前世で弟だった王子様の執着が止まりません

16.観念

だけど、私の思考はアルフィの言葉によって遮られる。

「それとも…結婚するまでは別々に暮らしたいってこと？　僕はそれでもいいけど」

なるほど！　その手があったか！
確かに応急処置にはそれがいいかも。
それで正式に結婚するまでになんとかアルフィを説得して…。
よし、いけるぞ。さすがに一緒に暮らし始めちゃったら後戻りできない感がしたけど、まだできる…！

「そ──」
「でもその場合、ライラの為に雇った侍女達は解雇しないと…。今王宮は人手が足りているし、ライラが来るまでとはいっても余分な人員配置はできないからね」
「え…」
「確かエリーはまだ小さい弟や妹がいるんだよね？　ミネットは両親が背負った莫大な借金があるとか…。今回破格の給料で求人を出したから家族を養えると喜んでいたけど、こんなことになってすまない。でもライラが君達を必要ないと言うのだから仕方ないね──」
「ちょ、ちょっと待ったぁ！！」

うるうるした目で見つめてくるエリーとミネット。

「ごめんねみんな…お姉ちゃん不甲斐なくて…」
「お父さんお母さん…いざとなったら私が身体を売ってでも…」

しかも合間でこんなことを呟いているもんだから、私の心が罪悪感という名の半端ないダメージを受けている。
こんな内情を知ってそれでも要らないなんて言ったら、私とんでもない冷血漢じゃん…。

「はあ…わかったよ、ここに住むから…2人とも今日からよろしくね」
「「ラ、ライラ様～！！」」

泣きつく2人と微笑むアルフィ。
してやられた感が尋常じゃない。

クッ、これで後戻りできなくなったか…。
いや、まだ道はあるはず…！　どうにか打開策を見つけないと…！