22 / 27
22.サイキッカー ヒーラー
しおりを挟む
さて…猫耳幼女の機嫌を取り直すことができたことだし、そろそろ話を進めて行こうか。
「むうんっ、ふふんっ、にゃあはーっ。わちは天才魔法使いー!」
そうだね、天才だね。天才だからもう次に行かせてね。
鼻歌と共に小躍りするのは、猫耳幼女コラルさん。
囃し立てられ、煽てられ、存外気分はすこぶる良いみたい。よかったね。コラル先生。
「にゃっははー。にゃっははー!そうだにゃー!わちはすごい子なんだにゃー。にゃへへへへぇ。」
溢れてる、照れが溢れてる。隠す気すら毛頭ないと言わんばかりのニヤケ笑い。隠すことができないと言わんばかりの赤面しながら照れ笑い。
今日一の笑顔だ。嬉々たる面持ちで楽しげな模様。
「にゃっはは、にゃあー!わちは最強!最高の魔法使いー!」
杖を上に掲げて満面の笑みで声高に告げる幼女。
さっきの落ち込みはどこに行ったのやら。すこぶる耳がヒョコヒョコしていた。尻尾もふりふりが止まらないみたい。
まあ、機嫌が直ったのなら結構なこと。
「にゃっははー!なんだか、今のわちは誰にも負ける気はしないにゃ!……そうにゃ!テトナ、もう一度勝負してみるかにゃ?」
何言ってんの?
エッヘン!っと小さな胸を張り、自身に満ち溢れた表情を浮かべながらコラルはテトナへと提案する。
すごいね。その自信過剰さはもはや称賛に値するよ。
けど、ちょっと無謀にも程がありすぎるかな!
さっき無残なまでに負かされたこと覚えてないのこの子?
その声にはさすがに異論ありだよ?
「………」
一方で、コラルから凛々しい眉を向けられたテトナは何も言えずに微妙な面持ちを浮かべている。
然しものテトナでも、ちょっと呆然としてんじゃん。
「あ、いやー、今のコラルには勝てる気がしないなー。また今度でいいー?」
テトナは圧倒的な棒読みでコラルの申し出に断りを入れる。
さすがにここは空気を読んだ純白の幼女。
正しい。良い判断だ。さすがにまた「決闘!」とか言い出して振り出しに戻るなんてことは勘弁してほしいからな。
「にゃあ…そうかにゃ、まあ、いいにゃ。わちは最強の魔法使いだからにゃ。心も広いんだにゃー。また今度の機会にしてやるにゃ。」
なぜか、不満をたらたら垂らしつつ、結局テトナに対してマウントを取ったかのような言動と共に「フッ」と、決め顔をする猫耳幼女。
すごいね。コラル先生、普通の人じゃそんなこと言えないものだよ?天才だね!
今、気を遣われたのは誰なんだろーね!
完全に天狗になってしまっているコラル先生。
まあ、落ち込むより幾分ましか。
何はともあれ、コラルは機嫌を直し、幼女同士のいざこざに幕が引かれる。
「ところで、テトナはどうしてここに来たの?」
すると、唐突に、場の転換というか話の論点をすげ替えるようにというか、レイネルが純白の幼女に問いを投げかけた。
たしかにこの白い幼女が何用でここに来たのかは割とわからないところだ。ダイナミックにガラスを割って入ってきたからそれも相まって特に気にしなかったけど。
「んー?」
声をかけられ、やんわりとした声音でテトナはレイネルの方を向く。おっとりした目つきで上を仰ぎ「えー、うーん…」と、呟くと、
「まあ、遊びに来たー」
柔和な声つきでテトナは返答。特に目的なしかい。
「それだけでガラス割られるこっちの身にもなれにゃ。」
テトナにジト目を向けながら訝しくそう呟くのはコラルだ。
まあ、ダイナミックな登場だったとは言え、被害額は相当なものでしょうね。割りに合うなんてことはない。
「…テトナ。手伝えにゃ。」
ぶつくさと言葉を垂らしながら、コラルはテクテクと飛び散ったガラスのところに歩く。
テトナも「んー」と言いながら、猫耳の元へ。
何をするんだ?と、俺はキョトンとその様子を見つめていたが、コラルの指差しと共にテトナは念魔法を発動させた。
クイッとした指の動きでテトナは飛び散ったいくつかのガラスの破片を空中で操り、それらを割れた窓へと持っていった。
それを見ていたコラルは「ふむ」と一言呟き、杖を一振り。
すると、テトナの操るガラス破片にいきなり緑色の光が灯され、割れた破片が不思議な煌々に包まれる。そのまま、ことの様子を見つめていると、ガラスと窓の破損した部分が徐々に繋がれていき、ひび割れた部分のない綺麗な窓ガラスが復元された。
「まだ、残っているにゃー。テトナ、次にゃ!」
「んー、わかったー。」
ハキハキとしたコラルの声に応じるやんわりとした口調のテトナ。
念魔法を駆使し、治療魔法で壊れたガラスを復元させる幼女二人。
何?治療魔法って壊れたものまで復元出来るの?
もはや治療の域を超えてない?
コラルの魔法に驚きを隠せない俺。
さっき適当に天才だーとか言っといたけど、え、まじでこの子、天才じゃない?
「繊細な魔操作と魔法に関する膨大な知識量がないとできない芸当よあれは。私はあれができる者をコラル先生以外知らないわ。」
驚嘆し呆然していた俺にポツリとレイネルが説明口調でそう告げてきた。
え、なにそれ、コラル先生エグくない?治療魔法じゃなくて、もはや復元魔法の使い手じゃん。錬金術師かな?
「あの子、もしかしてすごい子?」
「何言ってんの?国の中でも屈指の魔法使いって教えたじゃない。」
嘆息したように言うレイネル。
たしかに、そんなことを聞かされた気がするな。
さっきまでの不憫さのせいでちょっと忘れてたけど。
しかし、こんだけ凄まじく魔法を使えるってのに戦闘力は皆無ってのは、なんかもうセンスとかそこら辺の問題なんですかね。
「ちゃんと固定させるにゃー!」
「んー、やってるよー。」
「やってないにゃ!少し綻びがあるにゃ」
きつめな声音でテトナを叱咤するコラル。
完璧主義なのかな。
幼女達の窓ガラス復元共同作業。
先ほどの喧騒さとは打って変わって、そこには仲睦まじさが溢れており存外様になっていた。
「むうんっ、ふふんっ、にゃあはーっ。わちは天才魔法使いー!」
そうだね、天才だね。天才だからもう次に行かせてね。
鼻歌と共に小躍りするのは、猫耳幼女コラルさん。
囃し立てられ、煽てられ、存外気分はすこぶる良いみたい。よかったね。コラル先生。
「にゃっははー。にゃっははー!そうだにゃー!わちはすごい子なんだにゃー。にゃへへへへぇ。」
溢れてる、照れが溢れてる。隠す気すら毛頭ないと言わんばかりのニヤケ笑い。隠すことができないと言わんばかりの赤面しながら照れ笑い。
今日一の笑顔だ。嬉々たる面持ちで楽しげな模様。
「にゃっはは、にゃあー!わちは最強!最高の魔法使いー!」
杖を上に掲げて満面の笑みで声高に告げる幼女。
さっきの落ち込みはどこに行ったのやら。すこぶる耳がヒョコヒョコしていた。尻尾もふりふりが止まらないみたい。
まあ、機嫌が直ったのなら結構なこと。
「にゃっははー!なんだか、今のわちは誰にも負ける気はしないにゃ!……そうにゃ!テトナ、もう一度勝負してみるかにゃ?」
何言ってんの?
エッヘン!っと小さな胸を張り、自身に満ち溢れた表情を浮かべながらコラルはテトナへと提案する。
すごいね。その自信過剰さはもはや称賛に値するよ。
けど、ちょっと無謀にも程がありすぎるかな!
さっき無残なまでに負かされたこと覚えてないのこの子?
その声にはさすがに異論ありだよ?
「………」
一方で、コラルから凛々しい眉を向けられたテトナは何も言えずに微妙な面持ちを浮かべている。
然しものテトナでも、ちょっと呆然としてんじゃん。
「あ、いやー、今のコラルには勝てる気がしないなー。また今度でいいー?」
テトナは圧倒的な棒読みでコラルの申し出に断りを入れる。
さすがにここは空気を読んだ純白の幼女。
正しい。良い判断だ。さすがにまた「決闘!」とか言い出して振り出しに戻るなんてことは勘弁してほしいからな。
「にゃあ…そうかにゃ、まあ、いいにゃ。わちは最強の魔法使いだからにゃ。心も広いんだにゃー。また今度の機会にしてやるにゃ。」
なぜか、不満をたらたら垂らしつつ、結局テトナに対してマウントを取ったかのような言動と共に「フッ」と、決め顔をする猫耳幼女。
すごいね。コラル先生、普通の人じゃそんなこと言えないものだよ?天才だね!
今、気を遣われたのは誰なんだろーね!
完全に天狗になってしまっているコラル先生。
まあ、落ち込むより幾分ましか。
何はともあれ、コラルは機嫌を直し、幼女同士のいざこざに幕が引かれる。
「ところで、テトナはどうしてここに来たの?」
すると、唐突に、場の転換というか話の論点をすげ替えるようにというか、レイネルが純白の幼女に問いを投げかけた。
たしかにこの白い幼女が何用でここに来たのかは割とわからないところだ。ダイナミックにガラスを割って入ってきたからそれも相まって特に気にしなかったけど。
「んー?」
声をかけられ、やんわりとした声音でテトナはレイネルの方を向く。おっとりした目つきで上を仰ぎ「えー、うーん…」と、呟くと、
「まあ、遊びに来たー」
柔和な声つきでテトナは返答。特に目的なしかい。
「それだけでガラス割られるこっちの身にもなれにゃ。」
テトナにジト目を向けながら訝しくそう呟くのはコラルだ。
まあ、ダイナミックな登場だったとは言え、被害額は相当なものでしょうね。割りに合うなんてことはない。
「…テトナ。手伝えにゃ。」
ぶつくさと言葉を垂らしながら、コラルはテクテクと飛び散ったガラスのところに歩く。
テトナも「んー」と言いながら、猫耳の元へ。
何をするんだ?と、俺はキョトンとその様子を見つめていたが、コラルの指差しと共にテトナは念魔法を発動させた。
クイッとした指の動きでテトナは飛び散ったいくつかのガラスの破片を空中で操り、それらを割れた窓へと持っていった。
それを見ていたコラルは「ふむ」と一言呟き、杖を一振り。
すると、テトナの操るガラス破片にいきなり緑色の光が灯され、割れた破片が不思議な煌々に包まれる。そのまま、ことの様子を見つめていると、ガラスと窓の破損した部分が徐々に繋がれていき、ひび割れた部分のない綺麗な窓ガラスが復元された。
「まだ、残っているにゃー。テトナ、次にゃ!」
「んー、わかったー。」
ハキハキとしたコラルの声に応じるやんわりとした口調のテトナ。
念魔法を駆使し、治療魔法で壊れたガラスを復元させる幼女二人。
何?治療魔法って壊れたものまで復元出来るの?
もはや治療の域を超えてない?
コラルの魔法に驚きを隠せない俺。
さっき適当に天才だーとか言っといたけど、え、まじでこの子、天才じゃない?
「繊細な魔操作と魔法に関する膨大な知識量がないとできない芸当よあれは。私はあれができる者をコラル先生以外知らないわ。」
驚嘆し呆然していた俺にポツリとレイネルが説明口調でそう告げてきた。
え、なにそれ、コラル先生エグくない?治療魔法じゃなくて、もはや復元魔法の使い手じゃん。錬金術師かな?
「あの子、もしかしてすごい子?」
「何言ってんの?国の中でも屈指の魔法使いって教えたじゃない。」
嘆息したように言うレイネル。
たしかに、そんなことを聞かされた気がするな。
さっきまでの不憫さのせいでちょっと忘れてたけど。
しかし、こんだけ凄まじく魔法を使えるってのに戦闘力は皆無ってのは、なんかもうセンスとかそこら辺の問題なんですかね。
「ちゃんと固定させるにゃー!」
「んー、やってるよー。」
「やってないにゃ!少し綻びがあるにゃ」
きつめな声音でテトナを叱咤するコラル。
完璧主義なのかな。
幼女達の窓ガラス復元共同作業。
先ほどの喧騒さとは打って変わって、そこには仲睦まじさが溢れており存外様になっていた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】

チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる