21 / 27
21.いつだって答えは見つかるもの
しおりを挟む 涼は、散々人の体を弄び、雅哉の倍以上のキスマークをつけて満足したようだ。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる