるさいなあ。リスケ、ちょっと黙っててよ」
「ホワイ⁈」
初めてテトナから厳し目でウザそうな目つきを向けられた。優しい子が急に怒ると案外怖いみたいなのあるよね。その場に居合わせたりすると体が萎縮するみたいなのあるよね。今の俺そんな感じ。
「テトナ?そいつどっかに連れて行くの?」
「うん?」
すると、急に声を発してはレイネルがテトナに首を傾げながら目を向けた。
そんな目線を感じたテトナは彼女へと言葉を紡ぎ、
「ああ、まあちょっと。」
そう言うと、テトナは意味ありげな面持ちを浮かべる。
それから俺の方ににまりとした目つきを向けると、
「リスケと森に行ってきて、ゴブリン狩ってくるよ」
と、相変わらずぼんやりとした目つきでそう告げた。
え?なぜ?ホワイ~?
とりあえず部屋の内装は元通りになった。
ぶちまけられた物騒な部屋から綺麗な部屋に還元され、俺はその場でほっと一息。
「リスケ…」
と、そんな落ち着いた様子の俺に対しふいに声をかけられた。
そのままでもたるんだ目を半開きにした子がこちらを向いていて、
「ん?」
俺はその声の主テトナの方へ顔を向ける。
なんだ?いきなり俺に目を向けて、なんかようでもあるのかな?この子。
ハテナとともに俺は首を傾げるが相変わらずテトナはぬぼーっとした面持ちだ。割と結構マジでこの表情からこの幼女の心意が読み取れない。ポーカーフェイスさまさまな子だ。
あ、てか名前で呼ばれたの初めてじゃない?この世界に転生してからというもの、にいちゃんだのお兄さんだのあんただのそんな感じでしか俺は呼ばれてなかったからな。まあ、俺の自己紹介が遅れたってのもあるけども。
いやあ、でもなんか感慨深いものですね。下の名前で呼ばれるのって少し距離が縮まった気がしませんか。俺はしますね。うん。
そして、その相手がなおさら幼女ならばもうもうもう、
「…違う、このキャラを染めらせちゃダメよ。俺」
「…?」
ガシッと顔に手を当てては自分を省みて思い止まる。
落ち着け我が強靭なる精神。しっかりと自身の心に問い質すのだ。
そう、ちゃんと俺はロリコンではない。ロリコンではないのだ。
そりゃちっさな子を見てはほんーのちょっぴり可愛いとは思ってはいるが、そんなもの所詮ただの子供だ。誰でも思う気持ちであり俺もその中の一人に過ぎない。
せいぜい心の中で幼女を想像しては抱きついて舐めまわしたくなるくらいだ。実行に移さないだけ立派な志と言えよう。俺は純粋な男の子。
「何やってるの?」
なんてぐおおぉぉと頭の中で考えを巡らしている中、テトナが不機嫌プラス怪訝そうにこちらへ眉根を寄せてそう告げた。
「あ、いや違う。何でもない。気にしなくていいから。えーっとテトナ…って名前でいいんだよな。どしたの?俺になんかようか?心配しなくてもお兄さんは何もしないぞー?」
「何…その嫌らしさの含まれたような言葉。」
「気にしなくていいんだよ。言葉のあや的なあれだ。己の中の戦い的なあれだ」
「己の中の戦い?」
「忘れてくれ」
「?」と怪訝そうにテトナは首を傾げる。
そんな幼女の傍で俺はフウと深呼吸。
危ない危ない俺、控えて控えて。高2が幼女に手を出したなんて警察沙汰になりかねない。あ、この世界では警察いねえのか。かわりに衛兵さんがそのポジにいんのか。
あれ?もしかしてこの場所って日本で言う警察署的な立ち位置の建物?悪さしたら一発お陀仏?
「まあ、いいや…ねえ、リスケ。ちょっとついてきてよ。」
「んあ?」
と、一人無意味な黙考をしている俺をそっちのけでテトナがポツリとそう呟いた。
当然、いきなりそんなことを言われた俺はポカンとした表情をしてしまい、
「何?ついてきてってどこに?どゆこと?」
「ちょっと遠い場所」
淡々とした同じ声音でテトナは俺にそう告げる。
いや、遠い場所と言われてもそんな曖昧な説明じゃさすがの俺でもさっぱりよ?(さすがとは?)
「テトナ?どういうことにゃ?」
すると、その様子を見ていたコラルがキョトンと首を傾げながらテトナに呟いた。さすがのコラルさんでもテトナの言うことは理解できなかったみたいだ。
けれども、テトナは相変わらずのたるんだ口調で言葉を紡ぎ、
「リスケは、別にコラルの所有物でもないんだよね?」
突然、テトナは確認するようにコラルへとそんなことを聞いた。
急な質問にコラルは「?」と首を捻り、
「んにゃ?所有物?…いや、まあ、そりゃ…所有物とかそういうものじゃ、…お兄さんは違うのにゃあ。そもそもお兄さんとは今日、なんならついさっき会ったばっかの人だから親しい間柄でもない人だしにゃ」
わお!唐突なノット友達宣言!
そりゃ、たった今会ったばっかの仲だけれども!昔っからの知人て訳でも無いけれど!
でもね。そんなにはっきり言われたら俺の心は深いところまで抉られるよ!不意打ちすぎて流石に今のはガラスのハートにヒビ入った!コラルさん無垢な表情でそんなことを言わないでぇ~。
「そか、だったらリスケを連れてっていいよね?」
「?…まあ、別にテトナがそうしたいなら、わちは止めることしにゃいけど、」
「そう。んじゃ、リスケは私の所有物で」
テトナはコラルヘ笑みを含ませながらそう言うと、チラリとこちらに顔を向けた。
そんな幼女の面持ちは「ふふん」と少し笑みを浮かべている満足そうな表情だった。心なしか彼女のたるんだ目つきが少し生気を帯びた気がする。
え、何、この子?所有物?何考えてるの?
「リスケ、んじゃ、ちょっと一緒にきてよ」
「いやいや、いやいやいやいや訳わかんないけど?え、何するの?何しに行くの?何ぞ何ぞ?私はこれからどこに行く?」
「まあまあ、いいから、何も考えずについてきて」
「何その言葉⁈ちょっとそのセリフは危険さが増し増しなんだけど⁈なんかいけない流れだと俺の中では察し始めてるんだけど⁈せめて説明して頂戴!未知イコール恐怖!」
「うるさいなあ。リスケ、ちょっと黙っててよ」
「ホワイ⁈」
初めてテトナから厳し目でウザそうな目つきを向けられた。優しい子が急に怒ると案外怖いみたいなのあるよね。その場に居合わせたりすると体が萎縮するみたいなのあるよね。今の俺そんな感じ。
「テトナ?そいつどっかに連れて行くの?」
「うん?」
すると、急に声を発してはレイネルがテトナに首を傾げながら目を向けた。
そんな目線を感じたテトナは彼女へと言葉を紡ぎ、
「ああ、まあちょっと。」
そう言うと、テトナは意味ありげな面持ちを浮かべる。
それから俺の方ににまりとした目つきを向けると、
「リスケと森に行ってきて、ゴブリン狩ってくるよ」
と、相変わらずぼんやりとした目つきでそう告げた。
え?なぜ?ホワイ~?
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